明治時代の有名な童謡・唱歌

現代でも愛唱される明治生まれの有名な童謡・唱歌の歴史

明治時代に歌われていた有名な童謡(わらべうた)・唱歌について、その歴史を時系列に簡単にまとめてみた。

当時の童謡や唱歌の特徴について、平成・令和にも歌い継がれる明治の代表曲をいくつかピックアップして簡単に解説していく。

明治時代の有名な童謡・唱歌

なお、明治時代の流行歌については、こちらの「明治時代の流行歌・有名な曲」で解説している。

また、大正時代の歌については、こちらのページ「大正時代の童謡・唱歌・流行歌」で一覧にまとめている。

昭和初期の歌については、こちらの「昭和初期の有名な歌謡曲・童謡・唱歌」を参照されたい。

明治の童謡は「わらべうた」

童謡は大きく分けて、「わらべうた」と「創作童謡」の二つがある。明治時代の童謡は前者の「わらべうた」。「創作童謡」は大正時代以降に誕生したもの。

「わらべうた」

江戸時代やそれ以前から、子供たちによって自然に歌い継がれてきた遊び歌。『かごめかごめ』や『あんたがたどこさ』、『にらめっこ(だるまさん)』などが有名。

「創作童謡」

大正時代に入って、北原白秋ら文学者が子供向けに創作した芸術性の高い文学童謡。『あめふり(あめあめふれふれ)』、『からたちの花』など。

明治14年 外国曲が唱歌に

明治14年(1881年)から明治17年(1884年)にかけて、文部省の音楽取調掛から出版された「小学唱歌集」では、ドイツやスコットランドなどの外国民謡を翻訳した唱歌、いわゆる「翻訳唱歌」が掲載された。

例えば、ドイツ民謡・歌曲からは『ちょうちょう』や『野ばら』が、スコットランド民謡からは『蛍の光』や『庭の千草』が唱歌として誕生した。

讃美歌のメロディを用いた『むすんでひらいて』の原曲もこの「小学唱歌集」に掲載されている。

明治33年 昔ばなしが唱歌に

明治33年(1900年)には、田村虎蔵らによる唱歌集『幼年唱歌』が出版され、『桃太郎』、『金太郎』、『浦島太郎』といった日本の昔ばなし唱歌が誕生した。

当時の唱歌の歌詞は文語調で、子供には意味を理解するのも歌うのも難しかったが、『幼年唱歌』では、子供が日常会話で使うような口語調の分かりやすく親しみやすい歌詞が採用された。

これはいわゆる「言文一致唱歌」(げんぶんいっちしょうか)と呼ばれるもので、田村虎蔵らによる昔ばなし唱歌は、その先駆けとして歴史的に重要な意義を有している。

ちなみに、『桃太郎』と『浦島太郎』については、現代でも歌われる歌詞とメロディとは異なっている。これら2曲は、明治44年以降の「尋常小学唱歌」で別の作詞者・作曲者による新たな曲として上書きされた。

明治34年 瀧廉太郎の歌曲誕生

明治34年(1901年)、瀧廉太郎が在籍していた東京音楽学校から、尋常中学校向け唱歌集「中学唱歌」が出版された。

同書には、瀧廉太郎の代表曲『荒城の月』および『箱根八里』が掲載された。

これらの曲は、西洋音楽を本格的に取り入れた和洋折衷の日本歌曲であり、日本の近代歌曲の歴史における重要な道標となっている。

明治44年 日本独自の唱歌へ

明治44年(1911年)から数年にわたり発行された文部省「尋常小学唱歌」では、それまで主流だった翻訳唱歌の流れを脱し、日本人の作曲家による日本独自のメロディと歌詞が用いられた唱歌が掲載された。

鳩(はとぽっぽ)』、『かたつむり』、『雪(雪やこんこ)』など、多くの曲が今日でも童謡や愛唱歌として歌われ続けている。

なお、『桃太郎』と『浦島太郎』については、この唱歌集から新たな歌詞とメロディの曲に生まれ変わり、現代までそのまま歌い継がれている。

そして大正時代へ

明治後期に誕生した日本独自の唱歌は、さらに大正時代に入り、北原白秋野口雨情西條八十らの文学的な詩による文学童謡(創作童謡)へと発展していく。

大正時代の有名な歌については、こちらの「大正時代の童謡・唱歌・流行歌」で一覧にまとめている。

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