かたつむり(でんでんむし)

でんでん むしむし かたつむり お前のめだまは どこにある?

『かたつむり』は、1911年(明治44年)に「尋常小学唱歌」第一学年用に掲載された日本の童謡・唱歌

陸に住む巻貝の一種である「かたつむり」は、古くは「蝸牛(かぎゅう)」とも表記され、「でんでんむし」の愛称でも親しまれている。

でんでんむしの愛称の由来については、古典狂言の一つ「蝸牛(かぎゅう)」において、「でんでん むしむし でんでん むしむし」と繰り返し唄われる場面が関係している。狂言「蝸牛(かぎゅう)」のあらすじは後述する。

【YouTube】童謡『かたつむり』

歌詞

でんでん むしむし かたつむり
お前のあたまは どこにある
つの出せ やり出せ あたま出せ

でんでん むしむし かたつむり
お前のめだまは どこにある
つの出せ やり出せ めだま出せ

狂言「蝸牛(かぎゅう)」あらすじ

ある日太郎冠者(たろうかじゃ)は、長寿の薬になるという「かたつむり(蝸牛)」を探してくるよう主人から命じられた。

かたつむりがどんな生き物かまったく知らなかった太郎冠者は、かたつむりの5つの特徴を教えられ、さっそく探しに山へ出かけた。

 太郎冠者が教えられた「かたつむり」その4つの特徴とは、①ヤブの中で、②頭が黒く、③腰に貝をつけ、④時々角(つの)を出し、⑤大きいものは人間位の大きさがある、というものだった。

ちょうどその頃、修行帰りの山伏(やまぶし)がヤブの中で疲れて寝ていた。そこへ通りかかった太郎冠者は、その山伏を「かたつむり」だと勘違いして、主人の元へ連れて帰ろうとする。

山伏は、無知な太郎冠者をからかおうと、無知に乗じて太郎冠者に囃子物(はやしもの)を唄わせ、「でんでん むしむし」と唄い呆けて楽しんでいた。

『ハァ 雨も 風も 吹かぬに 出ざ 釜 打ち割ろう でんでん むしむし でんでん むしむし』

(雨も風もないのに顔を出さないなら 殻を打ち割ってしまうぞ 出て来い虫 出て来い虫)

帰りの遅い太郎冠者の様子を探ろうとやってきた主人は、唄い呆ける太郎冠者を見て驚き、山伏の正体を太郎冠者に悟らせるが、山伏は法力で主人まで巻き込んで唄い呆けさせてしまう。やがて主人と太郎冠者は我に返るが、山伏はひょうひょうと山へ逃げていったのであった。

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