懐かしきケンタッキーの我が家
My Old Kentucky Home

フォスター歌曲/歌のモチーフはフォスターの「いとこ」の家?

『懐かしきケンタッキーの我が家』は、19世紀アメリカの音楽家フォスターが1852年に作曲したアメリカ歌曲。

この曲は、フォスターが訪問したケンタッキー州の従兄弟(いとこ)の法律家ジョン・ローアン(John Rowan)の家(下写真)からインスピレーションを受けて作られた曲と言われている。

ただ、フォスターがジョン・ローアンの家を訪ねたという説については、そもそもフォスターがその時期にその場所へ行った確たる証拠がないということもあってか、これを疑問視する声も多く上がっている。

さらに、「ケンタッキー」という名称は、「故郷の人々(スワニー河)」と同様に単なる語呂の良さで選んだのではないかとする説もあるようだ。

ちなみに、この曲は、アメリカ合衆国ケンタッキー州の州歌としても歌われている。 ケンタッキーフライドチキンのCMソングとしても使われた。余談だが、ケンタッキーフライドチキンの創業者カーネル・サンダースの誕生日は1890年9月9日で、この日の前後は6ピースパックなどが特別価格で販売されることがある。

プランテーションソングの代表曲

フォスター名歌のすべて

突然の不作による黒人一家の離散の悲劇を描く「ケンタッキーの我が家」は、「故郷の人々(スワニー河)」、「主人は冷たい土の中に」と並び、フォスター作曲のプランテーションソングとして有名。

この曲が発表された当時はまだアメリカで奴隷制度が残っていた頃であり、歌詞の中にも「黒人」を表す直接的な単語が用いられている。

今日ではこうした直接的な表現は避けられる傾向にあり、例えば「'Tis summer, the darkies are gay」の「darkies(黒人たち)」は「people(人々)」に変えて歌われることがある。

「アンクル・トムの小屋」からヒントを得た?

「懐かしきケンタッキーの我が家」が出版されたのは1853年のことだが、その前年(1852年)には黒人奴隷問題に大きな影響を与えた歴史的名著「アンクル・トムの小屋<Uncle Tom’s Cabin>」が出版されている。

フォスターがこの書籍を読んだのか確証はないが、「懐かしきケンタッキーの我が家」をフォスターに生み出させた大きな動機の一つになっているとの説も有力に唱えられている。

【試聴】ロバート・ショー合唱団 Robert Shaw Chorale

【試聴】Tom Roush - Original 1853 Lyrics

歌詞・日本語訳(意訳)

ザ・ベスト・オブ・ロジェー・ワーグナー合唱団

Oh, the sun shines bright in the old Kentucky home
'Tis summer, the darkies are gay
The corn top's ripe and the meadows in the bloom
While the birds make music all the day

懐かしきケンタッキーの我が家に太陽が輝く
この夏は、黒人達も楽しそうだ
トウモロコシも実り、草地も茂る
鳥たちは一日中歌を口ずさんでいる

The young folks roll on the little cabin floor
All merry, all happy and bright:
By'n the Hard Times come a knocking at the door
Then my old Kentucky home, goodnight!

若者たちは小さな小屋にやって来て
みんな陽気で明るく楽しそうにしている中
苦難の時が戸を叩く
懐かしき我がケンタッキーの家よ、おやすみ

Chorus:
Weep no more, my lady
Oh, weep no more today!

<コーラス>
もう泣かないで、お嬢さん
おお、今日はもう泣かないで

We will sing one song for the old Kentucky home
For the old Kentucky home, far away

我々は歌う ケンタッキーの我が家のために
ケンタッキーの我が家よ、はるかに

2
They hunt no more for the possum and the coon
On the meadow, the hill and the shore
They sing no more by the glimmer of the moon
On the bench by the old cabin door

夢みる人~世界の愛唱歌

彼らはもうオポッサムもアライグマも狩らない
草原や丘、岸辺でも
彼らはもう歌わない 月明かりの下でも
小屋の戸のそばのベンチの上でも

<注:coonには黒人の意もある>

The day goes by like a shadow o'er the heart
With sorrow, where all was delight:
The time has come when the darkies have to part
Then my old Kentucky home, good night!

喜びに満ちた日々は去り、心に悲しみの影が落ちる
黒人達の別れの時がきたのだ
懐かしきケンタッキーの我が家よ、おやすみ

Chorus:

3
The head must bow and the back will have to bend
Wherever the darkey may go:
A few more days, and the trouble all will end
In the field where the sugarcanes grow

黒人達はどこへ行くにも
頭を下げ腰をかがめなければならない
しばらくすれば、サトウキビ畑での苦難の日々も終わる

A few more days for to tote the weary load
No matter, 'twill never be light
A few more days till we totter on the road
Then my old Kentucky home good night!

どんなにしても軽くならない重荷を
よろめきながら運んでゆく
そんな うんざりする日々も もうすぐ終わる
懐かしきケンタッキーの我が家よ、おやすみ

Chorus:

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