金髪のジェニー 歌詞の意味・和訳

フォスター歌曲/早くも不仲説?!結婚して3~4年後の曲なのに・・・

『金髪のジェニー』は、19世紀アメリカの音楽家スティーブン・フォスターが1854年に作曲したアメリカ歌曲。

原題は『Jeanie with the light brown hair』(ジェニー・ウィズ・ザ・ライト・ブラウン・ヘア)。

同曲が発表されたのは、この曲のモデルである幼なじみのジェーンとフォスターが結婚(1850年)した3~4年後のこと。結婚して翌年(1851年)には長女マリアンも誕生している。

結婚してから数年後の歌だというのに、何故か歌の内容は別れた彼女への未練ばかり・・・。

「金髪のジェニー」が実際の奥さんを意味しているとすれば、この頃既に夫フォスターと妻ジェーンは不仲になっていたのではないか?この辺の事情についてはフォスター特集「結婚生活」のページで。

【YouTube】金髪のジェニー Jeanie with the light brown hair

歌詞の意味・日本語訳(意訳)

I dream of Jeanie
With the light brown hair
Borne, like a vapor
On the summer air

明るい茶色の髪のジェニーの夢を見る
夏の日の空気の中に漂う霞のような

I see her tripping
Where the bright streams play
Happy as the daisies
That dance on her way

目映くきらめく小川で
軽やかに舞う彼女
揺れるヒナギクのように幸せそうに

Many were the wild notes
Her merry voice would pour
Many were the blithe birds
That warbled them o'er

楽しげな歌声からこぼれる幾多の調べに
小鳥たちも陽気にさえずり応える

Oh! I dream of Jeanie
With the light brown hair
Floating, like a vapor
On the soft summer air

明るい茶色の髪のジェニーの夢を見る
夏の日の空気の中に漂う霞のような

2.
I Long for Jeanie
With the daydawn smile
Radiant in gladness
Warm with winning guile

夜明けのジェニーの笑顔に思い焦がれる
喜びに満ち溢れ
いたずらっぽさも愛嬌があり温かい

I hear her melodies
Like joys gone by
Sighing round my heart
O'er the fond hopes that die

過ぎ去りし喜びのような彼女のメロディ
叶わなかった甘い期待に
ため息をつくばかり

Sighing like the night wind
And sobbing like the rain
Wailing for the lost one
That comes not again

夜ごとため息
雨の日にはむせび泣く
二度と戻らないものを
待ち続けながら

Oh! I long for Jeanie
And my heart bows low
Never more to find her
Where the bright waters flow

ジェニーを思い
我が心はこうべを垂れるが
輝くせせらぎに
彼女の姿はもうない

3.
I sigh for Jeanie
But her light form strayed
Far from the fond hearts
Round her native glade

ジェニーを思いため息をつくが
彼女の面影が彷徨うばかり
彼女が生まれた地の
優しき人々から離れ

Her smiles have vanished
And her sweet songs flown
Flitting like the dreams
That have cheered us and gone

微笑みは消え去り
甘い歌声も空に消えていった
かつて私たちを楽しませ
消えていった夢が頭をよぎる

Now the nodding wild flowers
May wither on the shore
While her gentle fingers
Will cull them no more

岸辺の野生の花々は枯れ
彼女の優しい手に
摘まれることはもうない

Oh! I sigh for Jeanie
With the light brown hair
Floating, like a vapor
On the soft summer air

明るい茶色の髪のジェニーを思いため息をつく
夏の日の空気の中に漂う霞のような

日本語歌詞

日本語歌詞については、同じくフォスター歌曲『夢路より(夢見る人)』や『おおスザンナ』の訳詞を手がけた作詞家・津川主一(つがわ しゅいち)による次のような歌詞が知られている。

1.
夢に見しわがジェニーは
ブロンドの髪ふさふさと

小川の岸辺を行き
あたりには雛菊(ひなぎく)笑(え)む

楽しき歌 口ずさびつ
小鳥の歌に合わせて

ああ 夢に見しわがジェニーは
ブロンドの髪ふさふさと行く

2.
ジェニーは晨(あした)の光
さしいずる朝日影

その歌声聞く時
昔の想出(おもいで)かえる

夜のしじまに そぼ降る雨
聞きて偲(しの)ぶや 亡き君

ああ なつかしき面影(おもかげ)を
慕えど君 また帰らず

3.
なつかしきわがジェニーよ
汝(な)が面影いずこぞ

微笑(ほほえみ)も歌も夢
今は跡だにとどめず

水際(みぎわ)に咲く野辺の花も
摘む人なく首垂(うなだ)るる

ああ なつかしきわがジェニーよ
汝(な)が面影はいずこぞや

ヒットしたのは1940年代になってから?!

「金髪のジェニー」が多くの人に受け入れられるようになったのは1940年代以降のことで、フォスターが生きていた時代にはこの曲はあまり売れていなかったと伝えられている。

なぜ1940年代なのかというと、アメリカではちょうどその頃にラジオ局とASCAP(アメリカのJASRACのような著作権管理団体)との間で著作権をめぐる激しい争いがあり、ASCAPが管理していないパブリック・ドメイン(簡単に言えば著作権フリー)の曲をラジオ局がいやみのようにかけまくり、その時に「金髪のジェニー」がよく流れていて人気が出たらしい。

ASCAPとラジオ局の争いといえば近年も形を変えて激しく行われているようだが、こういう争いの中から過去の名曲が発掘されるとはなかなか面白いエピソードである。

【参考文献】 Doo-Dah : Stephen Foster and the Rise of American Popular Culture

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