オーラ・リー Aura Lee 歌詞の意味・和訳
ラブミーテンダー原曲/エルヴィス・プレスリーもカバーした名曲
『Aura Lee』(オーラ・リー)は、1861年にオハイオ州シンシナティでミンストレル・ショー向けに出版されたアメリカ歌曲。
日本では、小学校における音楽の授業で、リコーダーで演奏する楽曲としてよく用いられる。「泉の中に 誰がいるの」が歌い出しの日本語歌詞もある(詳細は後述)。
エルヴィス・プレスリーの名曲『ラブミーテンダー(Love Me Tender)』は、この『オーラ・リー』をカバーしたもの。プレスリーが初出演した映画『やさしく愛して』主題歌として用いられた。
映画『やさしく愛して』は、19世紀アメリカ南北戦争を時代背景としており、その当時を代表するアメリカ歌曲として、1861年に出版された『オーラ・リー』が原曲として用いられた。
1861年頃のアメリカは、史上最悪の「南北戦争」が始まった頃の混乱期。故郷に彼女を残して出兵していった多くの若い兵卒等によって、この『Aura Lee オーラ・リー』が広く歌われていったという。
【YouTube】ミッチ・ミラー合唱団 Aura Lee オーラ・リー
歌詞の意味・日本語訳(意訳)
1.
When the blackbird in the spring
On the willow tree
Sat and rocked, I heard him sing
Singing Aura Lee.
クロウタドリが春に
ヤナギ柳の木でさえずる
座って揺れながら
鳥のさえずりを聞いた
オーラ・リーを歌いながら
Chorus:
Aura Lee, Aura Lee
Maid of golden hair
Sunshine came along with thee
And swallows in the air.
オーラ・リー オーラ・リー
金髪の少女よ
太陽は君と共に
ツバメも飛び交う
2.
In thy blush the rose was born,
Music, when you spake,
Through thine azure eye the morn,
Sparkling seemed to break.
君が頬を染めると バラが生まれた
君が話すと 音楽が生まれた
君の青い瞳から
輝く朝が生まれるようだった
Aura Lea, Aura Lea,
Birds of crimson wing,
Never song have sung to me,
As in that sweet spring.
オーラ・リー オーラ・リー
紅の翼の鳥たちよ
僕が聴いたどんな歌も
あの素敵な春の歌には及ばない
3.
Aura Lea! the bird may flee,
The willow's golden hair
Swing through winter fitfully,
On the stormy air.
オーラ・リー!あの鳥は飛び去るだろう
ヤナギの金色の髪は
冬の間気まぐれに揺れる
嵐のような風に吹かれて
Yet if thy blue eyes I see,
Gloom will soon depart;
For to me, sweet Aura Lea
Is sunshine through the heart.
でも君の青い目を見れば
憂鬱さはすぐに消え去る
僕にとって 素敵なオーラ・リーは
心に注ぐ太陽の光なんだ
4.
When the mistletoe was green,
Midst the winter's snows,
Sunshine in thy face was seen,
Kissing lips of rose.
緑色のヒイラギ 冬の雪の中
君の顔を照らす日の光はまるで
バラのような唇に
キスしてるようだった
Aura Lea, Aura Lea,
Take my golden ring;
Love and light return with thee,
And swallows with the spring.
オーラ・リー オーラ・リー
金の指輪を受け取ってくれ
愛と光は 君とともに帰ってくる
春にはツバメも戻ってくる
日本語歌詞 その1
『Aura Lee』(オーラ・リー)には、様々な日本語歌詞がつけられている。原曲の英語の歌詞に基づく訳詞もあれば、原曲とはまったく関係がない独自の日本語歌詞もある。
ここでは、代表的な三つの日本語歌詞を引用して、その内容を原曲と簡単に比較してみたい。
まずは、教育芸術社の小学校向け音楽教科書に掲載された日本語歌詞(作詞:阪田寛夫)を次のとおり引用してみよう。
泉の中に 誰がいるの
耳をすませば 声がする
オーラリー オーラリー
どこですか
水の精たち 姿見せて
1番のみの短い歌詞で、内容としては原曲からほぼ切り離された日本語独自の歌詞となっている。
泉の中にいる「水の精」という西洋の童話のような世界観で、何とも幻想的で不思議な感じが漂っている。
この歌詞における「オーラリー」とは、水の精たちの声なのか、それとも名称なのか、複数の解釈が可能なように思われる。
童話のようなストーリーの続きが気になるが、残念ながら歌詞はこれだけしかないようだ。
日本語歌詞 その2
次に、作詞:安田 二郎による『Aura Lee』日本語歌詞を引用して、その内容を確認してみたい。
過ぎゆく春を 告げる鳥
いまも歌うは 愛の歌
オーラリー オーラリー
うるわしの
黄金の髪は 日に輝く尽きぬ思い出 胸に秘め
心に呼ぶは 愛し君
オーラリー オーラリー
うるわしの
黄金の髪は 日に輝く
この歌詞では、原曲の内容を踏まえた訳詞となっている。2番までという短い歌詞で、限られた文字数にも関わらず、原曲の主人公と女性の関係性や時間の流れを巧みに表現している。
日本語歌詞 その3
最後に、作詞:小林幹治による『Aura Lee』日本語歌詞を引用して、その内容を確認してみよう。
1.
明るい空の 彼方から
小鳥のように 降りて来る
オーラ・リー オーラ・リー
空を行く
春のそよ風 ブロンド娘2.
パイプくわえて まどろめば
夢の牧場に 降りて来る
オーラ・リー オーラ・リー
空を行く
春のそよ風 ブロンド娘3.
田舎の町の 片すみの
小犬の背中に 降りて来る
オーラ・リー オーラ・リー
空を行く
春のそよ風 ブロンド娘
この歌詞では、原曲に登場する単語がある程度使われているが、内容的には原曲から離れ、春のそよ風が吹き渡る自由な世界観が描写されている。「ブロンド」とは「金髪」のこと。
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