ボヘミアン・ラプソディ 歌詞の意味・和訳・解釈

オペラ・ロック・バラードをメドレーで組み合わせたクイーンの代表曲

『Bohemian Rhapsody』(ボヘミアン・ラプソディ)は。1975年に発売されたクイーン(Queen)の楽曲。作詞・作曲:フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)。

歌詞の意味・内容は解釈が分かれるが、フレディ・マーキュリーが自身の事を歌ったとする興味深い解釈がネットではよく見られる。

このページでは、『Bohemian Rhapsody』の英語の歌詞を簡単に和訳したうえで、フレディ自身の事を歌ったとする解釈について、その内容を解説してみたい。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」

ジャケット写真:映画「ボヘミアン・ラプソディ」

曲名の意味について

歌詞の意味・解釈に入る前に、曲名『Bohemian Rhapsody』の単語の意味について簡単に補足しておく。

ボヘミアン Bohemian

「ボヘミアン」とは、ロマ(ジプシー)などの移動型民族・放浪者のこと。チェコのボヘミア地方に多く住んでいたことに由来する。

別の意味としては、社会の習俗に逆らい、自由奔放な放浪生活に生きる芸術家・知識人を指すこともある。

ちなみに、スメタナ『モルダウ』はボヘミアの風景を題材としている。ドヴォルザークは北ボヘミア出身。ドイツ歌曲『流浪の民(るろうのたみ)』にも関連する。

ラプソディ Rhapsody

「ラプソディ」とは、音楽用語で「狂詩曲」のこと。自由奔放な形式で、民族的または叙事的な内容を表現した楽曲。

異なる曲調をメドレー構成にする場合があり、『ボヘミアン・ラプソディ』では、アカペラ、バラード、オペラ、ハードロック、バラードというメドレーになっている。

クラシック音楽におけるラプソディ作品としては、フランツ・リスト『ハンガリー狂詩曲』、『スウェーデン狂詩曲』、ガーシュウィン『ラプソディー・イン・ブルー』などが有名。

【YouTube】 Queen – Bohemian Rhapsody

歌詞の意味・和訳(意訳)

『Bohemian Rhapsody』

作詞・作曲:フレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)

Is this the real life?
Is this just fantasy?
Caught in a landslide
No escape from reality

これは現実?
それとも幻覚?
地滑りに飲まれ
現実から逃れられない

Open your eyes
Look up to the skies and see
I’m just a poor boy
I need no sympathy

目を開けて
空を見上げて見て
僕はただの哀れな少年
同情なんて要らない

Because I’m easy come, easy go
Little high, little low
Any way the wind blows
Doesn’t really matter to me, to me

気ままに生きてるから
少し良い事もあれば
少し嫌な事もある
いずれにせよ風は吹くのさ
僕には本当に大したことじゃない 僕にはね

Mama, just killed a man
Put a gun against his head
Pulled my trigger
Now he’s dead

ママ 今人を殺してきた
頭に銃をつきつけて
引き金を引いたら
死んでしまった

Mama, life had just begun
But now I’ve gone
And thrown it all away

ママ 人生は始まったばかりなのに
僕はもうおしまい
すべてを投げ捨ててしまった

Mama, ooh
Didn’t mean to make you cry
If I’m not back again
This time tomorrow
Carry on, carry on
As if nothing really matters

ママ あぁ
悲しませるつもりはなかったんだ
明日の今頃になって
もし僕が帰ってこなくても
変わらず暮らしてほしい
まるで何もなかったみたいに

Too late, my time has come
Sends shivers down my spine
Body’s aching all the time

手遅れさ 報いを受ける時が来た
背筋が震えて
体がずっと痛んでる

Goodbye, everybody
I’ve got to go
Gotta leave you all behind
And face the truth

さよなら みんな
僕は行かなきゃならない
みんなと別れて
現実に向き合うのさ

Mama, ooh
(Any way the wind blows)
I don’t wanna die
I sometimes wish
I’d never been born at all

ママ ああ
(いずれにせよ風は吹くのさ)
死にたくないよ
時々思うんだ
いっそ生まれてこなきゃよかったって

I see a little silhouetto of a man
Scaramouche, Scaramouche
Will you do the Fandango?

小さな人影が見える
スカラムーシュ スカラムーシュ
ファンダンゴを踊ってくれないか?

Thunderbolt and lightning
Very, very frightening me

(Galileo) Galileo, (Galileo) Galileo
Galileo Figaro magnifico

稲妻と雷鳴が
僕をとても怖がらせる
ガリレオ ガリレオ
ガリレオ フィガロ 偉人よ

But I’m just a poor boy
Nobody loves me

He’s just a poor boy
From a poor family

Spare him his life
From this monstrosity

でも僕はただの哀れな少年
誰も僕を愛してくれない

彼は哀れな家庭に育った
ただの哀れな少年

奇怪な運命から
彼を救いたまえ

Easy come, easy go
Will you let me go?
Bismillah! No
We will not let you go
(Let him go!)
Bismillah! We will not let you go
(Let him go!)
Bismillah! We will not let you go
(Let me go)
Will not let you go
(Let me go)
Will not let you go
(Let me go) Ah
No, no, no, no, no, no, no

気ままに生きてるだけなんだ
僕を見逃してくれないか?

神の御名において!我らはお前を逃がさない
(逃がしてくれ)
お前を逃がさない
(逃がしてくれ)
お前を逃がさない
(逃がしてくれ)

駄目だ 駄目だ 駄目だ

(Oh, mamma mia, mamma mia)
Mamma mia, let me go
Beelzebub has a devil
Put aside for me, for me, for me!

(ああ なんてことだ)
なんてことだ 僕を逃がして
魔王ベルゼブブが
悪魔を僕に差し向ける!

So you think
You can stone me
And spit in my eye?

君は僕に石を投げて
目にツバを吐けると思ってるのか?

So you think
You can love me
And leave me to die?

君は僕を愛して
僕が死ぬまで
放っておけると思ってるのか?

Oh, baby
Can’t do this to me, baby!
Just gotta get out
Just gotta get right outta here!

あぁ ベイビー
僕にそんな事できないさ ベイビー!
逃げ出さなきゃ
ここからすぐに逃げ出さなきゃ!

Nothing really matters
Anyone can see
Nothing really matters
Nothing really matters to me

Any way the wind blows

たいしたことじゃない
誰でも分かるさ
たいしたことじゃない
たいしたことじゃないんだ 僕にはね

いずれにせよ風は吹くのさ

オペラ部分の単語について

ガリレオなどが歌詞に登場するオペラ部分の単語について、意味を簡単に補足してみたい。オペラが発展したイタリアに関する語句が多い。

スカラムーシュ

スカラムーシュ(scaramouche)とは、イタリアの即興喜劇「コメディア‐デラルテ」(コンメディア・デッラルテ)の道化役。黒い衣装をつけ、ほらをふき、空いばりする臆病者。

ファンダンゴ

ファンダンゴ(Fandango)とは、スペインのアンダルシア地方の民俗舞踊およびその舞曲。テンポの速い三拍子のフラメンコ風舞曲で、二人が一対になってカスタネットを奏しながらギターの伴奏で踊る。

ガリレオ

ガリレオ(Galileo)とは、イタリアの物理学者・天文学者ガリレオ・ガリレイ(Galileo Galilei/1564-1642)のこと。地動説を唱えて異端者とされ、カトリック教会から有罪判決を受けた。

フィガロ

フィガロ(Figaro)とは、イタリアの作曲家ロッシーニが作曲したオペラ『セビリアの理髪師』に登場する反権力的な理髪師の名前。モーツァルトのオペラ『フィガロの結婚』にも登場する。

マニフィコ

マニフィコ(マグニフィコ/magnifico)とは、「優れたランクまたは外観の人」のこと(Weblio英和辞書より)。固有名詞ではなく、この歌詞では直前のガリレオとフィガロを称えている。そのほか元のイタリア語で「貴人、貴族、高官」等の意味もある。

ビスミッラー

ビスミッラー(ビスミラー)とは、イスラーム教の聖典クルアーンに登場する定型句「バスマラ(Basmala)」の一部。「神の御名において」という意味で、アラビア語では、食事の際の「いただきます」を言う場面でも使われる。

ベルゼブブ

ベルゼブブ(Beelzebub)とは、キリスト教における悪魔の一人。旧約聖書「列王記」では「バアル・ゼブブ」、新約聖書「マタイ福音書」などでは「ベルゼブル」の名で登場する 。ヘブライ語で「ハエの王」を意味する。

ヨーロッパで流布した魔術書グリモワールでは「ベルゼビュート(Belzébuth)」の名で登場し、実力ではサタンを凌ぐとも言われる大悪魔、魔王とされる。

歌詞はフレディ自身のこと?

上述のとおり、『ボヘミアン・ラプソディ』の歌詞については、「フレディ・マーキュリーが自身の事を歌った」とする解釈がネットでは見られる。

具体的には二つの内容があり、「ボヘミアン」がフレディ自身を指しているとする解釈と、殺してしまった「彼」がフレディ自身であるとする解釈である。以下、一つずつ確認してみたい。

ボヘミアン=フレディ

フレディは東アフリカのタンザニア(ケニアの南側)で生まれた。父はインド生まれのゾロアスター教徒。

インドで幼少期の大半を過ごし、16歳の頃にタンザニアに戻るが、その翌年に起きた革命の混乱から逃れるため家族でイングランドへ移住した。

タンザニアからインド、タンザニア、そしてイングランドと、遠く離れた複数の国々を転々とする生活は、まるで移動型民族・放浪者であるボヘミアンのスタイル。

こうした少年期の度重なる移住生活の記憶が、フレディとボヘミアンという言葉を遠からず関係づけているのかも知れない。

殺してしまった彼=フレディ

公に明かす事はなかったが、フレディは両性愛者であったと言われる。また、ロックのイメージに合わないからか、インド生まれの過去を隠したがっていたとされ、メンバー内でもその話は避けていたという。

プロのアーティストとして振る舞うため、こうした出自や指向の悩みを押し殺すように、本当の自分を隠しながら音楽活動を続けていたフレディ。

それはまるで、自分自身の手で本当の自分を殺してしまったかのような感覚だったのかも知れない。

または、偽りを続ける偽物の自分を自らの手で葬って、本当の自分を取り戻し、何もかも捨てて風のふくまま自由に生きたいという願望の表れとも解釈できるように思われる。

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