ラプソディー・イン・ブルー
Rhapsody in Blue
ジョージ・ガーシュウィン(George Gershwin/1898-1937)
『ラプソディー・イン・ブルー Rhapsody in Blue』は、ロシア系アメリカ人のジョージ・ガーシュウィンが1924年に作曲したピアノ独奏を含む管弦楽曲。
1920年代のアメリカはジャズが爆発的に流行しており、この曲もポール・ホワイトマン(Paul Whiteman)率いるジャズバンド向けに作曲された。
伝統的なクラシック音楽とアメリカのジャズを融合させた「シンフォニック・ジャズ symphonic jazz」として高い評価を受けたが、ガーシュウィン自身は同曲のカテゴリを単に「Jazz Band and Piano」と呼んでいたという。
【YouTube】ラプソディー・イン・ブルー バーンスタイン 1976
特徴的なクラリネットのグリッサンド
『ラプソディー・イン・ブルー Rhapsody in Blue』を特徴付けるパートの一つに、冒頭のクラリネットが奏でる低音からのグリッサンド奏法が挙げられる。
グリッサンド (glissando)とは、一音一音を区切らず音高を滑らかに上げ下げする演奏技法。ベンチャーズがエレキギターで行った「テケテケサウンド」もグリッサンドの一種(スライド・グリッサンド)。
当初ガーシュウィンは、冒頭のクラリネットのパートをグリッサンドでなく17音の上昇音階で記していたが、ホワイトマン楽団のクラリネット奏者がふざけてグリッサンドで演奏したところ、ガーシュウィンが気に入ってそのように書き改められたという。
ホワイトマン楽団によるオーケストレーション
ロシア系移民としてニューヨークのブルックリンで生まれ育ったガーシュウィン。家は貧しく、音楽家を志すものの、音楽学校などによる体系的な音楽教育を受けることはなかった。
個人教師の指導によりピアノ技術を高めていったが、オーケストレーション(管弦楽曲への編曲)については、『ラプソディー・イン・ブルー』作曲当時はまだ経験・技術に乏しい状況だったと思われる。
同曲の作曲をホワイトマン楽団から依頼された際も、まずガーシュウィンがピアノ向けに作曲した上で、それをホワイトマン楽団のジャズ・ピアニストであるファーディ・グローフェがオーケストレーションを施していくというプロセスを経て作曲されたという。
これについては、納品までの期限が短く、多忙なガーシュウィンに時間的な余裕がなかったこともあるだろうし、ホワイトマン楽団向けの楽曲として同楽団の演奏スタイルや特徴を十分に発揮させるため、同楽団の事情に精通した楽団員に直接アレンジさせたかったという本音もあったように見受けられる。
実際、『ラプソディー・イン・ブルー』のオリジナルの楽譜では、木管楽器の頻繁な持ち替えがあるなど特異なアレンジが散見され、公式の出版もなされなかった。
今日コンサートで演奏される楽譜としては、ガーシュウィン作品を扱う出版社の編集者フランク・キャンベル=ワトソンが1942年に改訂した稿が用いられることが多いようだ。
ピアノ向け楽譜としては、2台のピアノ向け、ピアノ・ソロ向けの楽譜が、ガーシュウィン自身によりそれぞれ完成されている。
編曲者グローフェとアメリカ横断ウルトラクイズ
余談だが、『ラプソディー・イン・ブルー』のオーケストレーションを担当したホワイトマン楽団のグローフェは、日本でも比較的有名な楽曲をいくつか作曲している。
その一つである『ミシシッピ組曲』の第4曲「マルディグラ Mardi gras」は、往年の人気テレビ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」において、クイズに正解し次のステージへ勝ち抜けが決まった時に流れる音楽・BGMとしてファンファーレ的に使われている。
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