春の小川
日本の童謡・唱歌/作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一
『春の小川』は、作詞:高野辰之、作曲:岡野貞一のコンビによる日本の童謡・唱歌。1912年(大正元年)12月の「尋常小学唱歌」第四学年用に掲載された。
高野辰之が当時住んでいた東京府豊多摩郡代々幡村(現在の渋谷区代々木)周辺を流れる河骨川の情景を歌ったものとされている(後述)。
写真:佐奈川の桜並木(愛知県豊川市)
【YouTube】春の小川
歌詞
春の小川は さらさら行くよ
岸のすみれや れんげの花に
すがたやさしく 色うつくしく
咲けよ咲けよと ささやきながら
春の小川は さらさら行くよ
えびやめだかや 小ぶなのむれに
今日も一日 ひなたでおよぎ
遊べ遊べと ささやきながら
れんげの花はゲンゲ
一番の歌詞にある「れんげの花」は、マメ科ゲンゲ属のゲンゲのこと。レンゲソウ(蓮華草)や、単にレンゲとも呼ばれる。これに対して、『ひらいた ひらいた』の「蓮華の花」はハスの花なので別物。
関連ページ:わらべうた『れんげ摘もか(つもか)』(ゲンゲの写真あり)
『春の小川』の歌碑はNHKホールの近く
河骨川は宇田川の上流にあたり、小田急線の代々木八幡駅付近の線路沿いには、『春の小川』の歌碑が建てられている(下写真)。渋谷のNHKホールから歩いていける。
現在、河骨川や宇田川のほとんどはフタが閉まった状態の暗渠(あんきょ)となっている。地面の下の宇田川は、井の頭通りの道路の下を流れ、渋谷駅東口の北側で渋谷川に合流する。
ウォーキングなどで、代々木八幡駅付近からNHK放送センター、井の頭通り、渋谷駅周辺への「春の小川」探検をしてみると面白いかもしれない。
デパ地下がない渋谷の某百貨店と春の小川の意外な関係とは?
渋谷の東急百貨店東横店の東館には、何故か百貨店にツキモノのいわゆる『デパ地下』がない。
これは、春の小川の流れをくむ宇田川の支流である渋谷川が地下に流れているためだ。地上に百貨店がある川は、日本広しと言えど渋谷川だけだろう。
また、西武百貨店渋谷店のA館とB館の間には、複数の連絡橋があるが地下連絡通路がない。
これは、A館とB館を隔てる井の頭通りの下に、コンクリートの蓋で暗渠(あんきょ)化された宇田川が流れているからだ(写真:西武百貨店渋谷店A館とB館)。
コンクリートで蓋をされた宇田川は、もはや自然の「川」の面影はどこにもない。さらさらと流れていた春の小川の流れは、皮肉にもその上を慌しく行き交う人の流れに取って代わられてしまった。
ちなみに、渋谷川をずっとさかのぼっていくと、あの新宿御苑に辿り着くという。新宿御苑の園内には玉藻池という池があり、そこから湧き出る水が渋谷川の流れを生み出しているらしい。
シベリウス カレリア組曲と似てる?
岡野貞一が作曲した日本の童謡・唱歌『春の小川』のメロディは、フィンランドの国民的作曲家ジャン・シベリウスによる組曲『カレリア』の一曲との類似性が指摘されることがある。
おそらくは「他人の空似」と思われるが、意識しながら聴いてみると面白いかもしれない。
【YouTube】組曲『カレリア』より「バラード」
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