動物園へ行こう 英語の歌詞と比較

パパと一緒の動物園 一日中遊んで満足…ではなく明日も!?

『動物園へ行こう』は、NHK「みんなのうた」で1975年2月に初回放送された子供向けのうた。NHK「おかあさんといっしょ」でもカバーされた。

原曲は、アメリカのシンガーソングライター、トム・パクストン(Tom Paxton/1937-)が1964年に発表した『Goin' to the Zoo』(ゴーイン・トゥー・ザ・ズー)。

上野動物園 入り口

このページでは、NHK「みんなのうた」で放送された日本語歌詞(訳詞:海野洋司)と、原曲『Goin' to the Zoo』の英語の歌詞について、意味や内容を簡単に比較しながらまとめてみたい。

ちなみに、訳詞者の海野洋司は、ヴィヴァルディ『冬』のメロディに作詞した『白い道』や、ビゼーのオペラに作詞した『小さな木の実』でも有名。

写真:上野動物園 入り口(東京都台東区/出典:Wikipedia@Kakidai)

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一番の歌詞

まずは、『動物園へ行こう』一番の歌詞を次のとおり引用する。

動物園へ 行こうよ
みんなで 行こうよ
動物園は Zooってんだ
さぁ行こう

<引用:海野洋司 訳詞『動物園へ行こう』一番の歌詞より>

原曲の英語の歌詞を活かすために、ここで動物園が英語で「Zoo(ズー)」ということがキチンと説明されているのが興味深い。

「Zooってんだ」の「てんだ」は、「~って言うんだ」の省略形。英語向けのメロディに日本語歌詞を当てはめる訳詞者の苦労が垣間見える。

さて、この歌詞に対応する原曲の英語の歌詞を見てみよう。

Daddy's taking us
to the zoo tomorrow
Zoo tomorrow, zoo tomorrow;
Daddy's taking us
to the zoo tomorrow
We can stay all day

<引用:Tom Paxton『Goin' to the Zoo』一番の歌詞より>

歌詞の意味は、「パパが明日動物園に連れてってくれる。一日中いられるんだ。」といった内容。

原曲では、日本語歌詞には無かった「パパ(ダディ Daddy)」が冒頭から登場する。ここで「パパ」が登場することが、歌詞の最後でオチに使われるのだが、日本語版ではこの伏線はカットされている。

コーラスの歌詞

次に、『動物園へ行こう』コーラス部分の歌詞を見てみよう。

さぁもうすぐ
Zoo Zoo Zoo
きみも
You You You
おいで
Go Go Go
そら 来た来た
Zoo Zoo Zoo

<引用:海野洋司 訳詞『動物園へ行こう』一番の歌詞より>

ここは原曲と同じく、英単語の「zoo(ズー)」と「you(ユー)」が「ウー」の音で韻を踏んでいる。対応する英語の歌詞は次のとおり。

We're going to the zoo, zoo, zoo;
How about you, you, you?
You can come too, too, too
We're going to the zoo, zoo, zoo

<引用:Tom Paxton『Goin' to the Zoo』コーラスの歌詞より>

英語の歌詞では、「zoo(ズー)」と「you(ユー)」に加えて、さらに「too(トゥー)」でも韻を踏んでいるのが分かる。

訳詞者も出来れば「too(トゥー)」を日本語歌詞に取り入れたかっただろうが、日本の子供たちにも馴染みのある「Go(ゴー)」という単語を使うことで、日本の子供たちにとっての理解のしやすさ・親しみやすさを優先したのではないかと推測される。

なお、英語版のコーラス部分は以降も同じ歌詞で歌われるが、日本語版では、それぞれ登場する動物の擬声語・擬態語に差し替えられている。

登場する動物の違い

『動物園へ行こう』の原曲では、2番:ゾウ、3番:サル、4番:クマ、5番:オットセイのように、1番ずつ一つの動物が登場する。

これに対して、日本語版の歌詞では、2番でゾウとオットセイ、3番でサルとクマがまとめて登場しており、その順番もなぜかシャッフルされている。

さらに日本語版では、4番でクジャクとワニ、5番でパンダ、キリン、カバ、トラ、ライオン、ペンギンと一気に動物名が列挙され、原曲よりも数多くの動物を登場させることで、より現代的な動物園らしい賑やかな雰囲気を演出しようとしているように感じられる。

遊び疲れて眠くなる6番

『動物園へ行こう』6番の歌詞では、原曲も日本語版も、一日中動物園で遊び疲れ、眠くてウトウトしてしまう様子が描写されている。

楽しいけど そろそろ
お日さま 沈むぞ
もう眠いぞ お家へ
帰ろうか

おや どうした
スー スー スー
みんなコックリコ
今日は一日中
くたびれたよ
Zoo Zoo Zoo

<引用:海野洋司 訳詞『動物園へ行こう』六番の歌詞より>

英語の歌詞では、パパが運転する車に乗って、家に帰る途中で眠くなってしまうという内容だが、日本語版では移動手段についての説明がないため、子供たちがどこで眠くなっているのかよく分からない。

We stayed all day and we're gettin' sleepy
Sittin' in the car gettin' sleep sleep sleepy
Home already and we're sleep sleep sleepy
We have stayed all day

<引用:Tom Paxton『Goin' to the Zoo』六番の歌詞より>

なお原曲では、この6番はかなりのスローテンポでけだるい感じで歌われる。スローで歌うことで眠気やまどろみが表現されるユニークな部分なのだが、日本語版ではこうしたテンポの変化はつけずに歌われるようだ。

また、6番をスローテンポにすることで、最後の7番で通常テンポに戻った時の躍動感が増し、最後のオチとの相乗効果で、より爽快なフィナーレが演出されているように感じられる。

原曲のオチについて

原曲では、パパと一緒の動物園。一日中過ごして疲れるまで遊びまわって、さぞかし満足しただろうと思われたが、最後の7番の歌詞では、「明日はママと動物園に行くんだ!」と快活で陽気な様子で歌は締めくくられる。

原曲の7番の歌詞は、1番の歌詞の「Daddy(パパ)」を「Momma(ママ)」に差し替えただけなのだが、それがそのままオチとして成り立っているという点が実に素晴らしい。

日本語版の7番の歌詞でも、明日も動物園に行くことが宣言されているが、原曲のようにニヤッとさせられるようなオチた感じは出ていないように思われる。この辺は訳詞の難しい所だろう。

あの曲に似てる?

余談だが、『動物園へ行こう』のメロディを耳にしたとき、「何かの曲に似ている気がするんだけど、それが何だったか思い出せない。」という方はいらっしゃらないだろうか?

そんなモヤモヤを解決すべく、おそらくこの曲ではないかという「似ている曲」候補を2曲ご紹介しておきたい。

まず1曲目は、アメリカの童謡『10人のインディアン Ten Little Indians』。19世紀アメリカで作曲された古い曲が原曲。

『Goin' to the Zoo』の原曲もアメリカのシンガーソングライターによる作品なので、アメリカの他の童謡と雰囲気が似てくることはあるだろう。

そして2曲目は、アメリカやイギリスの童謡『THE WHEELS ON THE BUS(ホィールズ・オン・ザ・バス/バスの歌)』。こちらはメロディだけでなく、歌詞の繰り返し方も似ている。

これらの童謡と比較しながら、『動物園へ行こう』のメロディを改めて聴いてみると、何か面白い発見があるかもしれない。

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訳詞者:海野洋司による他の作品

白い道
『動物園へ行こう』訳詞者の海野洋司によるクラシックカバー曲
小さな木の実
同じく海野洋司によるクラシックカバー曲