ヘンリー・クレイ・ワーク アメリカの作曲家
『大きな古時計』を作曲した19世紀アメリカの音楽家
ヘンリー・クレイ・ワーク(Henry Clay Work/1832-1884)は、『大きな古時計』を作曲した19世紀アメリカの作曲家。コネチカット州ミドルタウン出身。
「19世紀アメリカ民謡の父」と讃えられるスティーブン・フォスターとほぼ同世代で、ヘンリー・クレイ・ワークの方がフォスターより6歳年下。
写真は、ヘンリー・クレイ・ワーク生誕の地、コネチカット州・ミドルタウンにあるユニオン・パーク内の銅像(出典:Wikipedia)。
代表曲は、『大きな古時計』のほか、『大きな古時計 続編』、『ジョージア行進曲(Marching Through Georgia)』が有名。
『大きな古時計 続編』は、『大きな古時計』の大ヒットを受けて2年後に作曲された。おじいさんの死後に時計がどうなったかを描く後日談的ストーリーだが、こちらはあまりヒットしなかったようだ。
『ジョージア行進曲』は、日本の大正時代に替え歌『パイのパイのパイ(東京節)』として流行した。
1865年に発表された『Ring the Bell, Watchman!(リング・ザ・ベル、ウォッチマン!)』は、オーストラリアで羊の毛を刈るショーで使われる『調子をそろえてクリック クリック クリック!』の原曲となっている。
父親は熱心なアボリショニスト
ワークの父親は、熱心なアボリショニスト(奴隷制度反対論者)だった。彼の家は、奴隷逃亡を援助する秘密組織「アンダーグラウンド・レールロード(地下鉄道/Undergroung Railroad)」の秘密拠点としても使われたという。
父親の影響を受けてか、ワークもアボリショニストとして奴隷制度反対に向けた活動を行っていたようだ。
奴隷制度を最大の焦点としたアメリカ南北戦争では、制度反対の北部州側につき、北軍の快進撃を歌った『ジョージア行進曲(Marching Through Georgia)』を作曲している。
19世紀アメリカの歴史
次々と領土を拡大していった19世紀前半のアメリカでは、北部(北東部)・南部・西部という三大セクションが形成されていた。
工業が発達していた北部では中央集権を唱え、更なる工業化を促進するための保護関税政策を要求。
これに対して黒人奴隷を使ったプランテーションが発達していた南部では州権論を唱え、中央集権や保護関税政策に反対。
当時のアメリカでは、西部開拓により新たに州が誕生する際、その州を自由州(奴隷制度を認めない)にするか奴隷州(奴隷制度を認める)にするかで常に争いが起きていた。
南北戦争でワークは北部州支持
ワークが20代後半を迎えていた1860年の大統領選挙において、奴隷制度反対の共和党から選出されたエイブラハム・リンカーンが当選.。
これに決意を固めた南部奴隷諸州は、1860年12月にサウスカロライナ州が連邦脱退を宣言したのを皮切りに、数ヶ月の間に11もの州が脱退。1861年2月には、脱退した南部諸州によりアメリカ連合国(アメリカ連邦)が結成された。
そして1861年4月、ワークが28歳の時に、南部連合軍が北軍のサムター要塞に砲撃を開始。以後4年間に渡って死者60万人以上を出した未曾有のアメリカ国内戦争(The Civil War)が勃発した。
この南北戦争において北軍を支持していたワークは、『ジョージア行進曲』のほかにも、「God Save The Nation (1862) 」「Uncle Joe's Hail Columbia (1862) 」など、北軍を讃える数々の行軍歌・アンセムを作曲している。
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