ネズミの餅つき歌 おむすびころりん
猫がいなけりゃネズミの天下 極楽浄土のまん中だ♪
『ネズミの餅つき歌(もちつきうた)』とは、日本の民話・昔ばなし「おむすびころりん」において、お爺さんを招待したネズミ達がお土産用のお餅をつく際に歌う短い作業歌(仕事歌・労働歌)。
画像:まんが日本昔ばなし「ネズミ浄土」(1978年)より
「おむすびころりん」に関する歌といえば、山でおむすびが穴に落ちたときの「♪おむすびころりん すっとんとん♪」が有名だが、『ネズミの餅つき歌』の方が歴史が深く、「すっとんとん♪」が考案される以前にすでに存在していた歌である。
具体的には、「おむすびころりん」のルーツである日本の民話「ネズミ浄土」において、すでにネズミ達が餅つきの際に歌っていた歌であり、日本各地の「ネズミ浄土」の中で地方によっていくつかバリエーションも存在している。
このページでは、民話「ネズミ浄土」における『ネズミの餅つき歌』について、日本各地の「ネズミ浄土」におけるバリエーションをいくつかご紹介したい。
なお、民話「おむすびころりん」のルーツ・由来・歴史等については、「地蔵浄土」、「団子浄土」、「ネズミ浄土」等のストーリー解説ページを適宜参照されたい。
ネズミの餅つき歌 その1
猫さや来ねば 国ゃわがもんだい
スットンカタン スットンカラン<島根県 出雲かんべの里 Webサイトより>
猫さえ来なければネズミの天下だと歌う。この「猫さえいなければ」型が全国的に基本の型となっているようだ。
ネズミの餅つき歌 その2
猫さえおらねば ネズミの世の中
ストトン ストトン<石川県鹿島郡中能登町(鳥屋地区)の文化・歴史より>
これも典型的な「猫さえいなければ」型。
ネズミの餅つき歌 その3
この世にノーエ 猫やイタチがいなければ
極楽浄土のまん中だ ぺタンコ ぺタンコ<石川県鹿島郡中能登町(鳥屋地区)の文化・歴史より>
このケースでは、猫だけでなくイタチも天敵として挙げられている。「ネズミ浄土」の「浄土」というキーワードがさらりと回収されているのもポイントが高い。
ネズミの餅つき歌 その4
テンやイタチや ネコさえおらにゃぁ ネズミの世の中
チャンカチャンカ チャンカチャンカ<フジパン 民話の部屋 「ネズミ浄土」(石川県)より>
ネズミのお姉さまたちの踊り付き。ネズミの天敵として、ネコ以外にテンやイタチが登場する。テンはイタチ科の雑食獣。
ネズミの餅つき歌 その5
ねこっこ にゃんたら どやすべな
たんたらとん たんたらとん♪
<まんが日本昔ばなし「ネズミ浄土」1978年放送>
「猫が鳴いたらどうしよう(猫の鳴き声が怖い)」と、自分たちネズミの一番嫌いなものを改めて教えてくれるという、物語上の前フリとなっている。
まとめ
『ネズミの餅つき歌』のパターンとしては、「猫さえいなければ」型と、「猫がないたらどうしよう」型の二つに大きく分けられるようだ。
いずれにしても、自分たちネズミの天敵はネコであることをストーリー上で改めて前振りすることで、その直後のネコの鳴き真似の分かりやすい伏線となっていることがよくわかる。
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