ネズミ浄土 おむすびころりんのルーツ?

猫が鳴いたらどうしよう?! ネズミの餅つき たんたらとん♪

ネズミ浄土(鼠浄土/鼠の浄土/ねずみじょうど)は、有名な昔ばなし「おむすびころりん」とよく似たストーリーを持つ日本の古い民話・昔ばなし。「ネズミの餅つき」とも題される。

ネズミ浄土のストーリーにおける一般的な特徴としては、「おむすびころりん」とは異なり、おむすびではなく団子や餅、豆などが穴に落ちるという点が挙げられる。

また、日本昔ばなし版「ネズミ浄土」のように、穴に食べ物が落ちるのではなく、穴から出てきたネズミに食べ物を手渡しで分け与えていく演出もありうるようだ。

このページでは、アニメ「まんが日本昔ばなし」で1978年にテレビ放送された「ネズミ浄土」のストーリー・あらすじに触れながら、「おむすびころりん」との違いや、「ネズミ浄土」のルーツともいえる民話「地蔵浄土」との関係などについて、簡単にまとめてみたい。

まんが日本昔ばなし版「ネズミ浄土」1978年

優しい正直爺さんは山へ薪(たきぎ)を取りに出かける。お弁当は、優しいお婆さんが作ってくれた「きゃんば餅」。

お昼になり、お爺さんが餅を食べていると、餅の香りに誘われて穴からネズミが顔を出した。

お爺さんは餅を小さくちぎってネズミに手渡すと、ネズミはペコリと丁寧におじぎをして穴の中へ消えていった。

すると仲間のネズミも次々とお爺さんの前に行列をつくり、お爺さんから少しずつお餅をちぎって手渡しで優しく分けてもらう。

餅をもらったネズミはみんな、おじいさんにペコリと丁寧におじぎをして帰っていった。

優しいお爺さんは自分が食べる分のお餅も全部ネズミたちに分け与えてしまったが、おじいさんはニコニコしてネズミたちを見送った。

すると突然、お餅をもらったネズミたちが、お爺さんの体をお神輿のように担ぎ上げた。そしてそのままわっしょいわっしょいと進んでいき、地面の下のネズミの家へとお爺さんを運んで行った。

そこでは、ネズミたちの両親がお爺さんを出迎え、子供がお餅をご馳走になったお礼として、両親ネズミが歌いながら餅つきを始めた。

「ねこっこ にゃんたら どやすべな たんたらとん たんたらとん♪」

つきあがった餅をお土産に持ち帰ったお爺さん。家で包みを開けると、それは黄金の小判に変わっていた。

すると隣の意地悪ババアがすぐに異変に感づき、優しい正直爺さんの家へ乗り込むと、小判を手に入れた経緯を聞き出した。

悪い爺さんも真似をするが、餅のあげ方が乱暴。優しいお爺さんのように小さくちぎらず、大きな餅を丸ごと放り投げ、ネズミたちは困惑。ケガをするネズミも。

ネズミの家に着くと、餅がつきあがるのを待ちきれず、ネコの鳴き真似をしてネズミを追い払い、その隙に餅をすべて奪って帰ろうとした。

すると家のあかりが消えてしまい、真っ暗になって帰り道が分からなくなってしまった。その後、悪い爺さんがどうなったかは分からない。

きゃんば餅

まんが日本昔ばなし版「ネズミ浄土」では、お婆さんがお弁当に「きゃんば餅」というお餅を作る。

この「きゃんば餅」とは岩手県の名物で、柏の葉に小麦粉を練って包んで囲炉裏の火で焼いて作られる。

言うまでもなく、「ネズミ浄土」は岩手県のみの民話ではなく、日本各地にその存在を確認できるが、まんが日本昔ばなしの脚本が岩手県版の「ネズミ浄土」に基づいていることは確かだろう。

ねこっこ にゃんたら どやすべな♪

まんが日本昔ばなし版「ネズミ浄土」において、ネズミの両親がお餅をついている最中に歌った餅つき歌にも注目したい。

「ねこっこ にゃんたら どやすべな たんたらとん たんたらとん♪」

この歌の意味としては、「猫が鳴いたらどうしよう」「猫の鳴き声が怖い」と、自分たちネズミの一番嫌なことをご丁寧に説明してくれるという前フリ的な役割を果たしている。「押すなよ、押すなよ」というアレだ。

このネズミの餅つき歌は、日本各地の「ネズミ浄土」の民話によっていくつかバリエーションが存在する。詳しくは、こちらのページ「ネズミの餅つき歌 おむすびころりん」でまとめているので適宜参照されたい。

地蔵浄土との関係は?

「ネズミ浄土」によく似たストーリーの日本の民話として、日本各地に伝わる「地蔵浄土」という民話・昔ばなしが存在する。

「地蔵浄土」ではネズミは登場せず、代わりにお地蔵さまがお爺さんらの運命を左右する存在として物語が進行していく。バチ当たりな行為に対する仏罰(鬼の責め苦)という仏教的なストーリーが展開される。

おそらく、「ネズミ浄土」は「地蔵浄土」から派生した後世の子供向けの創作である可能性が高い。「ネズミ浄土」以外にも「ウサギ浄土(兎の浄土)」なんて派生作品もあり、自由な創作が民話として口承されていることが想像できる。

「地蔵浄土」の詳細については、こちらのページ「地蔵浄土 おむすびころりんのルーツ?」を適宜参照されたい。

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