雪(雪やこんこ あられやこんこ)
犬は喜び庭かけまわり 猫はこたつで丸くなる
「雪やこんこ あられやこんこ」が歌い出しの『雪(ゆき)』は、1911年の『尋常小学唱歌』第二学年用に掲載された文部省唱歌。
作詞は、文部省唱歌『案山子(かかし)』を手がけた国文学者の武笠三(むかさ さん)。作曲者は不明。
100年近く前の曲だけに、「こんこ」といった若干古めかしい表現が見られるが、今日では逆にその古さが味わい深い。
ちなみに、「こんこ」の意味・語源は不明だが、「来む」(来い = 降れ)と関係があるとされる(詳細は後述する)。
【YouTube】雪(ゆき)文部省唱歌
歌詞『雪』
雪やこんこ あられやこんこ
降っては降っては ずんずん積もる
山も野原も わたぼうしかぶり
枯木残らず 花が咲く
雪やこんこ あられやこんこ
降っても降っても まだ降りやまぬ
犬は喜び 庭かけまわり
猫はこたつで丸くなる
こんこ 意味・語源は?
「こんこ」の意味・語源については諸説ある。ネットで確認できたいくつかの説を簡単にご紹介しよう。
来む来む(降れ降れ)説
国語学者の大野晋によれば、「こんこん」は元々「来む来む」であり、「雪よ、もっと降れ降れ」が最初の意味であったと説明されている。
来う来う説
国文学者の池田弥三郎によれば、「来う来う」が語源で、「雪よ来い」と雪に呼びかけ、雪を歓迎する言葉だという。
来む此(ここに降れ)説
ウィキペディアで紹介されていたが、残念ながら、どの学者による説明なのか詳細はなかった。
原曲は「雪やこんこん」!?
文部省唱歌『雪』が出版される10年前の1901年(明治34年)、瀧 廉太郎が作曲、東くめが作詞を担当した「幼稚園唱歌」の第18曲目に、『雪やこんこん』と題された曲が掲載された。
文部省唱歌『雪』の歌詞は、この「幼稚園唱歌」の歌詞から影響を受けている可能性が高そうだ。
雪やこんこん あられやこんこん
もっとふれふれ とけずにつもれ
つもった雪で だるまや燈籠(とうろう)
こしらへましょ お姉様
【YouTube】雪やこんこん「幼稚園唱歌」より
ドヴォルザーク『聖書の歌』と似てる?
余談だが、文部省唱歌『雪』のメロディについては、19世紀チェコの作曲家ドヴォルザークが1894年に作曲した歌曲集『聖書の歌』の一曲との類似性を指摘する説があるようだ。
当時の日本の唱歌は西洋のクラシック音楽や賛美歌に影響を受けた曲がいくつかあるので、あながち偶然の一致と断じることもできないが、果たして真相やいかに。
【YouTube】ドヴォルザーク作曲『聖書の歌』より第10曲(終曲)
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