早春賦 そうしゅんふ 歌詞の意味

春は名のみの 風の寒さや 谷のうぐいす 歌は思えど

「早春賦(そうしゅんふ)」は、吉丸一昌(よしまる かずまさ)作詞、中田章(なかた あきら)作曲による日本の歌曲。

梅にウグイス

写真:梅にウグイス(出典:ブログ「物欲日記」)

作詞当時、東京音楽学校の教授だった吉丸一昌は、『尋常小学校唱歌』の編纂委員として活動していた。

吉丸は、大正の初期に長野県安曇野を訪れ、穂高町あたりの雪解け風景に感銘を受けて「早春賦」の詩を書き上げたとされている。

なお、吉丸一昌はドイツ歌曲『故郷を離るる歌 Der letzte Abend』の訳詩を行ったことでも知られている。

【YouTube】早春賦(NHK東京放送児童合唱団)

歌詞

春は名のみの 風の寒さや
谷のうぐいす 歌は思えど
時にあらずと 声もたてず
時にあらずと 声もたてず

氷融け去り 葦(あし)はつのぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けばせかるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か

歌詞の意味・現代語訳

春とは名ばかりの風の寒さ
谷のウグイスは
歌おうと(鳴こうと)するが
まだその時ではないと
声も出さない

氷は解け 葦(あし)は芽吹く
もう春が来たかと思ったが あいにく
今日も昨日も雪模様だ

春だと聞かなければ
知らなかったのに
(気づかなかったのに)
聞いてしまったから気がはやる
(そわそわして落ち着かない)
この気持ちをどうしたらいいのか
今頃の時期は

立春を過ぎたら本当に春?

歌詞の「春は名のみの」とは、立春(りっしゅん)を過ぎて暦の上での「春」になったことを指す。

立春は二十四節気の1つで、冬至と春分の中間にあたり、この日から立夏の前日までが暦の上での「春」となる。通常は2月4日頃で、九州など暖かい地方では梅が咲き始める。

立春の前日は節分、立春から数えて88日目を八十八夜と呼び、文部省唱歌「茶摘(ちゃつみ)」ではこの八十八夜が歌詞に歌いこまれている。

あのクラシックの名曲とそっくり?!

余談だが、作曲者の中田章は、『夏の思い出』『ちいさい秋みつけた』『雪の降る街を』などで有名な中田喜直の父。

中田親子による作品にはモーツァルトやショパンなどの有名なクラシックから影響を受けたと思われるものが散見され、この「早春賦」はモーツァルト作曲「春への憧れ(K596)」と非常に曲想が似通っている。

【YouTube】モーツァルト「春への憧れ」

知床旅情にも似てる?

1960年代の歌謡曲『知床旅情』(しれとこりょじょう)については、『早春賦』の冒頭のメロディとよく似ていると指摘されることがある。

もちろん年代的には『早春賦』の方が早い時代に作曲されているので、『知床旅情』の方が『早春賦』から影響を受けた可能性があることになる。

モーツァルトの楽曲と合わせて、これら3曲を比較しながら聴いてみると、何か面白い発見があるかもしれない。

関連ページ

春の童謡・唱歌・日本のうた
『春よ来い』、『春が来た』、『花(春のうららの隅田川)』など、春をテーマとした日本の童謡・唱歌まとめ
モーツァルト『春への憧れ』
小川のほとりにスミレが咲き乱れる5月の頃への思い
知床旅情 歌詞の意味
知床の岬に はまなすの咲くころ
元ネタ・原曲・似てる曲 そっくりメロディ研究室
一部のメロディがよく似た2曲や、カバーされた原曲・元ネタあれこれまとめ。ジャンルは歌謡曲やアニメ・ゲーム音楽など幅広く。