春への憧れ 歌詞の意味・和訳

楽しや五月 草木はもえ 小川の岸に スミレにおう

『春への憧れ(あこがれ)』(Sehnsucht nach dem Frühling)KV.596は、モーツァルト晩年の子供向け歌曲。1791年1月14日にウィーンで初演された。

スミレの花

歌詞は、ドイツの詩人クリスチャン・オーヴァベック(Christian Adolf Overbeck/1755−1821)の童詩集「フリッツヒェンの歌」の中から採られた。

曲に描かれているのは、小川のほとりにスミレが咲き乱れる5月の頃への思い。同日に作曲された「3つのドイツ歌曲」(k596,K597,K598)の一つ。

日本ではかつて、「楽しや五月 草木はもえ」が歌い出しの『五月の歌』として、小学校の音楽教科書に掲載されていた(訳詞:青柳善吾)。

【YouTube】モーツァルト「春への憧れ」

歌詞の意味・和訳(意訳)

Komm, lieber Mai, und mache
Die Bäume wieder grun,
Und lass mir an dem Bache
Die kleinen Veilchen blüh'n!

来たれ 愛しき5月よ
樹々の緑をよみがえらせよ
僕のために 泉のほとりに
可愛いスミレを咲かせておくれ

Wie möcht'ich doch so gerne
Ein Veilchen wiederseh'n,
Ach, liebr Mai, wie gerne
Einmal spazieren geh'n!

スミレの花よ
どれだけ君を見たいか
ああ 愛しき5月よ
どれだけ散歩へ出かけたいか!

五月の歌(訳詞:青柳善吾)

楽しや五月 草木はもえ
小川の岸に すみれにおう
やさしき花を 見つつ行けば
心もかろし そぞろあるき

うれしや五月 日影ははえ
わか葉の森に 小鳥歌う
そよ風わたる 木かげ行けば
心もすずし そぞろあるき

中田章「早春賦」とそっくり?

ところで、この『春への憧れ(K596)』のメロディーは、中田章(あきら)作曲の日本の歌曲『早春賦(そうしゅんぷ)』のメロディによく似ている。

二曲ともに春への思いが込められた歌詞の内容となっている。比較して聴いてみると面白いかもしれない。歌謡曲『知床旅情(しれとこりょじょう)』とも似ている。

ちなみに特集ページ「そっくりメロディー研究室」では、モーツァルト『春への憧れ』と『早春賦』のように、メロディや曲調が良く似たクラシック音楽・日本の歌曲・ポップスなどをまとめてご紹介している。お時間の許す限り是非お立ち寄りいただきたい。

【YouTube】早春賦(そうしゅんふ)

似てる曲

早春賦 そうしゅんふ
春は名のみの風の寒さや 谷のうぐいす歌は思えど
知床旅情 歌詞の意味
知床の岬に はまなすの咲くころ

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