春雨 はるさめ 歌詞の意味

わたしゃ鶯 主は梅 鶯宿梅じゃないかいな

『春雨(はるさめ)』は、江戸時代の嘉永(1848-54)頃に流行した端唄・小唄。『鶯宿梅 (おうしゅくばい) 』とも題される。

作詞は神道家の柴田花守(しばたはなもり/1809-1890)、作曲は、長崎の花街・丸山の遊女と伝えられている。

梅(紅梅)にウグイス

『春雨』の歌詞では、遊女をウグイスに例え、梅の木に一途に寄り添うウグイスのように、いつか主の男性(ここでは梅)と結ばれることを願う遊女の想いが込められている。

写真:梅(紅梅)にウグイス(出典:武蔵野の野鳥)

【試聴】 端唄「春雨」先斗町芸妓

歌詞

春雨に しっぽり濡るる鶯の
羽風に匂う 梅が香や
花にたわむれ しおらしや
小鳥でさえも 一筋に
ねぐら定めぬ 気は一つ
わたしゃ鶯 主は梅
やがて身まま気ままになるならば
サァ 鶯宿梅(おうしゅくばい)じゃないかいな
サァサ なんでもよいわいな

歌詞の意味・現代語訳

春雨にしっとり濡れる鶯
その羽風に漂う梅の香

梅の花に戯れる可憐な鶯
小鳥でさえも一筋に
ねぐらを定め 浮気はしない

わたしは鶯 あなたは梅
いつか自由になれたなら(年季が明けたら)
鶯宿梅(つまり夫婦)になれるかしら
ああ (一緒になれるのなら)何だって良いわ

「定めぬ」について

「ねぐら定めぬ」の「ぬ」は、完了(または強意)の助動詞「ぬ」の終止形と解釈できる。

打消しの助動詞「ず」の連体形も「ぬ」だが、その場合は直後に名詞が来る。打消しの「ぬ」の例文は次のとおり。

待てど暮らせど来ぬ人を
宵待草の心もとなき

竹久夢二「宵待草(よいまちぐさ)」より

そもそも、ここで「ぬ」を打消し・否定の意味に解釈してしまうと、小鳥であるウグイスはねぐらを定めないことになってしまい、仲睦まじき夫婦の象徴である「鶯宿梅」のくだりまで否定されてしまう。

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