鶯宿梅 おうしゅくばい 和歌の意味

うぐいすが宿る梅の木を失った主人の悲しみ

「鶯宿梅(おうしゅくばい)」は、平安時代後期の歴史物語「大鏡(おおかがみ)」に記された日本の古い故事の一つ。「拾遺和歌集」にも見られる。

梅の木に宿る鶯(うぐいす)の絵柄は仲睦まじい夫婦の縁起物として、夫婦揃えの漆器や夫婦箸などに描かれることがある。

梅にウグイス

故事の「鶯宿梅」は題名のとおり、梅の木と鶯(うぐいす)が物語の要となっており、話の中で詠まれる梅の木に関する和歌が大きなポイントとなっている。

「大鏡」に記された「鶯宿梅」のストーリーと和歌の意味・現代語訳について簡単にまとめてみた。

写真:梅にウグイス(出典:ブログ「物欲日記」)

清涼殿の梅が枯れてしまい…

時は平安時代、村上天皇の頃(在位:946-967)、平安京の清涼殿にあった梅の木が枯れてしまった。写真は現代の京都御所にある清涼殿(出典:Wikipedia)。

村上天皇はすぐに替わりの木を探させたところ、西の京のどこそこの家に、色濃く咲いて大変美しい枝ぶりの梅の木が見つかった。

遣いの者が家の主人に事情を話し、さっそく梅の木は掘り返されて清涼殿へ運ばれた。その木には、家の主人からの文が短冊にして結びつけられていた。

家の主人の正体は…?

めでたく清涼殿に移植された梅の木は大変立派なもので、村上天皇も大変喜ばれたが、ふと見るとそこに短冊が結ばれている。

『これは何だ』と文を開かせると、そこには女の筆跡でこう記されていた。

勅なれば いともかしこし 鶯の 宿はと問はば いかが答へん

意味:帝の勅命なれば畏れ多く、もちろん梅の木は献上いたしますが、毎年梅の木に来ていたウグイスに「私の宿はどこへ」と聞かれたら、私はどう答えたらよいのでしょうか?

見事な歌にただならぬものを感じられ、すぐに『どこの者の家か』と確認させると、そこは紀 貫之(きのつらゆき)の娘・紀内侍(きのないし)の住まいであった。その梅は、父の形見だったのだ。

それを知った天皇は「何とも済まない事をしてしまったものだ」とすぐに元の場所へ梅を返されたという。

ちなみに現在、その梅の木の子孫は、京都市上京区の林光院に植え替えられている。

林光院の鶯宿梅

京都市上京区の林光院(りんこういん)は、臨済宗相国寺派大本山・相国寺(しょうこくじ)の塔頭(たっちゅう/禅宗の小院)であり、元は二条西ノ京にあった紀貫之邸宅跡にあった。

林光院の鶯宿梅(おうしゅくばい)は他の梅の木に比べて開花が遅く、例年3月頃が見頃となる。元々は八重咲きの紅梅だったようだ。

林光院歴代の住職が接ぎ木等で大切に受け継ぎ、現在では一つの木に白、薄紅、絞りの花がまざる「輪違いの梅(りんちがいのうめ)」となっている。

写真:林光院の鶯宿梅(出典:ブログ「葉っぱ星人の花だより」)

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