竹田の子守唄 歌詞の意味 原曲・元歌

親元を離れて子守の年季奉公を行う幼い守子の唄

『竹田の子守唄』(たけだのこもりうた)は、京都市伏見区竹田地区で採集された民謡・子守歌。今日知られる歌詞とメロディは、原曲から大きな変更が加えられている。

1969年(昭和44年)にフォークグループ「赤い鳥」が音楽コンテストで演奏し注目を集めた。

写真:鳥羽離宮跡公園(京都市伏見区/出典:みんカラ)

NHK「みんなのうた」では、日本の音楽バンド「ペドロ&カプリシャス」の歌で1974年12月に初回放送されている。

【YouTube】山本潤子『竹田の子守唄』

歌詞の一例

守りもいやがる 盆から先にゃ
雪もちらつくし 子も泣くし

盆がきたとて なにうれしかろ
帷子(かたびら)はなし 帯はなし

この子よう泣く 守りをばいじる
守りも一日 やせるやら

はよもいきたや この在所(ざいしょ)越えて
むこうに見えるは 親のうち

童謡『赤とんぼ』の「ねえや」も守子

一般的に「子守唄」というと、母親が赤ちゃんを優しく寝かしつける穏やかな歌や音楽を想像するが、『竹田の子守唄』では、親元を離れて子守奉公(こもりほうこう)を行う幼い守子(もりこ)の辛い心情が描写されている。

同じように、幼い守子の心情を歌った「子守唄」としては、「おどま盆ぎり盆ぎり」の歌いだしが印象的な『五木の子守唄』や、「ねんねこ しゃっしゃりませ」が歌いだしの『中国地方の子守唄』が有名。

ちなみに、童謡『赤とんぼ』の「ねえや」も、この子守奉公の守子を意味している。

歌詞の不自然さについて

現在よく歌われる『竹田の子守唄』の歌詞には、編曲時に歌詞が大きく変更されたせいか、不自然な点がいくつか見られる。

「盆から先」というと、旧暦のお盆(8月中旬)だとしてもまだ夏真っ盛りの時期で、「雪もちらつく」と続けるにはだいぶ季節が離れているという点だ。

確かに、お盆より後なら12月でも1月でも「盆から先」と言えるが、さすがに夏の終わりから秋をすっ飛ばして雪までいってしまうのには多少違和感がある。

また、北海道の旭川などでは、早ければ10月には降雪があることがあるが、『竹田の子守唄』は京都市伏見区で採譜された民謡。お盆と雪を隣り合わせてしまうのはやはり不自然に感じられる。

五木の子守唄から歌詞を拝借?

ではなぜ、現在歌われている『竹田の子守唄』は、一体こんな不自然な歌詞になっているのだろうか?

それは『竹田の子守唄』を現代の歌手らが編曲した際に、原曲の歌詞を大きく変更してしまったことに起因していると考えられる。

その際、『竹田の子守唄』の商業的ヒットを祈願すべく、有名な子守歌『五木の子守唄』にある「盆から先にゃ」という歌詞を拝借し、その知名度にあやかろうとしたのではないかと推測される。

親と会えるのは盆と正月のみ

幼いうちから親元を離れて子守奉公をする守子(もりこ)にとっては、親と再会できるのは一年のうち盆と正月のみ。

この休みは「藪入り(やぶいり)」と呼ばれ、特にお盆の休みは「後(のち)の藪入り」とも呼ばれる。

親に甘えたい時期の幼い子供にとって、親と再会できる盆と正月はなによりも楽しみで大事にしていたであろう。

親との再会が嬉しくない?

親元へ帰れるお盆は、守子にとって嬉しい日となるはずだが、『竹田の子守唄』の歌詞では、現代版でも原曲でも、いずれも嬉しくないものとして描かれている。

その理由としては、原曲・元歌では「なんぎな親」(貧乏な親)、現代版では「帷子はなし 帯はなし」(綺麗な服も着れない)と説明されている。

貧しくとも親子の再会は嬉しいもののように思われるが、それを上回る貧しさがあったということだろうか。

ただ、最後の歌詞では親元へ早く帰りたいとも歌われている。子守奉公の辛い毎日に耐える守子の悲しみが心にしみる。

原曲・元歌の歌詞

こんな泣くぅ子よ 守りしぇと言うたか
泣かぬ子でさい(さえ) 守りゃいやにゃ
どうしたいこーりゃ きーこえたーか

この子よう泣く 守りをばいじる
守りも一日 やせるやら
どうしたいこーりゃ きーこえたーか

来いや来いやと 小間物売りに
来たら見もする 買いもする
どうしたいこーりゃ きーこえたーか

寺の坊んさん 根性が悪い
守り子いなして 門しめる
どうしたいこーりゃ きーこえたーか

久世の大根飯 吉祥(きっちょ)の菜飯
またも竹田のもん葉飯
どうしたいこーりゃ きーこえたーか

盆がきたぁかて 正月がきぃたて
なんぎな親もちゃ うれしない
どうしたいこーりゃ きーこえたーか

はよもいにたい あの在所こえて
むこうにみえるんは 親のうち
どうしたいこーりゃ きーこえたーか

<引用元:(Wikipedia『竹田の子守唄』より>

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