紀元節 歌詞の意味 建国記念の日
日本の初代天皇とされる神武天皇の即位日を祝う唱歌
『紀元節(きげんせつ)』は、作詞:高崎正風、作曲:伊沢修二により1888年(明治21年)に発表された明治時代の唱歌。
2月11日の祝日「建国記念の日」は、かつて「紀元節」の祝日であり、古事記や日本書紀で日本の初代天皇とされる神武天皇の即位日が、明治政府によって紀元節と定められた。
神武天皇即位紀元は紀元前660年と定められており、そこから起算して、例えば東京オリンピックが開催される予定だった2020年は、皇紀2680年となる。2040年は皇紀2700年。
このページでは、唱歌『紀元節』の歌詞の意味について、簡単にまとめてみたい。
写真:高千穂峰(たかちほのみね/出典:Wikipedia)
【YouTube】紀元節 平成の録音
歌詞(現代表記)
一、
雲に聳(そび)ゆる 高千穂(たかちほ)の
高根おろしに 草も木も
なびきふしけん 大御世(おおみよ)を
仰ぐ今日こそ たのしけれ
二、
海原なせる 埴安(はにやす)の
池のおもより 猶ひろき
めぐみの波に 浴(あ)みし世を
仰ぐ今日こそ たのしけれ
三、
天(あま)つひつぎの 高みくら
千代よろずよに 動きなき
もとい定めし そのかみを
仰ぐ今日こそ たのしけれ
四、
空にかがやく 日のもとの
よろずの国に たぐいなき
国のみはしら たてし世を
仰ぐ今日こそ たのしけれ
高千穂峰と神武天皇
「高千穂(たかちほ)」とは、宮崎県と鹿児島県の県境に位置する霧島連峰の火山「高千穂峰(たかちほのみね)」。標高は1,574メートル。
高千穂峰は、天照大神(あまてらすおおかみ)の孫であるニニギノミコト(瓊瓊杵尊)が降臨(天孫降臨)した山とされる。
天照大神は葦原中国(あしはらのなかつくに)を治めよという神勅をニニギとその子孫に下し、ニニギの曾孫である磐余彦(いわれびこ)が初代の天皇・神武天皇として即位した。
一番の歌詞の意味
「高根おろし」とは、高い山の上から吹きおろしてくる風のこと。プロ野球・阪神タイガース応援歌『六甲おろし』も同様。
「なびきふしけん」とは、草木が風になびき、地面に臥(ふ)すこと。最後の「けむ」は過去推量の助動詞。
「大御世(おおみよ)」とは、天皇の治める時代、天皇の治世を意味する。
「仰ぐ(あおぐ)」は、尊敬すべきものとして見ること。卒業ソング『仰げば尊し』と同じ。
二番の歌詞の意味
「埴安の池(はにやすのいけ)」とは、 奈良県橿原(かしはら)市の天香久山(あまのかぐやま)の西麓にあった池。
天香久山(あまのかぐやま)の南麓には、天照大神(あまてらすおおかみ)の「岩戸隠れ」の伝承地とされる岩穴や巨石を神体とした天岩戸(あまのいわと)神社がある。
写真:天香久山(あまのかぐやま/出典:奈良県橿原市Webサイト)
三番の歌詞の意味
「あまつひつぎ」とは、皇位を継承すること、皇位。「あまのひつぎ」、「天津日継」「天つ日嗣」、「天乃日嗣」、「天乃日継」とも。
「たかみくら(高御座)」とは、大極殿や紫宸殿などに設けられた天皇の御座。転じて、天皇の皇位をも指す。即位・朝賀などの大礼の際、天皇は高御座に着くのを例とした。
「千代よろずよ」とは、「千代・万代(万世)」。「千代(ちよ)」は、大変長い年月のこと。「万代(万世/よろずよ)」は、限りなく長く続く世の意味。
「もとい(基)」とは、土台や基礎のこと。「国のもとい」で、国家を維持していく根本となるものを指す。国家の基礎。国基(こっき)。
四番の歌詞の意味
「日のもと」は、「日本」のこと。
「よろずの国に たぐいなき」は、世界に比類ないこと。
「国のみはしら(御柱)」とは、国家の柱となるべき存在のこと。
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