紀元二千六百年 歌詞の意味
神武天皇即位紀元2600年を祝う奉祝国民歌
『紀元二千六百年』は、皇紀(神武天皇即位紀元)2600年を祝して1940年(昭和15年)に作曲された奉祝国民歌。替え歌が有名(詳細は後述)。
歌い出しは「金鵄(きんし)輝く日本の」。「金鵄(きんし)」とは、神武天皇による日本建国を導いた金色の鵄(トビ)。『日本書紀』に登場する。
挿絵は、月岡芳年『大日本名将鑑』より「神武天皇」(出典:Wikipedia)。神武天皇の弓の先に止まった金鵄が光を放ち、敵の目をくらませている。
国民歌『紀元二千六百年』の歌詞と曲はそれぞれ公募された。作詞:増田好生、作曲:森義八郎。
ちなみに、2040年(令和22年)は紀元2700年(皇紀2700年)。どんな記念行事・式典が開催されるだろうか。
【YouTube】 奉祝国民歌『紀元二千六百年』
歌詞
金鵄(きんし)輝く 日本の
栄(はえ)ある光 身にうけて
いまこそ祝へ この朝(あした)
紀元は二千六百年
ああ一億の 胸はなる
歓喜あふるる この土を
しつかと我等 ふみしめて
はるかに仰ぐ 大御言(おおみこと)
紀元は二千六百年
ああ肇国(ちょうこく)の 雲青し
荒(すさ)ぶ世界に 唯一つ
ゆるがぬ御代(みよ)に 生立ちし
感謝は清き 火と燃えて
紀元は二千六百年
ああ報国の 血は勇む
潮ゆたけき 海原に
桜と富士の 影織りて
世紀の文化 また新た
紀元は二千六百年
ああ燦爛(さんらん)の この国威
正義凛(りん)たる 旗の下
明朗アジア うち建てん
力と意気を 示せ今
紀元は二千六百年
ああ弥栄(いやさか)の 日はのぼる
歌詞の意味
「金鵄(きんし)」とは、『日本書紀』に登場する金色の鵄(トビ)。神武天皇による日本建国を導いた。
「大御言(おおみこと)」とは、天皇の言葉。勅旨。みことのり。
「肇国(ちょうこく)」とは、新しく国家をたてること。建国。
「御代(みよ)」とは、天皇の治世。
「燦爛(さんらん)」とは、光り輝くさま。華やかで美しいさま。
「弥栄(いやさか)」とは、ますます栄えること。
替え歌
1940年(昭和15年)はタバコの銘柄が和名に変更され、紙巻きたばこのゴールデンバットが「金鵄」に変更された。
この「金鵄」つながりで、『紀元二千六百年』の歌詞はタバコ値上げの替え歌として盛んに歌われた。様々な替え歌があるが、一例は次のとおり。
金鵄上がって 十五銭
栄えある光 三十銭
朝日は昇って 四十五銭
紀元は二千六百年
ああ一億の金は減る
「金鵄」、「光」、「朝日」は、すべて当時のタバコの銘柄。
なわとび歌・ゴムとび歌
『紀元二千六百年』の歌詞は、子供たちの間でなわとび歌・ゴムとび歌として替え歌された(昭和時代)。主な替え歌の一例は次のとおり。
きんし輝く日本の
アジア アメリカ ヨーロッパ
パッパッパッリアの新学期
肉屋の大泥棒
教会の 鐘が鳴ります キンコンカン
この替え歌自体にも多くのバリエーションが存在する。「アジア アメリカ ヨーロッパ」の「アジア」を「あいこで」と歌う地域も少なくない。
この他の替え歌の歌詞や意味については、こちらの『きんし輝く日本の ゴム跳び歌 歌詞の意味』で解説している。
ゼロ戦の語源
大日本帝国海軍の零式艦上戦闘機、いわゆる「零戦(ぜろせん、れいせん)」は、皇紀2600年にあたる1940年(昭和15年)に制式採用された。
当時の日本の軍用機の名称は、採用された年次の「皇紀」の下2桁を冠する規定があった。例えば、1935年(昭和10年)に制式採用された九五式艦上戦闘機の「九五」は、「皇紀2595年」の下2桁に由来している。
零戦が採用された1940年(昭和15年)は、皇紀2600年。その下2桁の「00」から「零式」となった。
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