ユール Yule 北欧の冬至祭
北欧のクリスマス関連トピックス
ユール(Yule)とは、キリスト教が伝来する以前の時代から北欧に伝わる古い冬至祭。現在では「クリスマス」の意味で用いられる。
冬至前後の北極圏の国々では、日中でも暗く太陽が沈んだ状態「極夜(きょくや)polar night」が続く。冬至の頃に昇る太陽は非常に神聖で貴重なものとされ、人々は大いに太陽の復活を祝った。これがユール祭の始まりである。
ユール・ログとブッシュ・ド・ノエル
ユール祭では、人々は「ユール・ログ」と呼ばれる木の幹を燃やし、その日を12日間燃やし続け、食べ物や飲み物を持ち寄って太陽の復活を祝う宴を催した。途中でユール・ログの火が消えてしまうと、その翌年は不吉なことが起こるとされた。
ユール・ログが燃えている間は、悪い魔法から家族を守ってくれ、その灰には病気や雷に効き目があると信じられた。また、灰を飼葉に入れると牛が安産となり、土に入れると豊作となり、井戸に入れると水の味が良くなるなど、様々なご利益があるとされた。
ユール・ログの伝統は今では廃れてしまったが、クリスマス向けのフランスのチョコレート・ケーキ「ブッシュ・ド・ノエル」(上写真)は、このユール・ログの丸太を模したものとされ、その北欧文化の名残を見ることができる。
ユールのヤギ「ユール・ゴート」
北欧にはクリスマスシーズンのオブジェ・飾りとして、「ユール・ゴート」と呼ばれるヤギを立体的にかたどった像が定着している。詳細は、こちらのページ「ユール・ゴート Yule Goat」の解説に譲るが、このユール・ゴートもユール祭と密接に結び付いた北欧のクリスマス文化の一つである。
ユールのサンタクロース
アメリカのサンタクロースに近い存在として、北欧に伝わるトムテやニッセなどの小柄な妖精たちが、それぞれ「ユール・トムテ」、「ユーレ・ニッセ」として信仰されている。フィンランドでは、「ヨウル・プッキ」(ユールのヤギ)と呼ばれるサンタクロースがクリスマスに人々の玄関に訪れるという。