ユール・ゴート Yule Goat
北欧のクリスマス文化/クリスマス関連トピックス
ユール・ゴート(Yule Goat)は、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドといったスカンジナビア(スカンディナヴィア)半島および北欧地域に古くから伝わるクリスマス文化の一つ。
写真:スウェーデンの巨大なユール・ゴート(2006年)
「ユール Yule」とはクリスマス、「ゴート Goat」とはヤギを意味し、「クリスマスのヤギ」、「ユールのヤギ」といった意味合いとなる。「ユール・ボック」「ユール・ブック」とも呼ばれる。
フィンランドでは、「ユールのヤギ」は「ヨウル・プッキ」と呼ばれ、これは現代におけるサンタクロースの名前として親しまれている。
今日では、ユール・ゴートは麦わらで立体的に作られた飾り物・オブジェとして一般的なほか、北欧雑貨としてクリスマスシーズンの贈り物やお土産品、クリスマスの飾りとしても定番となっている。
ユール・ゴートの由来・ルーツは?
ユール・ゴートの起源・ルーツ・由来については諸説あるが、キリスト教が誕生する以前の北欧神話の頃にさかのぼるとされている。「オーディンとサンタクロースの関係は?」のページでも解説した、北欧神話の雷神トール(下挿絵)が深く関係しているという。
上の挿絵は、雷神トールとチャリオット(古代の戦車)を引く二頭の黒山羊(黒ヤギ)。雷神トールは最強の軍神であるとともに、農民階級に信仰された農業の神・農耕神でもあった。
収穫した麦の中の最後の一束は、神に捧げられるべき神聖な麦とされ、ユール(クリスマス)の祭りまで大事に保管された。この神聖な麦わらで雷神トールのヤギを模したものが、今日のユール・ゴート(Yule Goat)の由来・ルーツとして考えられているようだ。
スウェーデンでは、ユール・ゴートは目に見えない妖精のような存在とされ、ユール(クリスマス)の準備がちゃんと進んでいるかどうか、クリスマス前にやってきてチェックをしていくと信じられているという。
ちなみに、軍神トール(Thor)の名前は英語の木曜日(Thursday)の語源になっているほか、アメリカの人気コミック(アメコミ)「マイティ・ソー The Mighty Thor」の主人公として描かれ、映画化もされている。