トムテ tomte スウェーデンの妖精
クリスマス・サンタクロース関連トピックス
トムテ(tomte)は、北欧スウェーデンに伝わる小柄の妖精。トムテニッセ(tomtenisse)とも呼ばれる。
赤いとんがり帽子をかぶり、エルフのようにとがった耳と灰色のあごひげで描かれることが多い。
人間との結びつきは強く、農家の納屋や農場に住み着いている。見た目は小さいがとても力持ちで、夜にこっそりと家畜の世話をしてくれる働き者の妖精だという。
ただ、トムテを大切に扱わないと、彼らは怒って干し草を盗んで出て行ってしまうそうだ。時にはご褒美を与えないと仕事もしてくれなくなってしまう若干気難しい面も持っているようだ。
スウェーデンのクリスマス・イヴには、トムテのためにテーブルの上には食事を残して置く習慣があるという。さらに、1年間の仕事のご褒美として、バターを入れたお粥「ユール・グロット」が納屋や戸外に供えられる。ご馳走をもらったトムテは、その家に幸せと繁栄をもたらすとされている。
クリスマス・トムテ(ユール・トムテ)とは?
スウェーデンの農家の妖精トムテは、やがてアメリカを中心とする商業主義的なクリスマス文化の影響を受け、スウェーデンにおけるサンタクロース「ユール・トムテ(クリスマス・トムテ)」として受け入れられていった。
クリスマスのトムテも子供たちにクリスマスプレゼントを配るのだが、サンタクロースのように夜こっそり靴下の中にプレゼントを入れるのではなく、子供たちが起きている間に直に手渡しするという。サンタ同様、ソリも使いこなすそうだ。
スウェーデン文学「ニルスのふしぎな旅」とトムテ
スウェーデンとトムテというと、日本の世界名作アニメでも有名な「ニルスのふしぎな旅」(1981年・NHK)が思い出される。同作は、スウェーデンの女性作家セルマ・ラーゲルレーヴによる児童文学を原作としたアニメ。
主人公の少年ニルスは、トムテにいたずらをしたためトムテを怒らせてしまい、罰として小人の姿に変えられてしまう。
妖精と同じ大きさになり、動物の言葉を理解できるようになったニルスは、ガチョウのモルテンの背中に乗ってガンの群れと一緒に北の地ラップランドを目指すというストーリー。
トムテがいなければ始まらなかった「ニルスのふしぎな旅」。トムテを怒らせると本当に怖い。最終的には人間に戻ることができたニルスも、それ以降はきっとトムテを大切に扱うようになったことだろう。