カントリーロード 原曲の歌詞と意味

故郷へ連れて行ってくれ 僕が居るべきあの場所に

『カントリーロード(Take Me Home, Country Roads)』は、アメリカのシンガーソングライター、ジョン・デンバーによる1971年のヒット曲。邦題は『故郷へかえりたい』。

日本ではスタジオジブリの長編アニメ映画「耳をすませば」挿入歌として有名(歌:本名陽子)。合唱曲としても歌われる。

2019年に開催されたラグビーワールドカップ日本大会では、『カントリーロード』を元ネタとしたラグビー日本代表チームの替え歌『ビクトリーロード』が話題となった。

エッセンシャル・ジョン・デンバー

ジャケット写真: エッセンシャル・ジョン・デンバー

曲のアイディアは、男女の音楽ユニット「Fat City(ファット・シティ)」のビル・ダノフ(Bill Danoff)とTaffy Nivert(タフィー・ナイバート/1944-)によるもの。

1970年にタフィーの実家で家族と再会した旅行をきっかけに、ビルが『カントリーロード』の元となった曲の制作を始めたという。

当初はカントリー歌手のジョニー・キャッシュ(Johnny Cash/1932-2003)に楽曲を提供する予定だったようだ。

しかし、ワシントンのライヴ・クラブ「セラードア(The Cellar Door)」でジョン・デンバーと出会い、彼らはすっかり意気投合。

ビルとタフィーは曲の原案をジョンに持ちかけると、彼らはたった一日で一気に曲に仕上げ、今日の『カントリーロード』が完成したと伝えられている(曲は三人の共有名義/参照:Wikipedia - Taffy Nivert)。

ちなみに、ビルとタフィーは『カントリーロード』リリースの翌年に結婚している(1981年に離婚)。

【試聴】カントリーロード ジョン・デンバー

原曲の歌詞(英語)

Almost heaven, West Virginia
Blue Ridge Mountains, Shenandoe River
Life is old there, older than the trees
Younger than the mountain
Growing like a breeze

まるで天国 ウェストバージニア
ブルーリッジ山脈 シェナンドー川
古からの暮らしがそこに
木々よりも古く 山よりも新しく
そよ風のように育まれている

Country roads, take me home
To the place I belong
West Virginia, Mountain Mamma
Take me home, country road

カントリーロード 故郷へ連れて行け
僕が居るべきあの場所に
ウェストバージニア 母なる山
故郷へ導け カントリーロード

All my memories gather round her
Miner's lady, stranger to blue water
Dark and dusty, painted on the sky
Misty taste the moonshine
Teardrop in my eye

思い出すのは 彼女(故郷の山々)の事ばかり
炭坑夫の淑女(パートナー) 青い海を見たことが無い
薄黒くくすんで 空に描かれたよう(に山が高い)
まるで淡いウィスキー(密造酒)の味わい
僕の目には涙

Country roads, take me home
To the place I belong
West Virginia, Mountain Mamma
Take me home, country road

カントリーロード 故郷へ連れて行け
僕が居るべきあの場所に
ウェストバージニア 母なる山
故郷へ導け カントリーロード

I hear her voice in the morning hour
she calls me
The radio reminds me of my home far away
And driving down the road I get a feeling
That I should've been home yesterday
Yesterday

彼女の声が聞こえた 朝早くに
彼女は僕を呼んでいた
カーラジオを聞くと 遠くの故郷を思い出す
車を走らせながら思ったんだ
もっと早く帰っておくべきだったって

Country roads, take me home
To the place I belong
West Virginia, Mountain Mamma
Take me home, country road

カントリーロード 故郷へ連れて行け
僕が居るべきあの場所に
ウェストバージニア 母なる山
故郷へ導け カントリーロード

ウェスト・バージニアってどんなとこ?

ウェスト・バージニア州(State of West Virginia)は、アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.から西へ200㎞ほどに位置するアメリカ東部の州。

アパラチア山脈に眠る石炭の採掘が盛んな地域で、『カントリーロード』の歌詞にも「Miner(炭鉱夫)」というキーワードが使われている。

歌詞にある「ブルーリッジ山脈(Blue Ridge Mountains)」はアパラチア山脈に含まれ、ウェストバージニア州を全く通っていないのだが、州の東部からはその姿を眺めることができる。

ブルーリッジ山脈

写真:ブルーリッジ山脈(出典:Wikipedia - Blue Ridge Mountains)

ちなみに、主に作詞をしたTaffy Nivert(タフィー・ナイバート)はワシントンD.C.出身。ブルーリッジ山脈へのアクセスも比較的便利な場所。

これに対して、ジョン・デンバーの故郷ははるか遠い南西部のニューメキシコ州。後に アリゾナ州、アラバマ州、テキサス州、カリフォルニア州などに移住している。

シェナンドー川

歌詞の「シェナンドー川(Shenandoe River)」については、こちらはわずかにウェストバージニア州を流れている。

シェナンドー川

シェナンドー川と言えば、インディアン(ネイティブ・アメリカン)の酋長の娘と白人男性との恋を描いたフォークソング『シェナンドー』が有名。

写真:シェナンドー川(出典:Wikipedia)

彼女とは誰の事か?

『カントリーロード』の歌詞の意味を解釈するにあたって、最も重要なポイントの一つが、曲の中盤から登場する「her」が内容的に何を指しているのか?という点だ。該当する歌詞は次のとおり。

All my memories gather round her
Miner's lady, stranger to blue water

思い出すのは 彼女の事ばかり
炭坑夫の淑女 青い海を見たことが無い

ご存知のとおり、英語の「her」は女性に用いる人称代名詞であることから、ここでは歌の主人公の恋人や母親を指すのではないかと考えが及ぶのが自然だ。

確かに、ここでの「her」を恋人や母親として解釈しても、どちらもそれなりに意味は通る。部分的に難しい場所はあるにはあるが、全体としては一つの筋の通ったストーリーで歌詞を解釈できる。

しかし、『カントリーロード』で何度も歌われるコーラス部分の歌詞をよく見ると、「Mountain Mamma(マウンテン・ママ/母なる山々)」というキーワードが非常に気にかかる。

それ以外の場所にも、「Mountain(マウンテン/山)」という単語が頻出している。これらは一体何を意味しているのだろうか?

「her」は「山」を指している?

思うに、『カントリーロード』の歌詞における「her」は、ブルーリッジ山脈(Blue Ridge Mountains)をはじめとするウェストバージニア周辺の山々を指しているのではないだろうか。

英語では、船や国家を指して「her」を用いることがあり、フランス語では山を意味する「Montagne(モンターニュ)」は女性名詞として定着していることからも、山に対して女性の人称代名詞を用いることは何ら不自然な事ではない。

ウェストバージニア周辺の山々では石炭が盛んに採掘されることは既に述べたが、炭鉱夫にとっては山々は女性パートナーのように長い付き合いの存在であり、歌詞の「Miner's lady(炭鉱夫の淑女)」という部分も、炭鉱夫と山との深い関係をユーモラスに表現しているように解釈できる。

極めつけ(極め付き)は、コーラス部分の「Mountain Mamma(マウンテン・ママ/母なる山々)」だ。「her」は故郷ウェストバージニアを指すとの解釈も成り立ちそうだが、ここではっきりと山々が母、つまり女性であると明確に表現されていることから、「her」は「山」を指しているという方向性で結論付けていきたい。

道の歌ではなく山の歌だった?

『カントリーロード』という曲名からは、この歌が田舎の「道」に主眼が置かれた楽曲のように思われがちだが、実は、この歌はウェストバージニア周辺の山々に強烈なノスタルジーを感じる大の「山」好きによる郷愁ソングだったのではないだろうか?

次のような歌詞を見ると、歌の主人公がかなりの山好きであることが想像できる(herを山と解釈した場合)。

I hear her voice in the morning hour
she calls me

彼女の声が聞こえた 朝早くに
彼女は僕を呼んでいた

これは、実際に何らかの声が聞こえたのではなく、故郷の山々が恋しくて恋しくて、あまりに恋しすぎて「山々」が自分を呼ぶ声が聞こえたような「気がした」という意味に解釈できないだろうか?

海が好きな人なら、しばらく海に行っていない日々が長く続けば、海に行きたくてウズウズして海が自分を呼んでいるような気持ちになることもあるだろう。

スキーが好きな人なら、雪が積もるウィンターシーズンが到来すれば、さっそく滑りに行きたくて、雪山が自分を呼ぶ声が聞こえるような感覚に陥ることもあるのではないか。

『カントリーロード』の歌詞では、故郷の山々「マウンテン・ママ」が恋しくて恋しくて、居ても立っても居られず車を走らせた主人公が、山々へ続く道に対して、高めのテンションで山を見に行くぞと語り掛けるような、主人公の山々への愛があふれたストーリーが展開されていたのではないだろうか?

moonshineは密造酒?

歌詞の「Misty taste the moonshine」にある「moonshine(ムーン・シャイン)」については、月の光という意味の他に、政府の許可を得ずに醸造された「密造酒」という意味合いもある。

「taste」という味覚に関する単語が使われていることから、ここでは「月の光」ではなく「密造酒」の方で訳出した。なお、アメリカではウィスキーの密造が一般的。

ちなみに、「moonshine(ムーン・シャイン)」の他に「密造酒」を表す英語表現としては「mountain dew(マウンテン・デュー/山の露)」が有名。ここでも山と関連性があるのが興味深い。

スタジオジブリ関連アルバム

スタジオジブリの歌

ジャケット写真:本名陽子『カントリーロード』収録アルバム(ダウンロード)

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