アムール河の波

見よアムールに波白く シベリアの風たてば

『アムール河の波』は、20世紀初頭に当時の東シベリア連隊の楽団長キュッスが作曲した楽曲(ワルツ調)。原題は「Amurskie Volny(Амурские волны)」。

作曲当時は歌詞のないインストゥルメンタルだったが、キュッスが亡くなった2年後の1944年、ハバロフスク極東軍の指揮者ルミャンツェフ(ルミャーンツェフ)が『アムール河の波』の楽譜を偶然発見。歌詞をつけさせ、赤軍合唱団向けの合唱曲に編曲した。

タイトルの『アムール河の波』については、キュッスによる作曲当時につけられたものか、合唱曲として編曲された後につけられたものかについては不明。

後に何人かの音楽家によって更に合唱曲用に編曲が加えられており、特にV.サカローフによる1953年の編曲版が現在でもポピュラーなアレンジとして有名なようだ。

日本では、合唱団白樺が『アムール河の波』のメロディに日本語の歌詞をつけて以来、ダーク・ダックスや鮫島有美子が歌謡曲としてカバーしている。

また、一般の合唱団のレパートリーとして披露される機会があるほか、学校の合唱コンクールで歌われる曲としても取り上げられることがあり、日本でもこの『アムール河の波』は合唱曲として脈々と歌い継がれている。

【YouTube】原曲『アムール河の波』 Amurskie Volny

【YouTube】アムール河の波 (近江八幡混声合唱団)

日本語歌詞(合唱団白樺版)

見よアムールに波白く
シベリアの風たてば
木々そよぐ河の辺に 波さかまきて
あふれくる水 豊かに流る

舟人の歌ひびき
くれないの陽は昇る
よろこびの歌声は 川面をわたり
はるかな野辺に 幸をつたえる

うるわしの流れ 広きアムールの面
白銀なし さわぐ河波
広き海めざし 高まりゆく波
白銀なし さわぐ河波

自由の河よアムール うるわしの河よ
ふるさとの平和を守れ
岸辺に陽は落ち 森わたる風に
さざなみ 黄金をちらす

平和の守り 広きアムール河
わが船は行く しぶきをあげて
舳先にたてば 波音たかく
開けゆく世の 幸をたたえて

見よアムールに波白く
シベリアの風たてば
木々そよぐ河の辺に 波さかまきて
あふれくる水 豊かに流る

アムール河とは?

アムール河(アムール川)は、ロシア(極東地方)と中国(黒竜江省)との国境を形成している大河。支流を含めると全長4,368km(世界8位)。

中国では「黒河」、「黒水」など呼称される。中国側で化学薬品が工場排水としてアムール川の支流へ流されており、河川の汚染が深刻な問題となっている。アムール川は、オホーツク海のアムール湾へ注いでいることから、日本の漁場における魚介類への汚染の影響も懸念されている。

関連ページ

有名なロシア民謡・歌曲
「カチューシャ」、「トロイカ」、「カリンカ」など、有名なロシア民謡・歌曲の解説と視聴、歌詞・日本語訳
アムール川の流血や 歌詞と解説
永井建子作曲の軍歌『小楠公』を原曲とする明治時代の寮歌
川のうた 河川に関する民謡・童謡・音楽
歌詞や曲名に川や河が出てくる日本の歌・世界の歌まとめ