アムール川の流血や 歌詞と解説

永井建子作曲の軍歌『小楠公』を原曲とする明治時代の寮歌

『アムール川の流血や』は、1901年(明治34年)に発表された旧制第一高等学校(一高)の寮歌。正式名称は「第11回紀念祭東寮寮歌」。

永井建子作曲の軍歌『小楠公』(しょうなんこう)を原曲としており、作詞は塩田環。作曲は栗林宇一とされる。

軍歌『歩兵の本領』は、かつて『アムール川の流血や』が原曲と考えられていたが、現在は同じルーツである軍歌『小楠公』が『歩兵の本領』の原曲と判明している。

アムール川 鉄橋

写真:アムール川(出典:WIkipedia)

アムール川とは、中国(黒竜江省)とロシア極東地方との国境を成し、オホーツク海へ注ぐ河川。全長4,368kmは世界8位、流域面積は185万5500平方キロメートルで世界10位。

中国の清とロシア帝国との間で歴史的な紛争地域となっているアムール川流域。『アムール川の流血や』が発表された前年の1900年(明治33年)には、帝政ロシア軍がアムール川流域の中国人居留民を殲滅する事件が起きていた。

この事件により、三国干渉以降高まっていたロシアへの警戒感は緊張の度合いを増し、日露戦争へと至る当時の緊張感が『アムール川の流血や』の歌詞にも織り込まれることとなった。

【YouTube】 アムール川の流血や

歌詞

一、
アムール川の流血や
凍りて恨み結びけん
二十世紀の東洋は
怪雲空にはびこりつ

二、
コサック兵の剣戟(けんげき)や
怒りて光ちらしけん
二十世紀の東洋は
荒波海に立ちさわぐ

三、
満清(まんしん)すでに力つき
末は魯縞(ろこう)も穿(うが)ち得で
仰ぐはひとり日東(にっとう)の
名もかんばしき秋津島

四、
桜の匂い衰えて
皮相の風の吹きすさび
清き流れをけがしつつ
沈滞ここに幾春秋

五、
向が丘の健男児
虚声偽涙(きょせいぎるい)をよそにして
照る日の影を仰ぎつつ
自治寮たてて十一年

六、
世紀新たに来れども
北京の空は山嵐
さらば兜の緒をしめて
自治の本領あらわさん

凍結するアムール川

写真:凍結するアムール川(出典:Wikipedia)

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