いもむしごろごろ ひょうたんぽっくりこ

江戸時代から歌われる伝統的なわらべうた・遊び歌

『いもむしごろごろ』は、江戸時代から歌われている古いわらべうた・遊び歌

現代の幼稚園・保育園で歌われる歌詞は、「いもむし ごろごろ ひょうたん ぽっくりこ」を繰り返すだけの非常にシンプルなものだが、江戸時代ではこの後にもいくつか問答が続けて歌われていたようだ(詳細は後述する)。

幼稚園 いもむしごろごろ 遊び

写真:『いもむしごろごろ』遊び(出典:銀水幼稚園Facebook)

遊び方は、一列になってしゃがんで、前の人の肩や腰をつかんだ状態で、「いもむし ごろごろ ひょうたん ぽっくりこ」と歌いながら前へ進んでいくというやり方。

この遊び方は、江戸時代の頃からあまり変わっていないようだ。「電車ごっこ」をしゃがんで遊べば『いもむしごろごろ』のような感じになるだろう。その意味で、『いもむしごろごろ』は「電車ごっこ」のルーツと言えるかもしれない。

【試聴】 いもむしごろごろ わらべうた

【試聴】 sora保育園 遊び方 実演 いもむしごろごろ

江戸時代の遊び方・歌い方

江戸期の国学者・喜多村 信節(きたむら のぶよ/1783-1856)は、江戸時代後期の風俗習慣文化などをまとめた「嬉遊笑覧」(きゆうしょうらん)を1830年に発刊した。

「嬉遊笑覧」では、現代の『いもむしごろごろ』は『芋虫ころころ』と題されて、次のように解説されている。

帯にとり付とり付してかかゞみ居てありく、其はやしごとに芋むしころころひやうたんぼっくりこと云つゝしばらくありきて…

<引用:「嬉遊笑覧」より『芋虫ころころ』>

意味としては、前の子の着物の帯をつかんでかがんで歩き、「いもむしころころ ひょうたんぼっくりこ」と歌いながら列になって歩いていく、といった感じで、現代とほぼ同じ遊び方であることが分かる。

先頭と最後尾が問答

江戸版『芋虫ころころ』の解説は、さらに次のように続く。

先に立たるものあとのあとのせん次郎と呼ぶは、最後に居たるものはなれ出て前に来て、何用でござるといふ、呼たる者手前今迄何して居た、答、棚から落ちたぼた餅を食って居た…

<引用:「嬉遊笑覧」より『芋虫ころころ』>

この解説によれば、まず列の先頭にいる子が「あとの(後の) あとの せん次郎」と呼び掛けると、最後尾にいる子が列から離れて先頭の方へ歩み寄り、「何か用ですか?」と答える。

すると先頭の子が「お前は今まで何をしていた?」とさらに問いかけると、「棚から落ちたぼたもちを食べていたと答えている。

最後尾の子が先頭へ

先頭と最後尾の問答はさらに続く。

それならば雨がふるか槍がふるか見てこよといへば見に行まねして、雨がふる槍がふると問まゝにそむかず答ふ、其時 前がよいか後がよいかといへば前がよいといふ、それならば前に居よとてそれを先の第一番に居らしむ、さて初めの如くはやし歩むなり。

<引用:「嬉遊笑覧」より『芋虫ころころ』>

先頭の子が「雨がふるか槍がふるか見て来て」と頼むと、最後尾の子は見に行くまねをして、「雨がふる槍がふる」とそのまま答える。このやりとりはお決まりのパターン(お約束)なのだろう。

そしてついに最後尾の子にチャンスが到来する。先頭の子が「前がいい?後がいい?」と尋ねると、最後尾の子は「前がいい!」と答える。おそらくここでは必ず「前がいい」と答える約束になっていると推測される(そうしないと何も変わらないので)。

こうして最後尾の子は先頭に移動し、また最初から一列になって「いもむしころころ ひょうたんぼっくりこ」と歌いながら進んでいく、という遊び方のようだ。

昭和8年の童謡(改作)について

江戸時代のわらべうた『いもむしごろごろ』を元にした童謡が存在する。昭和8年(1933年)に発表された『ひょうたんぽっくりこ』という歌だ。

作詞:久保田宵二、作曲:佐々木すぐる。歌詞は次のとおり。

いもむし ごろごろ
ひょうたん ぽっくりこ
ぽっくりこの ぽっくりこ
いそいじゃ だめよ
あわてちゃ だめよ
まえみて よこみて
ぽっくりぽっくり まわれ

いもむし ごろごろ
ひょうたん ぽっくりこ
ぽっくりこの ぽっくりこ
はなれちゃ だめよ
ころげちゃ だめよ
なかよく つづいて
ぽっくりぽっくり すすめ

<引用: 久保田宵二作詞『ひょうたんぽっくりこ』>

ご覧の通り、最初の2行は伝統的なわらべうたの歌詞をほぼそのまま使っており、「ぽっくりこの ぽっくりこ」以降は作詞者が考えたオリジナルの歌詞が続いている。

【試聴】 ひょうたんぼっくりこ

現代の幼稚園や保育園で歌われている『いもむしごろごろ』の原曲は、この昭和8年の童謡ではなく、江戸時代のわらべうた『芋虫ころころ』であることは言うまでもない。

俵はごろごろとの関係は?

最後に、わらべうた『芋虫ころころ』と少し似た童謡として、野口雨情の作詞により1925年(大正14年)に発表された『俵はごろごろ』を紹介したい。

童謡『俵はごろごろ』一番の歌詞は次のとおり。作曲:本居長世

俵はごろごろ お倉にどっさりこ
お米が ざっくりこで
ちゅうちゅうねずみは にっこにこ
お星さま ぴっかりこ
夜のお空に ぴっかりこ

<引用:野口雨情『俵はごろごろ』一番の歌詞>

歌詞をみると、わらべうた『芋虫ころころ』から着想したと思われる部分一致がいくつか確認できる。

まとめ

江戸時代から歌われてきたわらべうた『芋虫ころころ』は、大正・昭和・平成と時代を超えて、形を変えながら歌い継がれている。

令和の時代に入っても、現代の幼稚園・保育園などで、子供たちの手軽な遊び歌として、これからも親しまれ続けていくことだろう。

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