野球拳と原曲『元禄花見踊り』長唄

アウト!セーフ!よよいのよい!

「野球するなら、こういう具合にしやしゃんせ」が歌いだしの宴会芸「野球拳」は、長唄の『元禄花見踊』(げんろくはなみおどり)がメロディの原曲・元歌とされている。

『元禄花見踊』は、明治11年(1878年)に東京新富座にて初演された歌舞伎・日本舞踊の演目『牡丹蝶扇彩』(ぼたんにちょうおうぎのいろどり)の一つで、今日では独立した楽曲として演奏されることが多い。

1924年(大正13年)、伊予鉄道(愛媛県)野球部の宴会において、『元禄花見踊』の一部のメロディを即興でアレンジした「野球拳」の原型が誕生。その後改良が重ねられ、お座敷遊び歌として普及していった。

写真:伊予鉄道野球部の宴会の様子(出典:伊予鉄道公式サイト)

【試聴】元禄花見踊り

テレビ番組で脱衣ゲーム化に拍車

1950年台に相次いでレコード化され、「野球拳」の知名度は爆発的に高まっていく中、じゃんけんに負けると「酒を飲む」「服を脱ぐ」といった独自の罰ゲームで遊ぶケースも見られるようになる。

今日では、「野球拳」は主に脱衣ゲームとして認知される傾向にあるが、その最大の原因ともいえるのは、1969年に放送された日本テレビのバラエティ番組「コント55号の裏番組をぶっとばせ!」。日曜夜8時の1時間番組としてスタートした。

脱衣ゲーム版「野球拳」で人気を博した同番組は視聴率30%前後を記録し、萩本欽一と坂上二郎のお笑いコンビ「コント55号」がブレイクするきっかけとなった。

しかし、公共の電波で日曜日のゴールデンタイムに脱衣ゲームを全国放送するというのはさすがに問題視され、「子供に見せたくないハレンチな俗悪番組」としてPTAや主婦層から槍玉に挙げられ、同番組は1年で放送打ち切りとなってしまった。

あくまでも本来の「野球拳」は、3回負けたらスリーアウトで負けになる「踊り付きじゃんけん」であり、正しい遊び方を伝えようと家元制度も設けられ、地道な普及活動も行われている。

ただ、いったんテレビ番組によって定着してしまった「脱衣ゲーム」のイメージを完全に払拭するのは難しそうだ。

ちなみに、「よよいのよい!」の直後にじゃんけんするのは「正しくない」遊び方のようで、正式には「よよいのよい!」の直後にグーを出し、その後に「じゃんけんぽん」で勝負するのが決まり事だという(いわゆる「最初はグー」)。

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