貝殻節 かいがらぶし 歌詞の意味

何の因果で 貝殻漕ぎなろうた カワイヤノー カワイヤノ♪

『貝殻節(かいがらぶし)』は、鳥取市に伝わる漁夫の作業唄を元に、1933年(昭和8年)に発表された新民謡・踊り。浜村温泉のご当地ソング

昭和初期には、『ちゃっきり節』や『東京音頭』など、「新民謡」と呼ばれる地域色の強い民謡調のご当地ソングが数多く作曲されており、この『貝殻節』もその流れの一つ。

かつて鳥取市を含む日本海沿岸では、ホタテガイ(帆立貝/板屋貝)漁が盛んにおこなわれており、底曳き漁で舟の櫓(ろ)を漕ぐ際に『貝殻節』が労働歌として唄われていた。

やがてホタテガイの漁獲量減少と舟の近代化(発動機化)により、労働歌としての『貝殻節』はすっかり廃れてしまったが、昭和初期の新民謡・ご当地ソング運動の流れに乗る形で、古い労働歌に新たに作詞する形で現代版『貝殻節』として復活した。

写真:貝殻節のふる里 浜村温泉(出典:Wikipedia)

【試聴】 貝殻節

見出し

1.何の因果で 貝殻漕ぎなろうた
カワイヤノー カワイヤノー
色は黒うなる 身はやせる

ヤサ ホーエーヤ ホーエヤエーエ
ヨイヤサノサッサ
ヤンサノエーエ ヨイヤサノサッサ

2.浜村沖から 貝殻がまねく
かか(女房)よまま(飯)たけ 出にゃならぬ

3.戻る舟路にゃ 櫓櫂(ろかい)がいさむ 
いとし妻子が まつほどに

4.小さい時から 貝殻漕ぎなろうて
今じゃ舵とり とも櫓(ろ)とり

5.海は荒波 浜村そだち
男度胸なら ひけとらぬ

6.忘れられよか 情もあつい
あの娘浜村 お湯そだち

カワイヤノの意味は?

『貝殻節』の歌詞には、「カワイヤノー」や「ホーエーヤ」などの囃子詞(はやしことば)が使われている。

これらは基本的に歌の調子を整えるための意味のない掛け声のようなものだが、あえて何らかの語源・由来を(多少強引に)考えてみたい。

まずは「カワイヤノー」から。「カワイ」は「可愛い」か「可哀想」のどちらかが語源と思われるが、昔の底曳き漁はかなりの重労働であり、「色は黒うなる 身はやせる」の歌詞から考えると、重労働で「可哀想やのう」と解釈できそうだ。

ホーエーヤの意味は?

『貝殻節』における「ホーエーヤ」については、鳥取市にある賀露神社(かろじんじゃ)の「ホーエンヤ祭り」との関係性が伺われる。

写真:賀露神社本殿と拝殿(出典:賀露神社公式Webサイト)

鳥取市公式Webサイトでは、「ホーエンヤ」の語源・由来について次のような解説を掲載している。

鳥取市賀露神社の古文書に、それは今から約1300年前に遣唐使吉備真備が帰朝の途次に遭難したとき、賀露浦の若者たちが向う鉢巻で八丁櫓の船を仕立て救助に赴いたときの掛け声が、「ホーエンヤ、ホーエヤエーエ、ヨヤサノサッエ」という木遣りの囃し言葉だったと伝えている

「ホーエンヤ」の具体的な意味については記述がなかったため、強引に意味を推測するしかないが、「ホーエン」は「ホーエイ(宝栄/豊栄)」や「ホーライ(宝来)」などが変化したものではないかと推測される(漢字は当て字)。

大阪の愛染まつりにおける「宝恵かご」の「宝恵(ほうえ)」とも近いものがある。

ホーランエンヤとの関係は?

西日本を中心とする各地には、島根県松江市「ホーランエンヤ祭」や、大分県豊後高田市「ホーランエンヤ祭」など、「ホーランエンヤ」と呼ばれる船神事のお祭りが複数存在する。

その掛け声は『貝殻節』における囃子ことばと良く似ており、両者の関係性の近さが伺われる。

おそらく、『貝殻節』の「ホーエーヤ」は、これらの船神事「ホーランエンヤ」が変化したものと推測される。

詳しくは、こちらのページ「ホーランエンヤ 意味・由来 船神事」も適宜参照されたい。

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