クィーンの楽曲とゴスペル音楽の影響

ゴスペル音楽とアレサ・フランクリンを意識したあの曲とは?

ロンドン出身の男性4人組ロックバンド、クイーン(Queen)の楽曲といえば、特に初期の作品において用いられた「コーラスの多重録音」がその特徴の一つとして挙げられる。

多重録音による重厚なコーラスは、まるでキリスト教の聖歌隊ゴスペル・クワイア。これは決して偶然の一致ではなく、ゴスペル音楽のコーラスのような重厚感を十分に意識した演出であると考えられる。

クィーンの楽曲にはゴスペル音楽を意識したと思われる作品がいくつか存在するが、中でも有名なのは、1976年にリリースされた『Somebody To Love』だろう。

【試聴】 Queen - Somebody To Love (Official Video)

『Somebody To Love』(サムバディ・トゥ・ラヴ)の邦題は『愛にすべてを』。作詞・作曲は、リードボーカルのフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury/1946-1991)が手がけている。

同曲に関しては、クイーンのドラマーであるロジャー・テイラーも「ゴスペル音楽を意識した」というコメントを残している(詳しくは後述)。

影響を与えたゴスペル曲名は?

『Somebody To Love』に影響を与えた具体的なゴスペル音楽の作品があるとすれば、それはどんな楽曲だろうか?

筆者の推測では、『イッツ・ミー・オー・ロード It's Me, Oh Lord』という古い黒人霊歌が大きな影響を与えているのではないかと考えている。

【試聴】 It's me oh Lord!. Spiritual traditional.

歌詞の内容に関連性はないので、メロディの類似性を中心に聴いてみていただきたい。音感のある方であれば、すぐにいくつかの影響を見出すことが出来るだろう。

特に『Somebody To Love』の冒頭のアカペラパートや、その直後のピアノによるイントロ部分が、『イッツ・ミー・オー・ロード It's Me, Oh Lord』からの大きな影響が伺われる。

ただ、具体的な影響はこの冒頭部分以外には見られず、後はゴスペルのエッセンスが曲全体に取り入れられているという感じなので、あくまで冒頭のツカミとしてゴスペル楽曲をオリジナルに近い形で引用したとも考えられる。

クイーンのドラマーによるコメント

クイーンのファンサイト「queenpedia.com」によれば、クイーンのドラマーであるロジャー・テイラー(Roger Taylor/1949- )による次のようなコメントが残されている。

"'Somebody To Love' is Aretha Franklin-influenced. Freddie's very much into that. We tried to keep the track in a loose, gospel-type feel. I think it's the loosest track we've ever done."

Roger Taylor - 31/01/1977, Circus Magazine
quote source : queenpedia.com

このコメントによれば、『Somebody To Love』は、ソウルの女王アレサ・フランクリン(Aretha Franklin/1942-2018)の影響を受けているという。

フレディ・マーキュリーも同曲にとても力を入れており、収録に当たってはゴスペル音楽のような緩い感じが意識されていたようだ。

ジャケット写真:ベリー・ベスト・オブ・アレサ・フランクリン VOL.1

ちなみに、アレサ・フランクリンの称号は「ソウルの女王」。つまり「クイーン・オブ・ソウル」。こんなところに「クイーン」つながりがあったとはなかなか面白い。

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