馬場 祥弘(ばば よしひろ)とは?
森のくまさん作詞や架空歴史小説を手がける多才な作家
童謡『森のくまさん』作詞で知られる馬場祥弘(ばば よしひろ)氏は、1944年大阪府生まれ。関西学院大学卒業は上京して広告代理店に勤務し、コマーシャルフィルムのディレクターとして活躍した。
退社後は放送作家、DJ、コンサート・プランナー、作詞家など多才ぶりを発揮し、現在は主に作家として活動している。
架空の歴史シミュレーション小説(架空戦記モノ)を得意分野としているようで、「激闘!旭光の連合艦隊」、「超釈三国志 大地の覇王」、「異変戦国志〈1〉信長脱出」、「超ハイテク戦艦「大和」復活す」など、これまでに100冊近い歴史空想シリーズが出版されている。
ジャケット写真:馬場祥弘「激闘!旭光の連合艦隊」
ペンネーム:小森 豪人(こもり ごうじん)
馬場祥弘氏は、学生時代からペンネーム「小森 豪人(こもり ごうじん)」としても作詞作曲・執筆活動を行っており、今日までに推理小説やクイズ本など多数の著作を残している。
現在は、本名である「馬場祥弘」と「小森豪人」の両方の著作者名を使い分けていて、推理小説・クイズ系の書籍には「小森豪人」の名前を使い、架空歴史戦記系の書籍には「馬場祥弘」の名前を使っているようだ。
写真:小森豪人著「なぞなぞチャンピオン爆笑1000問」
森のくまさん以外の音楽作品は?
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)のデータベースで馬場祥弘氏の著作を検索してみると、「森のくまさん」以外には「俺等の恋」、「親がめソング」、「ケメコの歌」、「男と女のテーマ」など、あまりなじみのない曲や歌詞がいくつか確認できる。
「ケメコの歌」、「親がめソング」、「男と女のテーマ」については、作詞のみならず作曲もされていたようで、ソングライターとしての一面も垣間見られた。
ちなみに、「おお牧場はみどり」、「喜びの歌」(ベートーベン交響曲第九番ニ短調作品125「合唱」)」などもデータベースに登録されていたが、今日我々がよく知っている歌詞とは異なる作品だった。
パロディ曲『森のくまさん』を馬場氏が提訴?
2017年、馬場祥弘氏と『森のくまさん』に注目が集まる事件が勃発した。
童謡『森のくまさん』に独自の歌詞とメロディを付け加えたパロディ曲がリリースされ、これに激怒した馬場祥弘氏が、CDやDVDの販売中止を求める通知書を送るという「もりくま騒動」が発生したのだ。
ジャケット写真は、渦中のパロディ曲『森のくまさん』。お笑い芸人のパーマ大佐(太田プロ)による楽曲で、ユニバーサルミュージック(東京)から2016年12月7日にリリースされた。
パーマ大佐によるパロディ版『森のくまさん』では、歌詞の途中でオリジナルのストーリーとメロディを差し挟む形の改変・アレンジが加えられており、歌詞(訳詞)の著作権を持つ馬場祥弘さんの許諾が必要となるが、その改変部分について馬場さんの許諾がないまま、CDが発売されてしまったという。
JASRACも手が出せない同一性保持権
歌詞(訳詞)の著作権については、馬場氏はJASRAC(日本音楽著作権協会)に「全信託」を行っているが、著作権法上、たとえ信託契約でもJASRACへ移らない権利があり、その移らない権利の一つである「同一性保持権」に基づいて、無承諾の改変に対する馬場氏本人による法的措置が検討されているということになる。
JASRACの規約については詳しくないが、どうやらJASRACが権利を持っている部分(改変以外のオリジナルの部分)に対しては、使用申請に対して拒否する事は原則できないらしく、替え歌やパロディ曲などの「同一性保持権」の侵害問題については直接タッチしないようだ。
テレビ報道によれば、レコード会社のユニバーサルミュージック(東京)は、JASRACから使用許諾を受けたとの解説がなされていたので、おそらく改変以外のオリジナルの部分に対する許諾を、曲全体に対する使用許諾と受け取ってしまった可能性が考えられる。
事前交渉も決裂していた?
発売前にも馬場氏本人に対してユニバーサルミュージック側からパロディ曲制作に関する事前交渉があったようだが、その交渉は決裂してしまったという。
金銭的な折り合いがつかなかったのか、自身の訳詞によるオリジナル作品の健全なポジションを守りたかったのか、真相は不明だ。
馬場氏側は、2週間以内にユニバーサルミュージック側の対応がみられない場合、損害賠償請求・慰謝料請求や刑事告訴など法的措置を検討していたようだが、翌週にあっけなく和解が成立。条件の一つとして、アーティスト名の前に、歌詞を追加したことを示す「加詞」という文言を併記することになったようだ。
関連ページ
- 森のくまさん 歌詞の意味・解釈
- 説明文
- Sippin' Soda スィッピン・ソーダ
- 1953年リリースのポピュラーソング。『森のくまさん』メロディのルーツ。