ヴァイオリン協奏曲(チャイコフスキー)

チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky/1840-1893)

『ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35』は、ロシアの作曲家チャイコフスキーによるヴァイオリン(バイオリン)と管弦楽のための協奏曲。1878年作曲。

ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスのいわゆる三大ヴァイオリン協奏曲に本作を加え、「四大ヴァイオリン協奏曲」と称されるなど評価の高い名曲。

第1楽章から第3楽章までの3つの楽章から成り、特に第1楽章の主題が有名。第3楽章ではロシアの民族舞曲トレパークに基づく躍動的なリズムが登場する。

トレパークはチャイコフスキーのバレエ組曲『くるみ割り人形』でも「ロシアの踊り/トレパック」として耳にすることができる。

【試聴】ヴァイオリン協奏曲

酷評にもひるまないチャイコフスキー

数年前の1875年、チャイコフスキーは『ピアノ協奏曲第1番』(作品23)を完成。友人であるモスクワ音楽院院長のニコライ・ルビンシテイン(ルービンシュタイン)に聴かせた際、「貧弱な作品で演奏不可能」と酷評されている。

そして3年後の1878年、今度は『ヴァイオリン協奏曲』作曲時にペテルブルク音楽院教授レオポルト・アウアーに初演を依頼したところ、またもや「演奏不可能」として拒絶されてしまう。

3年前の『ピアノ協奏曲第1番』では酷評に反して初演から大成功したのに対し、『ヴァイオリン協奏曲』では指揮者や楽団員らの作品への理解が得られず、1881年12月4日に行われたウィーンフィルでの初演は失敗してしまった。

当初から高く評価していたアドルフ・ブロツキー

しかし、初演時にヴァイオリン独奏を務めたロシア人ヴァイオリニストのアドルフ・ブロツキーは、当初から『ピアノ協奏曲第1番』を高く評価しており、世界中で同曲を何度も取り上げていくうちに、次第に同曲の真価が人々に理解されるようになった。

初演依頼を拒絶したレオポルト・アウアーもやがてその理解者の一人となり、弟子のエフレム・ジンバリスト、ヤッシャ・ハイフェッツ、ミッシャ・エルマンなどが同曲を受け継いだ。

弟子たちが世界中で名演奏を繰り広げることで、『ピアノ協奏曲第1番』は一躍「4大ヴァイオリン協奏曲」の座を獲得していったのである。

同曲は、いち早くその真価を認め普及に尽力した恩人アドルフ・ブロツキーに献呈された。

映画やドラマでも使われたヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』第1楽章および第3楽章は、世界の様々な映画やドラマでストーリーと密接に関連する劇中曲として使用されている。

1984年のアメリカ映画「殺したいほど愛されて Unfaithfully Yours」では、主人公の指揮者による劇中の演奏会シーンで同曲が大きく取り上げられた。

2008年のテレビドラマ「のだめカンタービレ」特別編では、千秋真一が指揮者コンクール課題曲として『ヴァイオリン協奏曲』を指揮。第1楽章および第3楽章の演奏シーンが抜粋された。

2009年のフランス映画「オーケストラ!」では、チャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲』がストーリーにおいて中心的な役割を果たし、クライマックスでは演奏シーンが10分以上も用いられている。

フィギュアスケートの世界では、男子シングルの高橋大輔が2006-2007年シーズンにおけるショートプログラムで同曲を使用した(世界選手権で2位)。

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