ウェリントンの勝利(戦争交響曲)

ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven/1770–1827)

ベートーヴェンの交響曲「ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い」作品91では、1813年6月にイギリスがフランスに勝利したビトリアの戦いが題材となっている。単に『ウェリントンの勝利』または『戦争交響曲』とも呼ばれる。

ナポレオン戦争の一局面として、スペインのバスク地方で勃発したビトリアの戦い。ウェリントンとは、イギリス軍を指揮した初代ウェリントン侯爵アーサー・ウェルズリーを指している(写真はビトリアの戦い模擬戦の様子)。

イギリスと交流のあったベートーヴェンは、この『ウェリントンの勝利』以外にも、イギリス国歌『ゴッド・セイヴ・ザ・キング God save the King』や愛国歌『ルール・ブリタニア Rule, Britannia!』など、イギリスのアンセムを題材とした変奏曲を何曲か作曲している。

『ウェリントンの勝利』については、メトロノームを発明したドイツのヨハン・ネポムク・メルツェル(Johann Nepomuk Mälzel)からの依頼で1813年に作曲された。検定先はイギリス国王ジョージ4世。

【試聴】 Beethoven Battle Symphony

ナポレオン戦争を描いた交響詩的作品

ベートーヴェン『ウェリントンの勝利』は大きく分けて2つのパートで構成され、前半ではビトリアの戦いの様子が、後半ではイギリス軍の勝利を祝うイギリス国歌の変奏曲が演奏される。

前半では、イギリス軍を象徴する曲としてイギリス愛国歌『ルール・ブリタニア』が、フランス軍を表す曲としてフランス民謡『マールボロ将軍は戦争に行く』が用いられ、両者が激しくぶつかり合い、やがてフランス軍が敗退していく様子が描かれる。

ナポレオン戦争を描いた同様の管弦楽作品としては、ロシアの作曲家チャイコフスキーによる演奏会用序曲『1812年』があるが、それと比べると『ウェリントンの勝利』の方は現代ではあまり演奏機会は多くないようだ。

写真:ビトリアの戦い模擬戦でのスペイン軍の様子)

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