エイエイオー! 意味・由来・語源は?
戦国時代の合戦前や勝ち戦などで声を上げる武家作法
集団で勝負事や試合などに挑む際、「エイエイオー!」と声を合わせて気勢を上げる掛け声の儀式がある。
これはかつて戦国時代などの「鬨の声(ときのこえ)」と呼ばれる武家作法で、勝ち戦の後には「勝鬨(かちどき)」が上げられた。
「エイエイオー!」の正確な意味や由来を求めるのは困難かもしれないが、その語源などについては主に二つの説がある。簡単にまとめてみた。
写真は、新潟県上越市春日山町周辺で2016年8月に行われた第91回謙信公祭の様子(出典:上越ジャーナルWebサイト)。
意味その1:精鋭の「鋭」と応答の「応」
「エイエイオー!」の語源としては、「エイ」の部分と「オー!」の部分で意味や由来が異なる。
まず「エイ」については、「精鋭」、「鋭気」、「鋭意」などに用いられる「鋭い(するどい)」の「鋭(えい)」が語源と考えられるという。
次に「オー!」については、「エイエイ」の呼びかけに答える応答の「応(おう)」を意味すると説明されるようだ。
意味その2:曳叡王(えいえいおう)
戦国時代に剣術「新陰流/新影流(しんかげりゅう)」開いた剣豪・上泉信綱(かみいずみ のぶつな)は、「エイエイオー!」の意味に関連する次のような記述を残している。
勝凱をつくることは、軍神を送り返し、奉る声なり
<引用:上泉信綱「訓閲集」巻十「実検」帰陣祝い>
戦に勝利した軍が凱旋する際、大将が「曳(えい)」と叫ぶと、兵卒らが「叡王(えいおう)」と応えたという。
ここでの「叡王(えいおう)」とは「軍神」であり、戦いが終わった後に軍神を迎え奉る意味合いがあるようだ。
ちなみに、将棋の八大タイトルに「叡王戦」という棋戦名があるが、ここでの「叡王(えいおう)」は、「叡智を極めた棋士」といったような造語的な意味合いが強い(公募で決定したネーミング)。
「えい」は2回?それとも3回?
かつて出版されていた歴史専門雑誌「歴史読本」昭和63年3月号の記事によれば、「エイエイオー!」の「エイ」は、昔は「エイエイエイ、オー!」のように3回叫ばれるケースもあったという。
大将が弓杖(ゆんづえ)で地面を三度叩きながら「えい、えい、えい」と叫ぶと、家来たちがそれに「おー!」と応えたという。
この「歴史読本」では、「えい、えい」を2回発する現代は「誤った用法」とまで解説されているようだが、現代では「えい」を3回発する形式は全く見られない。
エンヤーコーラヤとルーツが同じ?
「エイエイオー!」の「エイ」は、『斎太郎節(大漁唄い込み)』のエンヤードットや、『北海盆歌(ほっかいぼんうた)』のエンヤーコラヤなどの「エン」と、語源的にルーツが同じ可能性がある。
詳しくは、こちらのページ「エンヤー えんや 意味・語源・由来」を参照されたい。
イーアイ イーアイ オー!
余談だが、「エイエイオー!」を英語(ローマ字)でキーボード入力しようとすると、「E I E I O」となる。これをカタカナ読みすると「イーアイ イーアイ オー」。
これは、アメリカの童謡『ゆかいな牧場 Old MacDonald Had a Farm』の歌詞でも何度も繰り返される有名なフレーズだ。
申し訳ないが、「エイエイオー!」と「イーアイ イーアイ オー」の間には、おそらく何の関係もない。まったくの偶然の一致だ。
ただ、同じ言葉を2回繰り返した後に、「オー」などの伸ばす音で締めくくるフレーズは、どこの国でも語呂が良いことが良く分かる。
「アイアイサー」や「ランランルー(マクドナルドCM)」などもこの類なのかもしれない。
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