マツムシ 松虫 鳴き声 チンチロリン
あれ松虫が鳴いている チンチロ チンチロ チンチロリン♪
唱歌『虫のこえ』の歌詞では、「あれ松虫が鳴いている チンチロ チンチロ チンチロリン」とマツムシの鳴き声が描写されている。
でも本当に、実際のマツムシは「チンチロリン♪」と鳴いているのだろうか?
実物を確かめてみたいが、マツムシが生息する地域は限られているし、別種のアオマツムシが大繁殖しているので、実際にマツムシの鳴き声を直に確認するのは簡単ではない。
そこで、YouTubeでマツムシの鳴き声に関する様々な動画を参考にして、マツムシの鳴き声はどのように聞こえるのか?簡単にまとめてみた。
写真:マツムシ(出典:orthoptera-jp.com)
ちなみに、古くはスズムシのことを「マツムシ」、マツムシのことを「スズムシ」と呼んでいた。詳しくは「スズムシの鳴き声 昔はマツムシだった? 意味・理由・歴史」で解説している。
このような呼称の逆転は、かつてキリギリスとコオロギでも生じており、唱歌『虫のこえ』の歌詞にもその痕跡がはっきりと確認できる。
鳴き声は「チッチリリ」?
さっそく、YouTubeでマツムシの鳴き声を扱う様々な動画の中から、実際のマツムシが鳴いている様子を撮影した動画をご紹介してみたい。
マツムシは、バッタ目コオロギ科の昆虫で、スズムシより大きく、淡褐色の体色はススキなどの枯れ草に隠れやすい保護色となっている。
【YouTube】 マツムシ 鳴き声
動画でマツムシの鳴き声を聞いてみると、「チンチロリン」のような可愛らしい印象でなはなく、「チッチリリッ」という比較的鋭い感じの響きが確認できた。
マツムシの鳴き声をカタカナで表現した場合の表記をネットで調べてみると、「チッチリリッ」、「ティッティリリッ」、「ピッピリリッ」などの表現が多いように感じられた。
チンチロリンは文学的表現
「チンチロリン」という表現は、あくまでも童謡・唱歌の歌詞において誇張・デフォルメが加えられたものであり、実際のマツムシの鳴き声と異なるのは仕方のないこと。
「~リン」という表現は、末尾が「り」で終わる言葉を可愛らしく表現する際によく用いられ、例えば「おむすびころりん」、「くるりん」、「きらりん」などがそれに該当する。「ポンポコリン」も同様。
唱歌『虫のこえ』の歌詞における「チンチロリン」は、歌の音節にぴったりと当てはまるように語句の長さを整え、かつ「~リン」という末尾表現で語感を可愛らしく柔らかい印象に落とし込むための文学的表現と言えるだろう。
ちなみに、「チンチロリン」という表現は、既に江戸時代後期の文献で用いられている歴史ある擬声語。
アオマツムシの鳴き声は?
アオマツムシ(青松虫)は、バッタ目コオロギ科の昆虫。バッタのよう鮮やかな緑一色の体色が特徴。バッタの仲間ではあるがあまり跳躍しない。
マツムシとは姿も鳴き声も異なり、「リーリーリー」という大きな甲高い声で、夏の早い時期には夜間に鳴き、晩秋になると昼間にも鳴く。
写真:鳴いているアオマツムシのオス(出典:Wikipedia)
アオマツムシは1970年代から数が増え始め、都市部の街路樹や庭木にも多く生息。東京では最も鳴き声を耳にする秋の虫となった。
もともとは日本にいなかった外来種で、明治時代にサクラの苗木とともに卵の状態で中国から侵入したと考えられている。
【YouTube】 アオマツムシ 鳴き声
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