どんどんばしわたれ わらべうた・遊び歌

こんこが出るぞ さあわたれ♪ 保育園で歌われる門くぐり遊びの歌

『どんどんばしわたれ』は、保育園などで門くぐり遊びの際に歌われる日本のわらべうた・遊び歌。単に『どんどんばし』とも。

「どんどんばし」とは、歩くと「どんどん」と響く木の橋のこと。「どんどん橋」。止まらずに「どんどん」歩いて渡れという二重の意味にも解釈できる。

イギリスの童謡『ロンドン橋』と発音が似ているだけでなく、『ロンドン橋』にも同じような門くぐり遊びがあるが、その経緯は不明。

絵本「どんどんばし わたれ」表紙

挿絵:絵本「どんどんばし わたれ」表紙

『どんどんばしわたれ』の遊び方はいくつかあるようだが、ネットで検索してみると、門くぐり遊びの歌として用いられることが多いように思われる。

門くぐり遊び以外にも、橋に見立てたマットの上を歩かせる時に、子供をはやし立てるために『どんどんばしわたれ』を歌っていた動画なども見られた。

【YouTube】 わらべうた どんどんばしわたれ

歌詞

どんどんばし わたれ
さあ わたれ
こんこがでるぞ
さあ わたれ

キツネはオバケ?

『どんどんばしわたれ』の歌詞にある「こんこ」とは「キツネ」のこと。

キツネと言えば、保育園や幼稚園などでは、「こっちからキツネがやってきて♪」が歌い出しの『コンコンきつね』という可愛らしい歌がよく歌われている。

笑顔のキツネのイラスト

現代の童謡において、キツネは可愛らしい動物か、ずる賢い動物の一つとして描かれることが多いように思われるが、『どんどんばしわたれ』の歌詞では、まるでオバケのように、目の前に現れたら怖い存在として位置づけられているのが興味深い。

確かに、キツネは妖怪の一つ「妖狐(ようこ)」として描かれることがある。中国の伝説では妖怪「九尾の狐(きゅうびのきつね)」となり、江戸時代の日本では、妖狐の化身「玉藻前(たまものまえ)」の物語が流行した。

江戸時代には、キツネは妖狐としてのイメージが強くなり、わらべうた『どんどんばしわたれ』の歌詞で、怖いキツネが来るぞと子供たちを怖がらせる存在として歌われるようになったと考えられる。

ただ、現代においては、キツネは必ずしも怖い存在ではなく、『コンコンきつね』や『こぎつねコンコン』などのように、可愛らしい動物として描かれることが多い。

そのため、なぜ「こんこ」が来るから急いで橋を渡らなければならないのか、子供たちが疑問に思う場面もあるかもしれない。

玉川上水の「どんどん橋」

余談だが、東京都の玉川上水(たまがわじょうすい)には、「どんどん橋」という名の橋がかけられている。

「どんどん橋」は、三鷹市・井の頭公園の南東に位置しており、京王井の頭線「久我山」駅の南口から、神田川を渡って人見街道に沿って西へ800mほどの、玉川上水にかかる牟礼橋(むればし)のすぐ西側にひっそりと存在している。

どんどん橋 牟礼橋

上の写真(出典:Google Map)でいうと、左側の電柱近くにある土と草に覆われた小さな橋が「どんどん橋」。

その歴史は古く、どんどん橋のたもとにある石橋建立供養之碑は、江戸時代中期の1757年に立てられており、その後1797年と1849年に橋が架け替えられたと刻まれている。

どんどん橋 三鷹市

写真:どんどん橋(出典:ブログ「かわゆら」水無月六花様)

このどんどん橋における「どんどん」とは、かつて水量が多かった玉川上水における激しい水の流れの音を表しているという。

ちなみに、井の頭公園「三鷹の森ジブリ美術館」の500mほど南には、狐久保(きつねくぼ)と呼ばれる地名がある。

三鷹警察署「狐久保交番」Webページの解説によれば、昔はこのあたりにもキツネが住んでいたそうだ。

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