ロンドン橋落ちた 歌詞の意味・和訳
マイ・フェアレディって誰?不思議な歌詞の歴史・由来を探る
『ロンドン橋落ちた』(London Bridge Is Falling Down/ロンドン・ブリッジ・イズ・フォーリング・ダウン)は、イングランドの古いマザーグース・ナーサリーライム。
様々な歌詞が存在するが、ロンドン橋を色々な材料で建て直そうとする内容が一般的。実際のロンドン橋も、12世紀頃に石造りになるまで、洪水や火災で頻繁に消失する歴史を繰り返していた。
挿絵:18世紀中頃のロンドン橋(画:Herbert Pugh/出典:Wikipedia)
ロンドン橋の建設に生贄が捧げられていたという逸話が「怖い童謡」ネタとしてよく取り上げられるが、信ぴょう性は低いようだ。
ところで、歌詞に繰り返し登場する「fair lady(フェア・レディ)」とは、英語で「美しい女性」を意味するが、具体的には一体誰のことを指しているのだろうか?代表的な説をまとめてみた(詳細は後述)。
【YouTube】London Bridge Is Falling Down Nursery Rhymes
歌詞の意味・和訳(意訳)
London Bridge is broken down,
Broken down, broken down.
London Bridge is broken down,
My fair lady.
ロンドン橋落ちる 落ちる 落ちる
ロンドン橋落ちる 美しいお嬢さん
<以下、重複部分の訳を省略>
Build it up with wood and clay,
Wood and clay, wood and clay,
Build it up with wood and clay,
My fair lady.
木と土で建てよう
Wood and clay will wash away,
Wash away, wash away,
Wood and clay will wash away,
My fair lady.
木と土じゃ流されちゃう
Build it up with bricks and mortar,
Bricks and mortar, bricks and mortar,
Build it up with bricks and mortar,
My fair lady.
レンガとモルタル(漆喰)で建てよう
Bricks and mortar will not stay,
Will not stay, will not stay,
Bricks and mortar will not stay,
My fair lady.
レンガとモルタルじゃ耐えられない
Build it up with iron and steel,
Iron and steel, iron and steel,
Build it up with iron and steel,
My fair lady.
鉄とスチールで建てよう
Iron and steel will bend and bow,
Bend and bow, bend and bow,
Iron and steel will bend and bow,
My fair lady.
鉄とスチールじゃ曲がっちゃう
Build it up with silver and gold,
Silver and gold, silver and gold,
Build it up with silver and gold,
My fair lady.
銀と金で建てよう
Silver and gold will be stolen away,
Stolen away, stolen away,
Silver and gold will be stolen away,
My fair lady.
銀と金じゃ盗まれちゃう
Set a man to watch all night,
Watch all night, watch all night,
Set a man to watch all night,
My fair lady.
見張りを立てよう 一晩中
Suppose the man should fall asleep,
Fall asleep, fall asleep,
Suppose the man should fall asleep?
My fair lady.
見張りは寝てしまう
Give him a pipe to smoke all night,
Smoke all night, smoke all night,
Give him a pipe to smoke all night,
My fair lady.
見張りにパイプタバコをやって
一晩中吸わせよう
フェアレディは聖母マリア?
英語版ウィキペディアの解説によれば、「フェア・レディ(fair lady)」とは、イエス・キリストの母、聖母マリアを意味しているとの説があるようだ。
挿絵:祈りを捧げる聖母マリア(画:Giovanni Battista Salvi da Sassoferrato/出典:Wikipedia)
カトリックで聖母マリアの誕生日とされる9月8日、ヴァイキング(海賊)がロンドンを襲撃した。ロンドン橋も焼かれて落とされたが、町は攻撃を耐え抜いた。それは聖母マリアのご加護であった。この出来事から、ロンドン橋と聖母マリアが結びついたと考えられる。
イングランド王妃説
「フェア・レディ(fair lady)」とは、歴史上のイングランド王妃を意味していると考える説もある。候補者は二人いる。
一人目は、ヘンリー1世の王妃マティルダ・オブ・スコットランド(Matilda of Scotland/1080–1118)。ロンドン橋の建設の責任者だった。
二人目は、ヘンリー3世の王妃エリナー・オブ・プロヴァンス(Eleanor of Provence/ 1223-1291)。ロンドン橋の収益に関しての権限を持っていたという。
古い歌詞とレイディ・リー
『ロンドン橋落ちた』の古い歌詞を見ていくと、「フェア・レディ(fair lady)」が何を指しているのかについて、また新たな視点が生まれてくる。
London Bridge Is Broken down
Dance over my Lady Lee
London Bridge Is Broken down
With a gay Lady<出典:Tommy Thumb's Pretty Song Book 1744>
古い歌詞では、現代版の「Falling Down(フォーリング・ダウン)」が「Broken down(ブロークン・ダウン)」となっている。
ポイントは、2行目の「Dance over my Lady Lee」の「Lady Lee(レイディ・リー)」という歌詞。これは「リーという名前の女性」を意味している。
この「リー」という女性は一体誰なのか?
一説によれば、イングランド中部の州ウォリックシャー(Warwickshire)の貴族であったリー家(the Leigh family)の婦人を指しているとの考察があるようだ。
リーは川の名前?
ロンドン橋のあるテムズ川にはリー川(River Lee/River Lea)という支流があるのだが、「Lady Lee(レイディ・リー)」とはこのリー川を指しているとの説も存在する。
写真:リー川(イングランド)出典:Wikipedia
しかし、リー川がテムズ川と合流するのはロンドン橋から離れた場所(下流)であるため、ロンドン橋と結びつけて考えるには若干説得力が足りないようだ。
現代のロンドン橋
現代のテムズ川(the River Thames)にかかるロンドン橋(下写真)は、建築家のジョン・ウォーレムにより設計された。
1967年から1972年にかけて建築が進められ、エリザベス女王2世により1973年に開設された。
写真:現在のロンドン橋(出典:Wikipedia)
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