With or Without You 歌詞の意味 和訳 解釈
U2の世界的大ヒットアルバム「ヨシュア・トゥリー」のリードシングル
『With or Without You』(ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー)は、アイルランドのロックバンド、U2(ユートゥー)がアルバム「ヨシュア・トゥリー(The Joshua Tree)」のリード・シングルとして1987年3月9日にリリースした楽曲。
アルバム「ヨシュア・トゥリー」はアメリカの音楽文化を積極的に取り入れた作品で、全米チャートで9週連続1位を獲得し、全世界でのセールスは2,500万枚を超える大ヒットアルバムとなった。
ジャケット写真:U2 アルバム「ヨシュア・トゥリー」
アルバム名の「ヨシュア・トゥリー(Joshua Tree)」とは、アメリカ南西部の砂漠地帯に生えるユッカの樹のこと。
「ヨシュア(Joshua)」とは、キリスト教の「旧約聖書」に登場する指導者で、モーセの後継者としてエリコ(ジェリコ)を攻略した人物。ヘブライ語ではイエスと同じ名前になる。
ヨシュアの名前を冠した同アルバムには、キリスト教関連の文脈を含む(または暗示する)楽曲がいくつか含まれている。『With or Without You』もその一つ(の可能性がある)。
『With or Without You』の歌詞については、様々な解釈が試みられている。このページでは、まず同曲の歌詞の簡易な和訳を行ったうえで、その歌詞の解釈について、ネットで確認できる諸説を簡単にまとめてみたい。作者のコメントも紹介する。
【YouTube】U2 - With Or Without You
歌詞の意味・和訳(意訳)
『With or Without You』
作詞:ボノ(Bono)
See the stone set in your eyes
See the thorn twist in your side
I'll wait for you
あなたの瞳をふさぐ石
あなたの体をしばる茨(いばら)
僕はあなたを待ってる
Sleight of hand and twist of fate
On a bed of nails she makes me wait
And I'll wait without you
まやかしや運命のいたずらが
針のむしろの上で僕を足止めする
僕は待つ あなたがいなくても
With or without you
With or without you
あなたがいても いなくても
あなたがいても いなくても
Through the storm we reach the shore
You give it all but I want more
And I'm waiting for you
嵐を抜け 岸辺に辿り着く
あなたはすべてを与える
だけど僕はさらに望む
僕はあなたを待っている
With or without you
With or without you
I can't live
With or without you
あなたがいても いなくても
あなたがいても いなくても
僕は生きていけない
あなたがいても いなくても
And you give yourself away
And you give yourself away
And you give, and you give
And you give yourself away
そしてあなたは
本音をあらわにする
そしてあなたは
本音をあらわにする
My hands are tied
My body bruised
She got me with
Nothing to win and nothing left to lose
僕は両手を縛られ
体は傷だらけ
運命のいたずらが僕を支配する
勝ち取るものもなく
失うものもないままに
And you give yourself away
And you give yourself away
And you give, and you give
And you give yourself away
そしてあなたは
本音をあらわにする
そしてあなたは
本音をあらわにする
With or without you
With or without you
I can't live
With or without you
あなたがいても いなくても
あなたがいても いなくても
僕は生きていけない
あなたがいても いなくても
With or without you
With or without you, oh-oh
I can't live, with or without you
With or without you
あなたがいても いなくても
あなたがいても いなくても
僕は生きていけない
あなたがいても いなくても
様々な解釈まとめ
『With or Without You』の歌詞については抽象的な表現が多く、様々な解釈が成り立ちうる。作者のコメントは後で確認するとして、まずはネットで確認できたいくつかの解釈・意味付けを次のとおり列挙してみたい。
・カトリックとプロテスタントというキリスト教宗派間のラブソング
・異なる宗派の女性と結婚したボノの父親が抱いたであろう葛藤
・キリスト教徒としての信仰のゆらぎや現実との葛藤
・イギリスに迫害されたアイルランドの歴史と二国間の関係
・人間の心の葛藤
『With or Without You』の作曲者であるボノはアイルランド出身で敬虔なキリスト教徒だが、父親はカトリック、母親はプロテスタントという異なる宗派の両親だった。
そのため、歌詞の解釈も宗派間の葛藤や、キリスト教に関連する内容の意味付けが主流になってくるようだ。アイルランドに着目した解釈も興味深い。
その一方で、バンドのメンバーに関連付けて解釈を試みるケースもいくつか確認できた。次のとおり列挙する。
・U2でデビューする前に組んでいたバンドの才能あるギタリスト、友人との訣別を歌った歌
・ギタリスト、エッジの離婚について歌った曲
こちらはキリスト教的な要素は感じられず、バンドメンバーに関連するいくつかの「別れ」に結び付けて、大まかに筋の通る意味付けを行っているようだ。
作者による説明
ウィキペディアの解説によれば、『With or Without You』の歌詞の意味・背景について、作曲者のボノは次のような説明をしている。該当箇所を引用する。
歌詞は、ボノが1986年にコート・ダジュールを訪れた時に書いたもので、その意味については諸説あった。しかし、本人は「U2 By U2」において、ロックスターの生活と普通の家庭生活の板挟みになって悩んでいた、当時の心境を綴ったとのこと。
これによれば、『With or Without You』の歌詞は、「ロックスターの(派手で自由奔放な)生活」と「普通の家庭生活(妻との結婚生活)」の板挟みに悩む作曲者の葛藤が背景となっていることになる。
そしてさらに、この二つのどちらかだけではダメで、二つの生活の間に生じる緊張感こそが、彼の人生を形作っていくのだと悟ったという。
たしかに、この説明を念頭において次の歌詞を見ると、アーティストとしてのボノと妻との関係性が暗示されているように感じられる。
You give it all but I want more
あなた(妻)はすべてを捧げる
だけど僕はさらに(アーティストとしての自由を)望む
U2 ベスト盤
ジャケット写真:U2 ベスト盤 The Best of 1980-1990
関連ページ
- ウィズアウト・ユー Without You
- マライア・キャリー、ニルソンなどのカバーで有名な70年代ヒット曲
- 愛は夢の中に I Won't Last a Day Without You
- ポールとロジャーのコンビで作曲されたカーペンターズの代表曲
- ジェリコの戦い
- ジョシュアのジェリコ攻略を歌った黒人霊歌 合唱曲としても有名
- 洋楽・ポピュラーソング 歌詞の意味・和訳
- 海外のアーティストによる比較的近年の名曲まとめ