ペニー・レイン Penny Lane 歌詞の意味・和訳

ポール・マッカートニーがリヴァプールで過ごした少年時代の思い出

『Penny Lane』(ペニー・レイン)は、1967年2月にリリースされたビートルズの楽曲。『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』との両A面シングル。

レノン=マッカートニー名義だが、主にポール・マッカートニーが作曲した。

歌詞は、メンバーの故郷リヴァプールに実在する通り「ペニー・レイン」を題材としており、ジョン・レノンの『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』に触発された作品。

Penny Lane(ペニー・レイン)の床屋 トニー・スレイヴィン Tony Slavin

写真:歌詞に登場する床屋「トニー・スレイヴィン」(白い外壁)出典:Wikipedia

ペニー・レインの場所は、リヴァプール大学の北側に隣接しており、大学から北東方向へまっすぐ伸びてA562と交差するあたりまでがペニーレインと呼ばれる。

地図:ペニーレインの外れにある床屋「トニー・スレイヴィン」(黒い外壁)

歌詞で描写される床屋は、現在も営業している「トニー・スレイヴィン(Tony Slavin)」(上写真)。2022年現在は外壁が黒くなっている。

このページでは、ビートルズ『Penny Lane』の歌詞を和訳するとともに、歌詞に登場する実在の場所や建物などについて、グーグルマップを活用して簡単に補足してみたい。

【YouTube】The Beatles - Penny Lane

歌詞の意味・和訳(意訳)

『Penny Lane』

作詞・作曲:レノン=マッカートニー(Lennon–McCartney)

In Penny Lane
There is a barber showing photographs
Of every head he's had the pleasure to know
And all the people that come and go
Stop and say hello

ペニーレインには床屋があって
気に入った髪型の写真を飾っていた
行き交う人はみな
立ち止まって挨拶していくんだ

On the corner is a banker with a motorcar
The little children laugh at him behind his back
And the banker never wears a mac
In the pouring rain
Very strange

通りの角に 車持ちの銀行家がいて
子供たちに陰で笑われてる
銀行員は決して雨具を着ない
土砂降りの雨でも
とても変なんだ

Penny Lane is in my ears and in my eyes
There beneath the blue suburban skies
I sit and meanwhile back

ペニーレインは 僕の耳と目の中に
郊外の青い空の下で
座っていると 思い出がよみがえる

In Penny Lane
There is a fireman with an hourglass
And in his pocket is a portrait of the Queen
He likes to keep his fire engine clean
It's a clean machine

ペニーレインには
砂時計を持った消防士がいる<注>
ポケットには女王陛下の写真が入ってる
消防車を綺麗にしておくのが好きで
綺麗なマシーンさ

<注:「hourglass figure」(限定用法)で「砂時計のようにくびれた体型」の意味があり、一般的に女性の腰のくびれを表す際に使われる>

Penny Lane is in my ears and in my eyes
Four of fish and finger pies
In summer, meanwhile back

ペニーレインは 僕の耳と目の中に
4ペンスのフィッシュ&チップスと恋愛
夏になると 思い出がよみがえる

Behind the shelter
In the middle of a roundabout
A pretty nurse is selling poppies from a tray
And though she feels as if she's in a play
She is anyway

環状交差点の真ん中にある
バス待合所の裏で
可愛い看護師さんが
トレーに載せたポピーを売っている
気分はまるで演劇の役者
とにかく彼女はそうなのさ

In Penny Lane
The barber shaves another customer
We see the banker sitting, waiting for a trim
And then the fireman rushes in
From the pouring rain
Very strange

ペニー・レインでは
床屋が別の客のヒゲを剃って
あの銀行家が座って順番待ちしてる
するとあの消防士が駆け込んでくる
土砂降りの雨の中から
とても変なんだ

Penny Lane is in my ears and in my eyes
There beneath the blue suburban skies
I sit, and meanwhile back

ペニーレインは 僕の耳と目の中に
郊外の青い空の下で
座っていると 思い出がよみがえる

<以下、繰り返しのため省略>

角の銀行

ビートルズ『Penny Lane』の歌詞に登場する「通りの角の銀行家」とは、ペニーレインの床屋の向かいの道(チャーチ・ロード)の角にかつて存在した銀行が関連している。その後、ロイズTSB銀行となったが、現在では店舗は閉鎖されている。

GoogleMap:ペニーレインの床屋(左手)とTSB銀行跡(右手のレンガの建物)

消防署があった?

ビートルズ『Penny Lane』の歌詞では「fireman(消防士)」が登場するが、これは、ペニーレインの近くにあった消防署が関連している。

ウィキペディアによれば、ペニーレインから1kmほど南東の「Mather Avenue(マザー通り)」には、かつて消防署があり、歌詞はその消防署の思い出が反映されているという。

グーグルマップでマザー通りを見ると、「Allerton Community Fire Station」(アラートン・コミュニティ消防署)という表記が見つかるが、おそらくはここにあった消防署が歌詞と関連しているのではないかと推測される。

GoogleMap:ペニーレイン付近 マザー通りの消防署

ラウンドアバウト(環状交差点)

ビートルズ『Penny Lane』の歌詞に登場する「roundabout(ラウンドアバウト/環状交差点)」は、床屋のすぐ前にある交差点で、航空写真でみると3本の道路に囲まれた中洲のような二等辺三角形の敷地があるのが分かる。

この三角形の敷地にかつてはバスの停留所があり、それが歌詞で描写されている。かつては主要なバスターミナルの一つだった。

1980年代に良く目立つ円筒形の建物が建てられ、ビストロ(大衆食堂)として営業していたが、現在では閉店している。

写真:ペニーレインの環状交差点(床屋の向かい)出典:Google Map

ペニーレインの環状交差点で営業していたビストロ

写真:ペニーレインの環状交差点で営業していたビストロ(出典:Wikipedia)

GoogleMap:ペニーレインの環状交差点と床屋。近くに銀行跡がある。

ポピーと戦没者追悼記念日

ビートルズ『Penny Lane』の歌詞では、可愛い看護師さんがトレーに載せたポピーを売っている様子が描写されているが、これは一体どういう状況を描いているのだろうか?

イギリスとポピーと言えば、11月11日のリメンブランス・デー(Remembrance Day)が真っ先に思い出される。

リメンブランス・デーは、1918年11月11日の第一次世界大戦終結を記念してイギリス国王ジョージ5世によって定められた記念日で、日本では「戦没者追悼記念日」などと訳される。

この日には、戦没者追悼の象徴として赤いポピー(ヒナゲシの花)の造花を身に着ける週間があり、この花はリメンブランス・ポピーと呼ばれる。リメンブランス・デー自体も「ポピーデー(Poppy Day/ポピーの日)」と呼ばれることがある。

リメンブランス・ポピーを作る女性 Remembrance Day

写真:リメンブランス・ポピーを作る女性(出典:Wikipedia)

つまりイギリスにおいては、ポピーは毎年11月になると町中で見かける風物詩的な花であり、それはビートルズのメンバーにとっても少年期におけるペニーレインでの思い出の一つになっているのではないかと推測される。

ストロベリー・フィールドも近い

ジョン・レノンが幼少期に遊んでいたというリヴァプール郊外の孤児院跡地「ストロベリー・フィールド」は、ペニーレインから比較的近い場所にある。

ペニーレインの床屋の交差点からA562へ入り、東へ道なりに2.5kmほど進んで左折するとストロベリー・フィールドへ着く。左折せずに進むと、ジョン・レノンの生家がある。

GoogleMap:ストロベリー・フィールド付近

収録アルバム

THE BEATLES 青盤 1967-1970

ジャケット写真:THE BEATLES 1967 - 1970

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