カササギと天の川の橋渡し 七夕伝説

天の川は雨が降ったらカササギの橋でも渡れない?

七夕伝説では、7月7日に織姫(おりひめ)彦星(ひこぼし)が天の川を渡って年に一回の再会を果たす。

ネットで七夕伝説をいくつか調べてみると、カササギが天の川で二人を橋渡しすると説明されるケースが多いが、カササギの役割・位置づけに若干の違いがみられ、大変興味深い。

カササギの橋で再会する織姫と彦星

イラスト:カササギの橋で再会する織姫と彦星(出典:エイミーのアトリエ)

一体カササギの役割にどのような違いが見られるのだろうか?七夕伝説におけるカササギと天の川について、ネット検索で確認できた主なバリエーションについて簡単にまとめてみた。

七夕に関するその他の解説については、こちらのページ「七夕 たなばた 起源・由来 物語・ストーリー」でまとめているので是非参照されたい。

七夕の歌・童謡については、こちらの「たなばたさま 歌詞の意味 童謡・唱歌」で解説している。

カササギってどんな鳥?

まずカササギという鳥について簡単に。スズメ目カラス科のカササギは、サギと名前がつくが、サギはペリカン目サギ科なので異なる分類に属する鳥である。

カチガラス、コウライガラスなどの別名でも知られ、佐賀県の県鳥となっている。本場中国では「喜鵲」と表記され、織姫(おりひめ)彦星(ひこぼし)の愛の掛け橋となる縁起の良い鳥として親しまれている。

写真:カササギ(出典:Wikipedia)

カササギ登場の3つのパターン

ネット検索で七夕伝説をいくつか検索した結果、カササギによる天の川の橋渡しについて、天気・天候の観点から主に3つのパターンに分類してみた。

カササギの橋で再会する織姫と彦星

「空に天気なんてあるのか?」といった野暮な疑問は置いておいて、7月7日の七夕が晴天か雨天かに着目してパターン分けしている。

挿絵:カササギの橋で再会する織姫と彦星(出典:libra-co.com)

パターン1:晴天でもカササギで渡る

一つ目は晴天のパターン。天の川を渡るには、晴天でも必ずカササギに乗る必要があるケース。これに該当する検索例は次のとおり。

そこで、仕事に励むことを条件に七夕の夜に限って再会することが許され、七夕になると天帝の命を受けたカササギの翼にのって天の川を渡り、年に一度、再会するようになった。

引用:allabout.co.jp

このパターンでは、雨が降ったらどうなるのかについて説明しないケースや、雨天の場合は天の川を渡れないケースが見られた。

パターン2:雨天時のみカササギで渡る

二つ目は雨天のパターン。七夕の日に雨が降った場合のみ、カササギが飛んできて橋となって天の川を渡してくれるケース。これに該当する検索例は次のとおり。

7月7日に雨が降れば...そんな2人を見かね何処からともなくかささぎの群が飛んできて、 天の川で翼と翼を広げて橋となり、織女を牽牛のもとへ渡す手助けをしてくれるのだそうです。

引用:space 七夕伝説

こちらの検索例も、雨が降った場合のみにカササギが登場する。

二人の様子を哀れに思った天帝は、一年に一度、7月7日の夜にだけ会うことを許しました。しかし、7月7日に雨が降ると天の川の水が増水してわたることができないので、カササギが二人の橋渡しをします。

<引用:なにわの科学史のページ

七夕とカササギが描かれたイラストなどを見てみると、無数のカササギが密集して重なり合って橋となり、その上を織姫(おりひめ)彦星(ひこぼし)の二人が歩いて天の川を渡っていく様子が描かれるようだ。

このカササギの橋は「鵲橋(しゃくはし、かささぎばし)」と呼ばれ、男女が良縁で結ばれる縁起が良い橋として、中国や日本で親しまれている。

パターン3:雨天ではカササギでも渡れない

三つめは、雨天ではカササギでも橋をかけられず、一年に一度の七夕でも二人は会えないパターン。ウィキペディアでは次のように例示されている。

年に1度、7月7日だけ天帝は会うことをゆるし、天の川にどこからかやってきたカササギが橋を架けてくれ会うことができた。しかし7月7日に雨が降ると天の川の水かさが増し、織姫は渡ることができず彦星も彼女に会うことができない。

引用元:ウィキペディア「七夕」

雨天ではカササギでも渡れないというパターンの場合、七夕の日に降る雨は「催涙雨(さいるいう)」と呼ばれ、それは織姫と彦星が流す涙といわれている。

筆者の私見

筆者の私見では、せっかく年に一度だけ再会できる七夕なのだから、雨が降った場合にも、ちゃんとカササギの橋で渡れるようなストーリー展開を希望したい。

大阪府枚方市の天津橋 あまつばし

また、カササギの橋はドラマチックで良い演出なので、できれば晴天のときでもカササギの橋を使って天の川を渡るようなストーリーの方が盛り上がるのではないだろうか?

写真:大阪府枚方市の天津橋(あまつばし/出典:4travel.jp)

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