おりひめ星(織姫・織女)こと座のベガ
七夕の夜空に輝く織女星・織姫星の関連エピソードまとめ
夏の夜空に輝く七夕伝説のヒロイン・おりひめ星(織姫星/織女星)について、職業・仕事や意味・語源、竜宮城の乙姫との関係など、関連するエピソードを簡単にまとめてみた。
彦星(ひこぼし)については、こちらのページ「彦星 ひこぼし わし座のアルタイル 七夕伝説」でまとめている。
七夕の歌については、こちらの「たなばたさま 歌詞の意味 童謡・唱歌」を参照されたい。
織姫星と夏の大三角
七夕伝説における織姫星(織女星)は、こと座で最も明るい恒星ベガ(vega)。天の川の対岸には彦星(牽牛星)として知られるわし座のアルタイルが輝く。
ベガ(織姫星/織女星)とアルタイル(彦星)、はくちょう座のデネブの三つの星を結んだ三角形は、「夏の大三角」または「夏の大三角形」と呼ばれ、夏の天体観測における人気テーマとして親しまれている。
写真:夏の大三角(出典:県立ぐんま天文台Webサイト)
ベガの意味と星図
古い星図では、こと座を構成している主な星々は、かつてハゲタカなどの鳥が急降下する姿で描かれていた。
ベガという言葉がアラビア語で「急降下するワシ(ハゲワシ)」を語源としているのもその名残である。
近現代以降は、現在知られる古代ギリシアの竪琴をモチーフとした「こと座」として定着している。
ちなみに、ベガを起点として、こと座の平行四辺形を矢印に見立てて視線を延長していくと、彦星(わし座のアルタイル)を見つけやすい。
写真:こと座(出典:佐久市ホームページ)
織姫と彦星は夫婦?恋人?
日本で定着している七夕伝説のストーリーでは、織姫と彦星は夫婦となる。天の川によって引き離された後も、二人は夫と妻の関係のままだ。
この織姫と彦星の関係性については、2010年にカルピス株式会社が実施した七夕伝説に関するアンケート調査で興味深い結果が出ている。
カルピスのアンケートでは、七夕伝説を知っていると答えた人に織姫と彦星の関係を尋ねたところ、8割近くの人が「恋人」と回答したそうだ。
確かに、織姫と彦星が「恋人」だったとしても、七夕のストーリーに大きな変化はないし、恋人の物語にした方がロマンチックではあるが、織姫と彦星が夫婦であることが2割の人にしか把握されていなかったというのは正直驚きの結果だ。
織姫の職業・仕事は?
同じくカルピスのアンケートによれば、織姫の職業・仕事について、過半数(54.9%)の人が正しく「機織り」であると回答している。
それは逆に言えば、残りの4割以上の人が「機織り」と回答できなかったということになる。では、残りの人達は一体どんな回答をしたのだろうか?
「機織り」以外で最も多かったのが「巫女(みこ)」という回答(14.7%)。次に多かったのが「舞姫(まいひめ)」、他には「歌姫(うたひめ)」(4.7%)、「歌人(かじん)」(3.3%)などが続く。
巫女の神聖なイメージが星座の神秘的なイメージに重ねられたのだろうか。舞姫や歌姫といった要素は、まるで竜宮城の乙姫から影響を受けているようにも思われる。
竜宮城の乙姫も機織り?
七夕に関してGoogleが例示する検索ワードを見ていると、「乙姫と彦星」という組み合わせの検索結果をごくまれに見かけることがある。
一般的に「乙姫」とは、日本の昔ばなし「浦島太郎」における竜宮城の乙姫(おとひめ)を意味するが、そのページを見てみると、実際には七夕の織姫(おりひめ)を指す目的で使われていることが分かった。
これはつまり、織姫と乙姫を混同している状況であり、それは乙姫ではなく織姫だよ、という単純な指摘で終わってしまいそうな話にも見える。
しかし、織姫と乙姫にまったくつながりがないかと言えば、実はそうではない。
写真:まんが日本昔ばなし「機織淵」(出典:まんが日本昔ばなしデータベース)
1978年12月にテレビ放送された「まんが日本昔ばなし」の「機織淵(はたおりぶち)」では、滝の淵(ふち)の底深くで出会った機織りの娘に竜宮へ案内されるという物語が展開される。
水の底の機織り姫と出会う民話は日本全国各地に残されており、これが現在の乙姫と織姫のイメージ接近につながっていると考えられる。
七夕 関連ページ
- 七夕 たなばた 起源・由来 物語・ストーリー
- 7月7日に織姫と彦星が天の川を渡って年に一度の再会を果たす七夕伝説
- 星のうた 星に関する民謡・童謡・音楽
- 『きらきら星』、『星の世界』、『冬の星座』、『一番星みつけた』など、星に関連する日本の民謡・童謡・世界の歌まとめ