秋の七草の歌 花の名前
中秋の名月・十五夜など 秋の月見の飾り付けに
秋の七草(あきのななくさ)は、奈良時代初期の歌人・山上 憶良(やまのうえ の おくら)が詠んだ2首の歌に由来する秋の草花。
ススキ(尾花)、ハギ(萩)、クズ(葛)、オミナエシ(女郎花)、キキョウ(桔梗)、ナデシコ(撫子)、フジバカマ(藤袴)の七種類。
写真:カワラナデシコ(河原撫子)/出典:Wikipedia
秋の七草は、主に中秋の名月・十五夜などのお月見のお供え・飾りに用いられる。春の七草とは異なり、お粥に入れて食べることはしない。
写真:オミナエシ(出典:Wikipedia)
このページでは、秋の七草を詠んだ山上憶良の歌を簡単に解説した上で、秋の七草の一つ一つについて簡単にまとめてみたい。
秋の七草の歌 その1
8世紀頃の和歌集「万葉集」には、奈良時代の歌人・山上 憶良(やまのうえのおくら)が秋の七草について詠んだ次のような歌が収められている。
秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花<万葉集・巻八 1537>
この歌は、秋の七草について具体的に名前を挙げたもう一つの歌とペアになっている。
秋の七草の歌 その2
山上憶良による秋の七草の二つ目の歌は次のとおり。
萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花
姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌(あさがお)の花<万葉集・巻八 1538>
この二つ目の歌は旋頭歌(せどうか)と呼ばれる形式で、五七七が2回繰り返されている。
「朝貌(あさがお)の花」が何を指すかについては、朝顔、木槿(むくげ)、桔梗、昼顔など諸説あるが、桔梗とする説が最も有力である。
覚え方は?
秋の七草の覚え方としては、草花のそれぞれの頭文字をつなげて「おすきなふくは」と覚える方法があるという。
順番に並べると、「おみなえし」「すすき」「ききょう」「なでしこ」「ふじばかま」「くず」「はぎ」となる。
写真:左上から時計回りにハギ、キキョウ、フジバカマ、クズ。残りのススキは十五夜のページで。
食べれないの?
春の七草とは異なり、秋の七草はお粥の食材としては使われない。薬草や漢方薬として加工したうえで服用することは可能だが、家庭での一般的な食材としては用いられない(つまり食べられない)。
薬草や漢方薬としての効用は、クズから作る葛根湯(かっこんとう)は風邪薬として有名なほか、ハギやキキョウの根には咳止めなど様々な効果があるようだ。興味のある方は漢方薬局で相談してみるとよいだろう。
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