はっけよい 残った! 意味・由来は?
大相撲で組み合った力士に拍車をかける行司の掛け声
大相撲の取組で行司がかける「はっけよい(はっきょい) 残った!」の掛け声について、その意味や由来・語源について簡単にまとめてみた。
「残った」の掛け声については、相手を土俵外へ出したり手をつかせれば勝ち残れる競技であり、両者競って勝ち残れと拍車を掛ける意味合いがある。
「はっけよい(はっきょい)」については複数解釈が存在し、その意味や由来・語源が何なのか、諸説提唱されている。
主な説としては、「発気揚揚」説、「八卦良い」説、「早競へ(はやきほへ)」説の三つがある。順番に見ていこう。
意味その1:発気揚揚
日本相撲協会の公式Webサイトによれば、「はっけよい」は「はっきよい(はっきょい)」であり、「発気揚揚(はっきようよう)」が語源・由来であると説明されている。
「発気揚揚」とは、力士が組み合って動かなくなったときに、「気分を高めて全力勝負せよ」と発破をかける意味合いがあるという。
意味その2:八卦良い
「はっけよい」の別な解釈としては、「当たるも八卦 当たらぬも八卦」の「八卦(はっけ)」が語源・由来とする説があるようだ。
「八卦」とは、古代中国から伝わる易(えき)における8つの基本図像。上の図で漢字の「三」によく似た8個の図形が「八卦」。占いで使われる。
占いの結果「良い八卦になった」という意味で「八卦良い」となり、それが相撲の「ハッケヨイ」に変化したと考えられている。
ただ、「ハッケヨイ」は力士が組み合って動かなくなったときに使う掛け声であることを重視すると、「八卦良い」では意味的にもう一つな気がしないでもない。
膠着した取り組みを動かすために、もっと単刀直入に解釈を試みたのが、次の「早競へ」説である。
意味その3:早競へ(はやきほへ)
国学院大学名誉教授の岡崎正継氏による研究によれば、相撲の「ハッケヨイ」とは「早く競え」を意味する「早競へ(はやきほへ/きおえ)」が語源と考えられるという。
「ハッケヨイ」は力士が組み合って動かなくなったときに使う掛け声であることを考えれば、この説がもっともシチュエーションに適合していることになる。
岡崎教授の「早競へ(はやきほへ)」説は、万葉集などの古典で用いられる古語を根拠としている。
「はや(早)」は「早く」を意味する副詞であり、「きほえ(競へ)」は「競う」を意味する古語「きほふ」の命令形となる。
古文では、「はや帰りませ」のように、「はや」の直後に命令形が来ることがほとんどであり、「早競へ(はやきほへ)」は古文の用例に照らしても一般的な形であったようだ。
相撲は奈良・平安時代から盛んに行われていた古い神事であり、力士が組み合って動かないときの掛け声は「早競へ(はやきほへ)」であったと推測されるという。
ヘブライ語説も?
「ハッケヨイ」の語源については、ヘブライ語で「ハッケ」が「投げつけよ」、「ヨイ」が「やっつけよ」を意味するという突拍子もない説が存在する。
「ヤーレン・ソーラン」や「わっしょい」など、ヘブライ語と日本語を結びつけようとする説は「ハッケヨイ」以外にも多数存在する、信ぴょう性は低いが、ジョークとしては面白いかもしれない。
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