星条旗よ永遠なれ
Stars and Stripes Forever

アメリカ大統領スピーチの退場時によく流れる公式マーチ

『星条旗よ永遠なれ Stars and Stripes Forever』(スターズ・アンド・ストライプス・フォーエバー)は、アメリカのマーチ王スーザ(John Philip Sousa/1854-1932)が1896年に作曲した行進曲。

スーザを代表する作品として人気が高く、1987年にアメリカ公式の行進曲に認定された。ドイツの『旧友 Alte Kameraden』、日本の『軍艦行進曲』と並ぶ「世界三大行進曲」の一つ。

アメリカ大統領が公共の場やイベント、セレモニー等でスピーチを行う際、演壇に向かう際に『Hail to the Chief 大統領万歳』が流れるが、スピーチ終了後の退場時には、この『Stars and Stripes Forever』が流れることが多い。

なお、アメリカ国歌『星条旗 The Star-Spangled Banner』とタイトルが似通っているため、両曲名が混同して用いられる場合があるが、言うまでもなく両曲は別の楽曲である。

【YouTube】星条旗よ永遠なれ Stars and Stripes Forever

吹奏楽や運動会の定番曲

日本では、学校の吹奏楽部における定番の演目・レパートリーとして定着しているほか、運動会の入場行進曲としても使用される機会が多いようだ。この曲を聴くと、学生時代の光景が懐かしく思い出される人も少なくないだろう。

その他の有名な吹奏楽曲については、こちらの特集ページ「有名な吹奏楽曲・定番のブラバン器楽曲」を、運動会でよく使われる有名なクラシック音楽については、こちらの特集「運動会・体育祭で使われるクラシック音楽・BGM」を適宜参照されたい。

ピッコロの軽快なオブリガートに注目

『星条旗よ永遠なれ』の演奏では、ピッコロ(piccolo)奏者による軽快なオブリガート(助奏)が主旋律を引き立て華を添える。学校の吹奏楽などでピッコロを演奏する学生らにとっては、その存在と技量を存分にアピールできる絶好の機会となる楽曲の一つだろう。

ピッコロが印象的に用いられる有名な楽曲と言えば、チャイコフスキー作曲のパレエ組曲『くるみ割り人形』より「中国の踊り」、ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章、ショスタコーヴィチ交響曲第9番第1楽章などがある。

ホロヴィッツ編曲によるピアノ難曲

ウクライナ出身でアメリカに帰化(1944年に市民権を獲得)したピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツ(Vladimir Samoilovich Horowitz/1903-1989)は、アメリカ愛国歌『Stars and Stripes Forever』をピアノソロ向けに編曲している。

ホロヴィッツ編曲による同曲は「ピアノの難曲」として知られ、ピッコロによるオブリガートをはじめ吹奏楽団の多彩な楽器のフレーズがアクロバティックなピアノで再現されている。

ホロヴィッツ編曲『星条旗よ永遠なれ』収録アルバム

写真:ホロヴィッツ編曲『星条旗よ永遠なれ』収録アルバム

生半可な技術でこれを弾きこなすことは至難の業であり、高い技術を持った奏者による演奏は、まるでピアノ連弾を聴いているかのような錯覚すら起こさせる。

ホロヴィッツのコンサートではアンコール曲としてよく取り上げられ、作曲者自身による自演CDもリリースされている。ホロヴィッツ版の楽譜については、遺族の意向により正式な楽譜は出版されていないようだ。

YouTubeでは、超絶技巧で知られるロシアのピアニスト、アルカーディ・ヴォロドス(Arcadi Volodos)が演奏するホロヴィッツ編曲『Stars and Stripes Forever』の動画がアップされている。

【YouTube】ヴォロドス演奏 ホロヴィッツ編曲版

【YouTube】ホロヴィッツ自演 編曲版

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