道成寺 わらべうた 安珍・清姫伝説
安珍清姫 蛇に化けて 七重に巻かれて ひとまわり
『道成寺 どうじょうじ』は、和歌山県に伝わる古い手毬唄(まりつき歌)・わらべうた。
歌詞では、和歌山県・道成寺の安珍・清姫(あんちん・きよひめ)伝説が唄われている(詳細は後述)。
写真は道成寺の境内(出典:Wikipedia)。道成寺は、和歌山県日高川町にある天台宗の寺院で、本堂は重要文化財になっている。安珍・清姫伝説に直接関連する鐘楼などの建物は、織田信長軍の全山焼き討ちによりすべて焼失してしまっている。
歌詞:わらべうた『道成寺』
トントン お寺の 道成寺
釣鐘(つりがね)下ろいて 身を隠し
安珍清姫 蛇(じゃ)に化けて
七重(ななよ)に巻かれて ひとまわり ひとまわり
トントン お寺の 道成寺
六十二段の階(きざはし)を
上がり詰めたら仁王(におう)さん
左は唐銅(からかね) 手水鉢(ちょうずばち) 手水鉢
【YouTube】篠笛と鈴による『道成寺』
【YouTube】道成寺 和歌山県の手毬唄 歌:Sinsy
道成寺の安珍・清姫伝説
道成寺の安珍・清姫伝説は、平安時代の「大日本国法華験記」や「今昔物語集」に現れる古い伝説。大まかな内容は次のとおり(諸説あり)。
熊野に参詣に来た僧・安珍は大変な美形であった。清姫は安珍に一目惚れし求愛するが、安珍はこれを断るため「また会いに来る」とウソをついて立ち去った。
騙されたことを知った清姫は怒り、裸足で安珍を追いかけた。道成寺への道の途中で追いつき問い詰めると、安珍は「別人だ」と嘘に嘘を重ね、さらに熊野権現の力で清姫を金縛りにし逃げ出した。
あまりに酷い仕打ちに清姫の怒りは天を衝き、火を吐く大蛇に化けて安珍を追跡。道成寺に逃げ込んだ安珍を追いつめた。
万事休すの安珍は、道成寺の梵鐘(釣鐘)を下ろしてもらい、その中に逃げ込んだ。鐘の外側に巻き付いた清姫は火を吐き、安珍はそのまま鐘の中で焼き殺されてしまった。
怒りと悲しみに我を失った清姫は、大蛇の姿のまま入水。蛇道に転生した二人はその後、道成寺の住持のもとに現れて供養を頼んだ。二人は成仏し、天人の姿で住持の夢に現れた。実はこの二人はそれぞれ熊野権現と観世音菩薩の化身だったのだ。
挿絵:土佐光重画「道成寺縁起絵巻」(出典:Wikipedia)
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