さくら貝の歌 歌詞の由来
うるわしき さくら貝ひとつ 去りゆける君に捧げん
『さくら貝の歌』は、1939年(昭和14年)に作曲された日本の歌謡曲。作詞:土屋花情、作曲:八洲秀章。
歌詞は、作詞者の友人・鈴木義光が詠んだ次のような短歌が元になっている。
わが恋のごとく悲しやさくら貝
片ひらのみのさみしくありて
この短歌は、病により18歳という若さで亡くなった恋人への思いが謡われているという。
写真:さくら貝と砂浜(出典:壱岐砂浜図鑑)
短歌を詠んだ鈴木義光は作曲家を目指しており、土屋が作詞した『さくら貝の歌』にメロディを施した。
後に同曲は山田耕筰の目に留まり、編曲を施したうえで1949年にNHK「ラジオ歌謡」で放送され、人気を博した。
鈴木はその後、八洲秀章(やしま・ひであき)というペンネームで『あざみの歌(山には山の愁いあり)』『チャペルの鐘』『毬藻の歌』などの作品を残している。
ちなみに「八洲秀章」の名は、亡くなった恋人・横山八重子の「八」と、その戒名「誓願院釈秀満大姉」の「秀」から採られている。
【YouTube】 さくら貝の歌 倍賞千恵子
【YouTube】さくら貝の歌 鮫島有美子
歌詞
美(うるわ)しき 桜貝一つ
去り行ける 君にささげん
この貝は 去年(こぞ)の浜辺に
われ一人 ひろいし貝よほのぼのと うす紅染むるは
わが燃ゆる さみし血潮よ
はろばろと かよう香りは
君恋うる 胸のさざなみああなれど 我が想いははかなく
うつし世の なぎさに果てぬ
さくら貝とは?
さくら貝(桜貝/さくらがい/サクラガイ)は、ピンク色の二枚貝の総称。普通の二枚貝を漂白・染色したものが桜貝として販売されることも少なくない。
自然の状態で貝殻がピンク色の二枚貝としては、サクラガイ、カバザクラガイ、ベニガイ、モモノハナガイなどが知られている。
写真:カバザクラガイ(出典:鎌倉の貝)
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