Come Together 歌詞の意味・和訳 ビートルズ
意味不明でナンセンスな歌詞はビートルズメンバーを暗示していた?
『Come Together』(カム・トゥゲザー)は、1969年9月にリリースされたビートルズのアルバム『アビイ・ロード』に収録された楽曲。
レノン=マッカートニー名義だが、実質的にはジョン・レノン作曲。マイケル・ジャクソンやエアロスミスなど、多くのアーティストがカバーしている。
ジャケット写真:アビイ・ロード ザ・ビートルズ
歌詞では、意味のないナンセンスなフレーズやパロディが多用されており、直訳では全体として意味が通らない。歌詞の元ネタは後述する。
歌詞の一つの解釈としては、ビートルズのメンバーを1番から4番まで一人ずつ暗示しているとの説が有力。このページの和訳でもこの解釈を採用する。
なお、イントロや間奏で「シュッ」と聞こえるのは、英語の歌詞では「Shoot me」(シュート・ミー)。日本語では「俺を撃てよ/俺に(注射器で)打ってくれ」など複数の意味に解釈できる。
【YouTube】The Beatles - Come Together
1番の歌詞:ジョージ
1番の歌詞は、ジョージ・ハリスン(George Harrison)についての描写と解釈されている。
ヒンズー教に傾倒しており、インドの宗教を他のメンバーに紹介。インド文化と神秘主義を賛美した。
車好きで、モータースポーツの熱心なファン。自身もレースにドライバーとして参戦しており、多くのF1ドライバーと交流がある。
Here come old flat-top, he come groovin' up slowly
He got ju-ju eyeball, he one holy roller
He got hair down to his knee
Got to be a joker, he just do what he please
年代物のアメ車に乗って
彼(ジョージ)がご機嫌で
ゆっくりやってくる
呪術めいた目玉の狂信者
髪を膝まで伸ばして
おどけてるのか
好きなことしかやろうとしない
<補足>
1番の歌詞にある「flat-top(フラット・トップ)」は、キャデラック フラットトップ・セダンのような古いアメリカ車として和訳したが、他にも「航空母艦(空母)」、「角刈り」、「ボディのトップ板が平らなアコースティック・ギター」などの意味がある。
写真:キャデラック フラットトップ・セダン 1959(出典:Mecum Auctions)
チャック・ベリーが元ネタ?
ちなみに1行目の歌詞は、『ジョニー・B.グッド(Johnny B. Goode)』で知られるチャック・ベリー(Chuck Berry)が1956年に発表した『You Can't Catch Me』(ユー・キャント・キャッチ・ミー)から修正を加えて引用されている。
「ロックンロールに別名を与えるとすれば『チャック・ベリー』だ」と述べるほど、ジョン・レノンはベリーを敬愛していた。
ジャケット写真:The Best of Chuck Berry
該当箇所は次のとおり。ここでの「flat-top」は「角刈りの兄ちゃん」的な意味。
I was rollin’ slowly 'cause of drizzlin’ showers
Here come a flat-top, he was movin’ up with me
歌詞だけでなく楽曲全体としても類似していたため、ジョン・レノンは1973年に著作権侵害で訴えられ、後に和解した。
【YouTube】Chuck Berry - You Can't Catch Me
ポール・マッカートニーによれば、『Come Together』初期ヴァージョンはあまりにも『You Can't Catch Me』に似ていたため、マッカートニーの進言により、大幅にテンポを落として、独自のベース・ラインが追加され、ファンキーなアレンジに変更された。
2番の歌詞:ポール
2番の歌詞は、ポール・マッカートニー (Paul McCartney)についての描写と解釈されている。アルバム「アビイ・ロード」のジャケットでは一人だけ裸足(はだし)で歩いている。
He wear no shoeshine, he got toe-jam football
He got monkey finger, he shoot Coca-Cola
He say, "I know you, you know me"
One thing I can tell you is you got to be freeCome together, right now
Over me
彼(ポール)は靴も磨かず
汚れた足でフットボールしてる
猿のような指でコカを打ち
彼は言う「俺はお前を知ってる
お前は俺を知ってる」
俺が言えるのはこれだけ
「一人で自由にやれよ」
一緒に来いよ 今すぐ
俺と一緒に
3番の歌詞:ジョン
3番の歌詞は、作曲者であるジョン・レノン (John Lennon)についての描写と解釈されている。
He bag production, he got walrus gumboot
He got Ono sideboard, he one spinal cracker
He got feet down below his knee
Hold you in his armchair, you can feel his diseaseCome together, right now
Over me
彼はバギズム活動中
セイウチのゴム長靴を履いて
助手席にオノを乗せ
背骨をケガさせて
彼はひざまづいた
彼の肘掛け椅子にもたれたら
奴の病気が分かるだろう
一緒に来いよ 今すぐ
俺と一緒に
バギズム(Bagism)
バギズム(Bagism)とは、ジョン・レノンとオノ・ヨーコによる社会的パフォーマンス。大きな袋に入り顔だけ出して、外見の情報を遮断することで、偏見のないコミュニケーションを訴えた。「bag production」は二人が設立した会社の名前。
作曲を依頼したティモシー・リアリー
『Come Together』は、「ドラッグの教祖」として知られるアメリカの心理学者ティモシー・リアリーが作曲を依頼。彼が出馬したカリフォルニア州知事選挙の応援ソングとして作曲された。
リアリーは当時「Come Together - join the party」(一緒に行こう/パーティに加わって)というスローガンを打ち出していた。
写真は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコによる社会的パフォーマンス「ベッド・イン」の様子(1969年6月1日/出典:Wikipedia)。中央手前に写っているのがティモシー・リアリー。
セイウチとジョン・レノン
セイウチ(walrus)については、アルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」のジャケットで、ジョン・レノンはセイウチのコスプレをしている。
ジャケット写真:ビートルズ「マジカル・ミステリー・ツアー」
写真:セイウチ(出典:Wikipedia)
4番の歌詞:リンゴ
4番の歌詞は、リンゴ・スター(Ringo Starr)についての描写と解釈されている。ビートルズのメンバーの中で、地味ではあるが、最も穏やかで人格者であった。彼がいなければ、ビートルズの解散はもっと早まっていたとも言われている。
He roller-coaster, he got early warnin'
He got muddy water, he one mojo filter
He say, "One and one and one is three"
Got to be good-lookin' 'cause he's so hard to seeCome together, right now
Over me
彼(リンゴ)はジェットコースター
早めの警告
泥水をろ過する魔法のフィルター
彼は言う「1足す1足す1は3」だと
きっと色男さ よく見えないから
一緒に来いよ 今すぐ
俺と一緒に
マディ・ウォーターズが元ネタ?
歌詞にある「muddy water」(マディ・ウォーター)は、「シカゴ・ブルースの父」と称されるアメリカのブルース・シンガー、マッキンリー・モーガンフィールド(McKinley Morganfield/1913-1983)の愛称「Muddy Waters」(マディ・ウォーターズ)が元ネタと考えられる。
「mojo filter」(モジョ・フィルター)については、マディ・ウォーターズが1957年に発表したカバー曲『Got My Mojo Working』(ガット・マイ・モジョ・ワーキング)を連想させる。
ジョン・レノンが敬愛するチャック・ベリーは、マディ・ウォーターズの口利きによってチェス・レコードと契約しデビューを果たした。
ジャケット写真:ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ +8
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