Rock-a-Bye Baby
ロック・ア・バイ・ベイビー
マザーグース/木の枝に吊るされたゆりかご 赤ちゃんが危ない!?
『Rock-a-Bye Baby ロック・ア・バイ・ベイビー』は、18世紀後半のイギリスで出版されたマザーグース(ナーサリーライム)の子守歌。
代表的な歌詞は次のとおり。木の上の枝に吊るされたゆりかごの中の赤ちゃんが、風が吹くとゆりかごが揺れ、もし枝が折れたらみんな落っこちてしまうというマザーグース(ナーサリーライム)にありがちな若干痛々しい内容となっている。
Rock-a-bye baby,
on the treetop,
When the wind blows,
the cradle will rock,When the bough breaks,
the cradle will fall,
And down will come baby,
cradle and all.
最初の歌詞は「Hush-a-by baby」
1765年のロンドンで「Mother Goose's Melody」の一曲として初めて出版された当時の『Rock-a-Bye Baby』は、冒頭の歌詞が次のようなものだった。
Hush-a-by baby, On the tree top...
ご覧のとおり、「Rock-a-Bye Baby ロッカバイ・ベイビー」ではなく、「Hush-a-by baby ハッシュ・ア・バイ ベイビー」という歌詞が用いられている。この冒頭部分以外は現在と同じ歌詞になっている。
「Hush ハッシュ」とは、人におしゃべりを止めて静かにするように制止する際の「シーッ、静かに!」の意味で使われる英単語。赤ちゃんの場合は泣き止むようにあやす際に使われる。
19世紀の出版物では、すでにこの「Hush-a-by baby ハッシュ・ア・バイ ベイビー」が「Rock-a-Bye Baby ロッカバイ・ベイビー」に変わっていたようだが、詳しい経緯は不明。時代の感覚に相応しい歌詞に改められたのだろう。
なお、同じくイギリスのマザーグース(ナーサリーライム)の一つに『Hush, Little Baby ハッシュ、リトル・ベイビー』という曲があるが、これも「Hush-a-by baby ハッシュ・ア・バイ ベイビー」と同様に赤ちゃんをあやす言葉として使われている。
歌詞のバリエーションその1
19世紀に入ると、初代「Hush-a-by baby ハッシュ・ア・バイ ベイビー」の続きの位置付けと思われる歌詞が登場する。歌詞は次のとおり。
Rock-a-bye, baby,
thy cradle is green;
Father's a nobleman,
mother's a queen;And Betty's a lady,
and wears a gold ring;
And Johnny's a drummer,
and drums for the king.
この歌詞でゆりかごに揺られているのは、父親が高貴な人物(王様?)、母親が女王という貴族の赤ちゃんのようだ。
このバージョンでは、赤ちゃんがゆりかごごと木の枝に吊るされるような危険な目には合わないので、聴く方も安心して歌を楽しむことができそうだ。
【YouTube】Rock A Bye Baby Lullaby | Lullabies for Babies
歌詞その2 そばでママがキャッチ!
枝が折れたらゆりかごの中の赤ちゃんが落っこちてしまうというショッキングな内容の歌詞は、いくらマザーグース(ナーサリーライム)とはいえ、現代人の感覚ではちょっと違和感が感じられる。
この点、YouTubeで「Hush-a-by baby ハッシュ・ア・バイ ベイビー」の動画をいくつか検索してみたところ、この物騒な原曲のストーリーを、歌詞の一部を変えることで、現代の我々でも納得がいく結末に仕立てたバージョンがアップされていたのでご紹介したい。
When the bough breaks
The cradle will fall
But mama will catch u
Cradle and all
上の歌詞はその一部。「枝が折れたら、ゆりかごが落ちる」という内容は同じだが、最後に「ママが全部キャッチしてあげる」と続けることで、歌を聴いている方も一安心の穏便なストーリー展開となっている。
【YouTube】Rock-a-Bye Baby Nursery Rhyme
『ハンプティ・ダンプティ』や『ロンドン橋』のように、やたらと落っこちる展開が多いマザーグース(ナーサリーライム)だが、この「ママがキャッチ」バージョンは、ギリギリのところで救いの手が差し伸べられる穏便で現代的なバリエーションとして、存在感のある替え歌の一つと言えるだろう。