牧神の午後への前奏曲
クロード・ドビュッシー(Claude Achille Debussy/1862-1918)
『牧神の午後への前奏曲』ホ長調 は、ドビュッシーが1892年から1894年にかけて作曲した管弦楽作品。「牧神」とは、ギリシア神話のパーン、またはローマ神話におけるファウヌスを意味する。写真はパンフルートを手にしたパーン像。
同曲は、19世紀フランスの詩人ステファヌ・マラルメ(Stéphane Mallarmé/1842-1898)の代表作「半獣神の午後」(なんと挿絵はエドゥアール・マネ)にインスピレーションを受けて作曲された。
マラルメ「半獣神の午後」では、午睡から目覚めた半獣神(牧神)が、二匹のニンフ(女性の姿をした精霊)たちとの官能的な体験について、おぼろげに自問自答する様子が牧歌的に描かれている。
ドビュッシー『牧神の午後への前奏曲』も「半獣神の午後」の世界観をモチーフとし、牧神の象徴である葦笛「パンフルート」がフルートで表現されている。
1912年には、ロシアのバレエダンサー・振付師ヴァーツラフ・ニジンスキー (Vaslav Fomich Nijinsky/1890-1950)によりバレエ作品「牧神の午後」として上演された。
【YouTube】 ドビュッシー: 牧神の午後への前奏曲
【YouTube】指揮:レナード・バーンスタイン Leonard Bernstein
パンフルートの由来とギリシア神話
ちなみに、ドビュッシーによる牧神に関係した作品としては、1913年に作曲された無伴奏フルートのための『シランクス』も比較的有名。
シランクスとはギリシア神話のシュリンクスを意味する。パーンに一目惚れされ追い詰められて葦(あし)となり、葦笛にされてしまった。その笛は「パーンの笛(パンフルート)」と呼ばれている。
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