五色の短冊に願い事 由来・歴史は?七夕飾り
すでに平安時代には願い事をしていた?
七夕の笹飾りには、思い思いの願い事を書いた色とりどりの短冊が吊されるが、この短冊に願い事を書くという七夕の行事は、一体いつ頃生まれたのだろうか?
七夕行事のルーツである中国の「乞巧奠(きっこうでん/きこうでん)」から順に現代まで、日本で「短冊に願い事」が誕生する起源・由来・歴史を簡単にまとめてみた。
手芸の上達を願う中国の行事
中国の行事「乞巧奠(きっこうでん/きこうでん)」では、織女星(織姫星)が夜空に輝く7月7日の夜、糸や針の仕事を司る織女に対して、5色の布や糸・針などが供えられ、手芸や機織りなどの技巧上達を願う。
供えられる五色の布や糸の「五色」は、中国の自然哲学「五行説」を反映したもの。童謡・唱歌『たなばたさま』の歌詞で「♪五色の短冊」と歌われる「五色」も同じルーツ。
「乞巧奠」は奈良時代頃に日本の朝廷にも伝わり、宮廷行事「七夕(しちせき)」として定着した。室町時代以降には民間にも広まったという。
平安時代には梶の葉に願い事を書いた?
七夕に願い事をする起源・ルーツとしては、平安時代の和歌集や「平家物語」などに関連する和歌や記述がみられる。平安時代には梶の葉に願い事を書いていたようだ。
詳しくは、こちらのページ「梶の葉と七夕の関係は?願い事のルーツ?」を適宜参照されたい。
江戸時代には短冊に願い事を書いていた?
国立国会図書館デジタルコレクションには、七夕の様子を描いた次のような江戸時代の源氏絵が公開されている。一部を抜粋して単純に合成したため若干ズレがあるがご容赦いただきたい。
源氏君花月遊/画:歌川豊国 1854年 国立国会図書館所蔵
遊郭らしき場所で、季節は7月で七夕の準備をしているようだ。男性の左手には短冊、足元には硯(すずり)があり、机の上には里芋の葉のようなものが置かれている。
現代の七夕でも、七夕の朝に里芋の葉にたまった朝露で墨をすり、その墨で短冊に願い事を書くと願いがかなう、といった風習があるが、この源氏絵はその様子を描写している可能性がある。
この源氏画では、短冊に色はついていないようだ。この時代に色のついた短冊が存在していたかは不明。
なぜ里芋の葉が使われるのかについては、こちらのページ「里芋の葉の朝露で墨をする理由・由来は?七夕の短冊に墨で願い事を書くと叶う?」を適宜参照されたい。
色のついた短冊のルーツは施餓鬼旗?
下の画像は、かつて七夕と近い時期に行われていた仏教行事「施餓鬼(せがき)」で用いられる施餓鬼旗(せがきばた)。
施餓鬼旗(せがきばた)の見た目は、カラフルな七夕の短冊をほうふつとさせる。色のついた短冊のルーツは、この施餓鬼旗ではないだろうか?両者の関係についてはこちらのページ「施餓鬼旗と七夕の短冊 文字の意味・色の由来」を適宜参照されたい。
七夕 関連ページ
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- 7月7日に織姫と彦星が天の川を渡って年に一度の再会を果たす七夕伝説
- 棚機津女(たなばたつめ)伝説とは?
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- 施餓鬼旗と七夕の短冊 文字の意味・色の由来
- いずれも中国の五行説に由来する五色の配色
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